そちらから縁を切ったのですから、今更頼らないでください。

木山楽斗

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19.難しい記事

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「はー、それでお母様の実家へと向かったんですか?」
「ええ、そうなんです」

 オルマナの言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 ギルバートからの提案を、私は悩んだ結果受け入れた。やはり、母と実家との間で何があったのかが気になったからだ。
 それから、私は東の拠点へと向かうことになった。そこでの出来事も、やはり私にとってはとても重要な事柄である。

「それにしてもなんというか、アルシエラさんはとても忙しいですね……」
「まあ、そうかもしれませんね。西に東に、当時はたくさん移動しました」
「大変ですね……ああでも、商人として考えるとむしろ当たり前でしょうか?」
「確かにそうですね……」

 オルマナは、いつの間にかかなりリラックスしていた。
 私に対して、笑顔を浮かべているくらいである。
 それが少しおかしくて、私も笑ってしまった。ただこれは、いい傾向であるだろう。

「しかしそう考えると、ギルバートさんの方向音痴というのは中々に致命的ですよね?」
「ああ、ええ、でもその辺りは自覚していますから、大抵の場合は、誰かに同行してもらったりするらしいですよ。私と出会った時が、どうしても一人でなければならなかったらしくて……」
「あらら、それは不運でしたね」

 そこでオルマナは、ギルバートのことを指摘した。
 確かに彼の方向音痴は、中々に難儀なものだ。それは私も、よく知っている。
 ただ、彼があそこで出会ったということが不運であるとは限らない。私の頭の中には、そんな考えが過った。
 その直後、私の体は少し熱を帯びた。そう考えてしまったことが、恥ずかしかったからだ。

「えっと、とにかく私は、ギルバートとともに東の拠点に向かうことになったのです」
「あ、ええ、その続きも聞かせていただきますね。ああでも、次も記事にはしにくいですかね? ランバット伯爵とお母様の軋轢なんて……」
「ああえっと、その辺りはそうですね……まあ、うまい具合によろしくお願いします」
「はい、わかりました」

 私の言葉に、オルマナは力強く頷いてくれた。
 私の半生は、貴族がどうしても関わってくる。故に記事にするのは、中々難しいかもしれない。
 それを私も、あまり把握していなかった。それはお互いに、考えが足りていなかった点といるかもしれない。

「……といっても、ランバット伯爵家に問題があったという訳ではないんですけれどね」
「ああ、そうなんですか?」
「ええ、お母様と実家はすれ違っていたのです。あることが原因で……」

 一区切り置いてから、私は再び話を再開する。
 こうして私は、また自分の半生を語り始めたのだった。
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