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85.騎士団襲来⑦
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「団長から聞いていたが、ただのお嬢ちゃんという訳ではないようだな……」
「あなたこそ、大した速さだ……でも、その速さはドーピングで身につけたものなんだっけ」
「ああ、そうさ。身体能力の超強化、それがあの薬の効果さ」
「あの薬の効果……それで、私に投与したのは、どういうものなのかな?」
「それは、今にわかるさ」
「今にっ……!?」
ナルジャーと会話している最中、私は体全体に痛みを感じた。痺れるような痛みが、突如全身を襲ってきたのだ。
彼が言っている通り、薬の効果が表れたようである。先程の薬は、毒か何かだったようだ。
「安心しな……そいつは、体を痺れさせる薬だ。それだけで、死んだりするものじゃない」
「うぐっ……」
「お嬢ちゃんは、一応市民だからな……討伐対象は、あくまで竜だ。だから、そのままじっとしていてくれ」
「誰が……」
ナルジャーの言葉に、従うつもりは毛頭ない。そのため、私は必死で体を動かそうとする。
だが、私の体はまったく動いてくれなかった。どうやら、薬の効果というのは、かなり強力なものであるようだ。
「無理だぜ……そいつは、超強力な痺れ薬、動くなんて不可能だ」
「お母さん、じっとしていて。この人の相手は、ボクがする」
「リ、リルフ……」
動けない私に対して、リルフが声をかけてきてくれた。その言葉は、とても頼りになるものだが、少々心配である。
リルフは強い。それは理解している。
だが、相手は怪しい薬を使う。私に対しては体を痺れさせるものだったが、リルフに対してはそれ以上の薬を使ってくることはまず間違いない。それは、かなり危険である。
「リルフ、逃げるんだ……」
「お母さん? 何を……」
「違う……恐らく、ナルジャーに対しては……まともに戦うよりも、その方がいいんだ……」
「え?」
そこで、私はリルフに指示を出すことにした。今回の場合は、逃げる方がいいはずである。
ナルジャーのあの人智を越えた速度は、ドーピングで得たものだ。あれ程の力を得られるものに、リスクがないとは考えにくい。
「あのドーピングには、必ずリスクがあるはず……少なくとも、何回も投与できるものでは……ないはずだ」
「もしかして……」
「逃げ回って……あの薬が、切れるのを待つ……それが、今は得策のはずだ……」
「うん、確かにそうだね……」
私の説明に、リルフは納得してくれた。とにかく、今のナルジャーは危険だ。少なくとも、常人に戻ってくれるまでは待つべきである。
「逃げるか……確かに、それは得策かもしれない。だが竜よ。お前の母親をここに置いていくというのか?」
「え?」
「基本的には、こいつを傷つけるつもりはない。だが、特例があるかもしれないぜ。例えば、お前が逃げ出したりしたらな……」
「なっ……!」
しかし、私の策はナルジャーが許さなかった。私を人質に取る。それは、かなり卑劣な手だ。
これでは、終末を望む会と変わらない。どうやら、目の前の騎士は騎士道精神に溢れているという訳ではないようである。
「あなたこそ、大した速さだ……でも、その速さはドーピングで身につけたものなんだっけ」
「ああ、そうさ。身体能力の超強化、それがあの薬の効果さ」
「あの薬の効果……それで、私に投与したのは、どういうものなのかな?」
「それは、今にわかるさ」
「今にっ……!?」
ナルジャーと会話している最中、私は体全体に痛みを感じた。痺れるような痛みが、突如全身を襲ってきたのだ。
彼が言っている通り、薬の効果が表れたようである。先程の薬は、毒か何かだったようだ。
「安心しな……そいつは、体を痺れさせる薬だ。それだけで、死んだりするものじゃない」
「うぐっ……」
「お嬢ちゃんは、一応市民だからな……討伐対象は、あくまで竜だ。だから、そのままじっとしていてくれ」
「誰が……」
ナルジャーの言葉に、従うつもりは毛頭ない。そのため、私は必死で体を動かそうとする。
だが、私の体はまったく動いてくれなかった。どうやら、薬の効果というのは、かなり強力なものであるようだ。
「無理だぜ……そいつは、超強力な痺れ薬、動くなんて不可能だ」
「お母さん、じっとしていて。この人の相手は、ボクがする」
「リ、リルフ……」
動けない私に対して、リルフが声をかけてきてくれた。その言葉は、とても頼りになるものだが、少々心配である。
リルフは強い。それは理解している。
だが、相手は怪しい薬を使う。私に対しては体を痺れさせるものだったが、リルフに対してはそれ以上の薬を使ってくることはまず間違いない。それは、かなり危険である。
「リルフ、逃げるんだ……」
「お母さん? 何を……」
「違う……恐らく、ナルジャーに対しては……まともに戦うよりも、その方がいいんだ……」
「え?」
そこで、私はリルフに指示を出すことにした。今回の場合は、逃げる方がいいはずである。
ナルジャーのあの人智を越えた速度は、ドーピングで得たものだ。あれ程の力を得られるものに、リスクがないとは考えにくい。
「あのドーピングには、必ずリスクがあるはず……少なくとも、何回も投与できるものでは……ないはずだ」
「もしかして……」
「逃げ回って……あの薬が、切れるのを待つ……それが、今は得策のはずだ……」
「うん、確かにそうだね……」
私の説明に、リルフは納得してくれた。とにかく、今のナルジャーは危険だ。少なくとも、常人に戻ってくれるまでは待つべきである。
「逃げるか……確かに、それは得策かもしれない。だが竜よ。お前の母親をここに置いていくというのか?」
「え?」
「基本的には、こいつを傷つけるつもりはない。だが、特例があるかもしれないぜ。例えば、お前が逃げ出したりしたらな……」
「なっ……!」
しかし、私の策はナルジャーが許さなかった。私を人質に取る。それは、かなり卑劣な手だ。
これでは、終末を望む会と変わらない。どうやら、目の前の騎士は騎士道精神に溢れているという訳ではないようである。
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