刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。

木山楽斗

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73.狙われる竜⑤

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 私とリルフは、部屋で休んでいた。これから私達は、戦うことになる。そのためにも、今はゆっくりと休息と取る必要があるのだ。

「お母さん……本当に、大丈夫?」
「リルフ……やっぱり、不安だよね」

 ベッドに並んで寝転んでいると、リルフが不安を口にしてきた。
 それは、当然のことである。私だって、これからのことは不安だ。

「大丈夫、なんとかなるよ。皆協力してくれるし」
「そう……なのかな?」
「うん、そうだよ」

 私は、リルフに笑ってみせた。そうすることが、私の役目だからだ。
 不安だからといって、それをリルフに見せてはいけない。この子の前で、私は弱音を吐くことはできないのだ。

「お母さん、ボクは……」
「うん?」
「あ、いや、なんでもないよ……」

 リルフは、ゆっくりとその身を寄せてきた。こんなにも近くにいるのに、私は不思議とこの子との間に距離を感じるのだった。



◇◇◇



 王都を訪問してから、一晩が明けた。三日が経った。この三日間は、特に何も起こっていない。
 流石に、騎士団もすぐに襲撃することはできなかったようだ。それに関しては、ある程度理解できたため、あまり心配はしていなかった。
 気になったのは、終末を望む会のことである。彼らに関しては、いつ行動を起こしてもおかしくはない。だから、そちらの方が気になっている。
 もしかしたら、騎士団が抑え込んでいるのだろうか。流石に危ない団体なので、騎士団も対処しているはずなので、そうなのかもしれない。

「あれ?」
「うん? どうしたの? お母さん?」
「いや、あの人、お客さんなのかなって、思って……」

 そんなことを考えながら、私とリルフは日常生活を送ってきた。今は、食材の買い出しに行った帰りである。
 宿屋の前まで来て、私は一人の男性を見つけた。その人物は、宿屋を見上げている。その視線が少し不気味に思えて、なんだか嫌な予感がした。

「確かに、なんだか不気味だね……」
「そうだよね……でも、本当にお客さんかもしれないし、声をかけない訳にはいかないんだよね」

 宿屋の前にいるのは、明らかに怪しい人物である。だが、お客さんである可能性が残っている以上、私には話しかける義務があるといっても過言ではない。

「どうかしましたか?」
「うん? おや……」

 話しかけてみると、その初老の男性は私に笑顔を向けてきた。その笑顔は、とても不気味である。なんというか、悪意のようなものが透けて見えてくるのだ。
 もしかしたら、私の考え過ぎなのかもしれない。だが、どうしても思ってしまう。この人が、私達の敵なのではないかと。
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