そちらから縁を切ったのですから、今更頼らないでください。

木山楽斗

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18.彼が働いているのは

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「そういえば、ギルバートさんは普段はどちらにいらっしゃるんですか?」

 ギルバートさんと話していて、私はまた新たなる疑問を抱いていた。
 彼はラナキンス商会の一員であるらしいが、ここで働いている訳ではない。つまりどこか別の拠点で活動しているということになる。
 他に拠点があることは事前に聞いていたが、それらのことを私はよく知らない。故に、彼の働いている場所も検討がつかいなのだ。

「僕は東の拠点で活動しています。えっと……そうですね。ランバット伯爵の領地と言った方が、あなたにはわかりやすいでしょうか?」
「ランバット伯爵……」
「おや、どうかしましたか?」

 ギルバートさんの口から出た名前に、私は思わず固まっていた。
 なぜなら、その伯爵のことを私はよく知っていたからだ。

「いえ、その……親戚なんです」
「親戚?」
「ええ、ご存じありませんでしたか? ランバット伯爵家は、私の母アルシャナの実家にあたる家なのです」
「なんですって?」

 私の言葉に、ギルバート様はその表情を強張らせた。
 それは当然の反応であるだろう。母と交流があったはずの彼が、母の実家である伯爵家の領地で働いているのに、その事実を知らない。それはなんとも、おかしな話である。

「そんなことは聞いたことがありません。ラナキンスさんも、父も、僕にそういったことは言ってくれませんでした」
「多分、母が伝えてなかったのではないでしょうか? どうやら、実家との折り合いは悪かったらしいですから」
「そうなのですか?」

 詳しいことは知らないが、母は実家との折り合いが悪かったらしい。何か軋轢のようなものがあったようなのだ。
 母は、その詳細を私に話してはくれなかった。きっとラナキンスさんやギルバートさんのお父様にも、話せないことだったのだろう。

「……本当に、一体何があったのかしら?」
「アルシエラさん?」
「ああ、すみません。少し気になってしまって……」

 そこで私は、思わず呟いてしまった。
 母と実家との間には、一体何があったのか、それが私は無性に気になってしまった。母はその秘密を墓まで持っていってしまったが、本当にそれは修復できない程の軋轢だったのだろうか。

「実家のことを話す時、母は複雑な面持ちでした。もしかしたら、母は和解したがっていたのかもしれないと、そう思ってしまうのです」
「……それなら、行ってみませんか?」
「……え?」
「僕と一緒に、東の拠点に行きましょう。ランバット伯爵家とアルシャナ様の間に何があったのか、確かめに行きましょう!」
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