15 / 20
15
しおりを挟む
夜、私は部屋でゴロゴロしていました。
現在、お兄様とお姉様はハッピーエンドを迎えているはずです。いやあ、我ながらいいことをしましたね。
「シャルリナ!」
「うわあっ!」
そんな私の耳に聞こえてきたのは、お兄様の怒号でした。
よくわかりませんが、とりあえずベッドの下に隠れます。恐らく、ろくでもないことが起ころうとしているはずだからです。
「開けろ! 開けなければ、このドアを蹴り破るぞ!」
「……」
「答えないというなら、もう容赦はせん」
次の瞬間、すごい音が聞こえてきました。
お兄様が、ドアが蹴破ったのです。
なんて野蛮な人でしょう。こんなことして妹の部屋に入ってくる兄なんて、他にいませんよ。
「どこだ……」
「……」
「そこか……」
「げっ……」
お兄様は、すぐに私を見つけました。
流石に、ベッドの下は安直過ぎたようですね。
当然のことながら、逃げ場はありません。出て行くしかないでしょう。
こんなことなら、窓から逃げるべきでしたね。まあ、結局家に帰ってくるしかないので、結果は同じだったかもしれませんが。
「お、お兄様、何かようですか? いきなりドアを蹴破って、驚きましたよぉ」
「俺の呼びかけに答えなかったということは、何が原因かはわかっているだろう?」
「いやあ、寝ていたんですよ」
「ベッドの下でか?」
「うぐぅ……」
色々と言い訳をしようと思いましたが、状況的に無理そうです。
仕方ないので、認めましょうか。当然、お姉様のことを言っているんですよね? 別のことだったら厄介なので、すごく嫌なんですけど。
「お姉様のことですか?」
「ああ、お前がけしかけたのだろう?」
「ええ、まあ、助言はしましたね。何か、問題でも?」
「問題しかない」
お兄様は、とても怒っていました。
ですが、今回に関しては私も明確に反論できます。
「いいですか、お兄様。まあ、言いくるめた部分はありましたけど、お姉様は私の提案を受け入れました。その意味をよく考えてください」
「何?」
「お姉様は、お兄様に手を出してもらいと思っていたんです。その思いを、お兄様は裏切っていたんですよ。それを自覚してください」
「む……それは……」
私は、お兄様にはっきりと言ってやりました。
ごり押しで言いくるめたりしましたが、お姉様は結局、私の言ったことを実行しました。つまり、お姉様は明確に手を出してもらいたいと思っていたということです。
色々と理由をつけて、避けていましたが、お姉様は悲しんでいたのです。お兄様には、そのことをきちんと自覚してもらわなければいけません。
「エルード様!」
「アルシア?」
「あ、お姉様……」
そこで、お姉様もやって来ました。
恐らく、出て行ったお兄様を追いかけてきたのでしょう。
どうやら、話はどうにかまとまってくれそうですね。
現在、お兄様とお姉様はハッピーエンドを迎えているはずです。いやあ、我ながらいいことをしましたね。
「シャルリナ!」
「うわあっ!」
そんな私の耳に聞こえてきたのは、お兄様の怒号でした。
よくわかりませんが、とりあえずベッドの下に隠れます。恐らく、ろくでもないことが起ころうとしているはずだからです。
「開けろ! 開けなければ、このドアを蹴り破るぞ!」
「……」
「答えないというなら、もう容赦はせん」
次の瞬間、すごい音が聞こえてきました。
お兄様が、ドアが蹴破ったのです。
なんて野蛮な人でしょう。こんなことして妹の部屋に入ってくる兄なんて、他にいませんよ。
「どこだ……」
「……」
「そこか……」
「げっ……」
お兄様は、すぐに私を見つけました。
流石に、ベッドの下は安直過ぎたようですね。
当然のことながら、逃げ場はありません。出て行くしかないでしょう。
こんなことなら、窓から逃げるべきでしたね。まあ、結局家に帰ってくるしかないので、結果は同じだったかもしれませんが。
「お、お兄様、何かようですか? いきなりドアを蹴破って、驚きましたよぉ」
「俺の呼びかけに答えなかったということは、何が原因かはわかっているだろう?」
「いやあ、寝ていたんですよ」
「ベッドの下でか?」
「うぐぅ……」
色々と言い訳をしようと思いましたが、状況的に無理そうです。
仕方ないので、認めましょうか。当然、お姉様のことを言っているんですよね? 別のことだったら厄介なので、すごく嫌なんですけど。
「お姉様のことですか?」
「ああ、お前がけしかけたのだろう?」
「ええ、まあ、助言はしましたね。何か、問題でも?」
「問題しかない」
お兄様は、とても怒っていました。
ですが、今回に関しては私も明確に反論できます。
「いいですか、お兄様。まあ、言いくるめた部分はありましたけど、お姉様は私の提案を受け入れました。その意味をよく考えてください」
「何?」
「お姉様は、お兄様に手を出してもらいと思っていたんです。その思いを、お兄様は裏切っていたんですよ。それを自覚してください」
「む……それは……」
私は、お兄様にはっきりと言ってやりました。
ごり押しで言いくるめたりしましたが、お姉様は結局、私の言ったことを実行しました。つまり、お姉様は明確に手を出してもらいたいと思っていたということです。
色々と理由をつけて、避けていましたが、お姉様は悲しんでいたのです。お兄様には、そのことをきちんと自覚してもらわなければいけません。
