刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。

木山楽斗

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72.狙われる竜④

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「でも、実際の所、どうするの? 騎士団の相手なんて、すごくきつそうだと思うんだけど」
「ミルーシャ、多分、相手は騎士団そのものという訳ではないと思うんだ」
「騎士団そのものじゃない? どういうこと?」

 私の言葉に、ミルーシャは疑問を抱いていた。確かに、私の話だけでは騎士団が全員敵になったと思うかもしれない。だが、実際にはそうではないのだ。

「実際に賛同する人は多いみたいだけど、全員が敵に回ったという訳ではないんだ。それに、ローディスも多分大々的に行動はできないはずだよ。何せ、国王様の意思と反することをやっているんだし」
「ああ、確かに、それはそうか。国王様にばれてまずいのは、あっち側だもんね」

 私の説明に、ミルーシャはすぐに納得してくれた。
 ローディスの思想は、騎士団の多くの者が賛同する思想だ。だが、国の一番上の地位である国王様とは反している。そこが、今回の件の幸いだった所だ。
 ローディスは、国王様にばれないように行動しなければならない。恐らく、そこまで大胆な動きはできないだろう。

「でも、それなら、国王様に手紙か何か送ればいいんじゃない? 騎士団長から、こういわれたって」
「それも考えたんだけど、国王様に伝わるかどうか少し怪しんだよね……騎士団は、王城の内部にもいる訳だし、無事に連絡できるとは思えない。まあ、一応、試してはみようと思っているけど」
「あまり、期待はできなさそうだね……」

 国王様にこのことを知らせることができれば、ローディスの動きを止めることはできるだろう。
 だが、王城で騎士達に護衛されている国王様にそれを伝えられるのかどうかは怪しい所である。恐らく、失敗に終わる可能性が高いだろう。

「それなら、どこかに逃げたりする?」
「逃げるか……それも考えたんだけど、結局どこに逃げてもローディスに追いかけられるだけな気がする」
「それじゃあ、正面から戦おうっていうの?」
「うん……多分、ローディスは私達が正面から戦って勝てば、潔く負けを認めてくれると思うんだ。リルフに対しても、そんなことを言っていたし……」


 恐らく、ローディスは戦った結果負ければ、素直に手を引くはずだ。今までのやり取りから、それはなんとなくわかる。

「騎士団長だからな……誇りはあるだろう。負けたのにまた襲おうなんて、考える人ではないはずだ」
「本当に?」
「兄貴の言う通りだと思う。実際会ってみればわかると思うけど、そういう人なんだ」
「まあ、二人がそう言うなら信用するけど……」

 ミルーシャは、私と兄貴の主張に納得してくれた。いや、納得はしていないかもしれない。私達を信用しているから、受け入れたという感じだろうか。

「相手が大人数うで動けないとすると、少数精鋭で動いてくると考えた方がいいか。でも、騎士団長が来るんだろうか? そう簡単には動けないはずなんだが……」
「それについては、もう一個の問題があるから……」
「終末を望む会……そうか、その討伐に騎士団長が自ら出陣する可能性があるということか」

 普通なら、騎士団長が自ら行動することは難しいはずである。下手なことをすれば、国王様に疑念を持たれかねないからだ。
 だが、今回は終末を望む会を壊滅させるという大義名分がある。その大義名分によって、ローディスが自らやって来る可能性は否定できないのだ。

「とにかく、俺達は戦いに備えるしかないということだな……いつやって来るかは、向こう次第ということになるし……」
「うん、そういうことになるのかな……」

 結局の所、私達からできることは現状ほとんどない。やって来る騎士達を迎え撃つことしかできないのだ。
 それしかできないのだから、あれこれ考えても仕方ない。今は、ゆっくりと休息を取り、戦いに備えるしかないのだろう。
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