「エルード様!」
「アルシア?」
「あ、お姉様……」
そこで、お姉様もやって来ました。
恐らく、出て行ったお兄様を追いかけてきたのでしょう。
どうやら、話はどうにかまとまってくれそうですね。
110
あなたにおすすめの小説
愛し子は自由のために、愛され妹の嘘を放置する
紅子
恋愛
あなたは私の連理の枝。今世こそは比翼の鳥となりましょう。
私は、女神様のお願いで、愛し子として転生した。でも、そのことを誰にも告げる気はない。可愛らしくも美しい双子の妹の影で、いない子と扱われても特別な何かにはならない。私を愛してくれる人とこの世界でささやかな幸せを築ければそれで満足だ。
その希望を打ち砕くことが起こるとき、私は全力でそれに抗うだろう。
完結済み。毎日00:00に更新予定です。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
婚約破棄の上に家を追放された直後に聖女としての力に目覚めました。
三葉 空
恋愛
ユリナはバラノン伯爵家の長女であり、公爵子息のブリックス・オメルダと婚約していた。しかし、ブリックスは身勝手な理由で彼女に婚約破棄を言い渡す。さらに、元から妹ばかり可愛がっていた両親にも愛想を尽かされ、家から追放されてしまう。ユリナは全てを失いショックを受けるが、直後に聖女としての力に目覚める。そして、神殿の神職たちだけでなく、王家からも丁重に扱われる。さらに、お祈りをするだけでたんまりと給料をもらえるチート職業、それが聖女。さらに、イケメン王子のレオルドに見初められて求愛を受ける。どん底から一転、一気に幸せを掴み取った。その事実を知った元婚約者と元家族は……
番?呪いの別名でしょうか?私には不要ですわ
紅子
恋愛
私は充分に幸せだったの。私はあなたの幸せをずっと祈っていたのに、あなたは幸せではなかったというの?もしそうだとしても、あなたと私の縁は、あのとき終わっているのよ。あなたのエゴにいつまで私を縛り付けるつもりですか?
何の因果か私は10歳~のときを何度も何度も繰り返す。いつ終わるとも知れない死に戻りの中で、あなたへの想いは消えてなくなった。あなたとの出会いは最早恐怖でしかない。終わらない生に疲れ果てた私を救ってくれたのは、あの時、私を救ってくれたあの人だった。
12話完結済み。毎日00:00に更新予定です。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
ワザとダサくしてたら婚約破棄されたので隣国に行きます!
satomi
恋愛
ワザと瓶底メガネで三つ編みで、生活をしていたら、「自分の隣に相応しくない」という理由でこのフッラクション王国の王太子であられます、ダミアン殿下であらせられます、ダミアン殿下に婚約破棄をされました。
私はホウショウ公爵家の次女でコリーナと申します。
私の容姿で婚約破棄をされたことに対して私付きの侍女のルナは大激怒。
お父様は「結婚前に王太子が人を見てくれだけで判断していることが分かって良かった」と。
眼鏡をやめただけで、学園内での手の平返しが酷かったので、私は父の妹、叔母様を頼りに隣国のリーク帝国に留学することとしました!
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
【完結】 ご存知なかったのですね。聖女は愛されて力を発揮するのです
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
本当の聖女だと知っているのにも関わらずリンリーとの婚約を破棄し、リンリーの妹のリンナールと婚約すると言い出した王太子のヘルーラド。陛下が承諾したのなら仕方がないと身を引いたリンリー。
リンナールとヘルーラドの婚約発表の時、リンリーにとって追放ととれる発表までされて……。
妹に裏切られた聖女は娼館で競りにかけられてハーレムに迎えられる~あれ? ハーレムの主人って妹が執心してた相手じゃね?~
サイコちゃん
恋愛
妹に裏切られたアナベルは聖女として娼館で競りにかけられていた。聖女に恨みがある男達は殺気立った様子で競り続ける。そんな中、謎の美青年が驚くべき値段でアナベルを身請けした。彼はアナベルをハーレムへ迎えると言い、船に乗せて隣国へと運んだ。そこで出会ったのは妹が執心してた隣国の王子――彼がこのハーレムの主人だったのだ。外交と称して、隣国の王子を落とそうとやってきた妹は彼の寵姫となった姉を見て、気も狂わんばかりに怒り散らす……それを見詰める王子の目に軽蔑の色が浮かんでいることに気付かぬまま――
【完結】男装して会いに行ったら婚約破棄されていたので、近衛として地味に復讐したいと思います。
銀杏鹿
恋愛
次期皇后のアイリスは、婚約者である王に会うついでに驚かせようと、男に変装し近衛として近づく。
しかし、王が自分以外の者と結婚しようとしていると知り、怒りに震えた彼女は、男装を解かないまま、復讐しようと考える。
しかし、男装が完璧過ぎたのか、王の意中の相手やら、王弟殿下やら、その従者に目をつけられてしまい……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる