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19.現れた姫君
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「ウルティナ姫、君にならわかるだろう。談笑とは、時に険悪な雰囲気になることもあるということが……」
「言い訳をする必要はないぞ、バルキス。貴様がどういった人間であるか、私はよく知っている」
「そ、それは……」
バルキス様の言葉に、ウルティナ姫は笑みを浮かべていた。
ただそれは、バルキス様が期待しているような笑みではないだろう。彼女はどうやら、ただ騒ぎを聞きつけてここに来たという訳ではないらしい。
「貴様は伯爵家の嫡子という立場をいいことに、随分と横暴なことをしていたようだな? 貴様の悪行に関して、色々と情報が入っている」
「なっ……」
「被害者を脅せば、ばれないとでも高を括っていたか? しかしそう都合よくいくものではないぞ? 特に貴様のような悪逆には大きなしっぺ返しがあるということだ」
「ひっ……」
ウルティナ姫は、ゆっくりとバルキス様の方に歩み寄っていた。
それから逃げるように後退ったバルキス様は、程なくして尻餅をついた。恐怖のあまり、尻餅をついてしまったようだ。
確かにウルティナ姫には、迫力があった。あれに迫られていたら、私も彼のようになるかもしれない。
「貴様には元より重い罰を与えるつもりだったが、それは随分と簡単になったものだ」
「……え?」
「間抜けの貴様は、何も気付いていないようだな。あそこにいるのが誰であるか、わからないか?」
「……ま、まさか、王家の――うぐっ!」
ウルティナ姫の言葉で、バルキス様はやっと私の正体に気付いたようだった。
しかし彼がそれを口にすることはなかった。ウルティナ姫が止めたのだ。バルキス様の腹を蹴ることによって。
「せっかくの機会だ。貴様を絞首台に送ってやるとしよう」
「あ、ぐっ……こ、絞首台? ま、待ってくれ。僕は――あがっ」
「薄汚い手で私に触るな。貴様の言い分など聞く気はない。おい、連れて行け」
「ま、待て、僕を誰と思っている?」
ウルティナ姫が手を上げると、どこかから兵士らしき者達が現れた。
その者達によって、バルキス様は拘束される。彼は色々と言っているが、それはまったく聞き入れられなかった。既に正式に、捕まえられる状況ということなのだろう。
「少しくらい気が晴れるかと思ったが、そうでもないものだな」
「あ、あの……」
「うん?」
「ありがとうございました、助けていただいて……」
その場に残ったウルティナ姫に、私はお礼を述べることにした。
色々としがらみがあるものの、この場において彼女が私を助けてくれたことは事実だ。故に感謝の気持ちは、伝えておくべきだと思った。
「……はっ!」
「え?」
「ふふっ! ははっ!」
私の言葉を受けたウルティナ姫は、急に笑い始めた。
その笑いの意図が理解できず、私は困惑する。私は何も、おかしなことは言っていないはずなのだが。
「言い訳をする必要はないぞ、バルキス。貴様がどういった人間であるか、私はよく知っている」
「そ、それは……」
バルキス様の言葉に、ウルティナ姫は笑みを浮かべていた。
ただそれは、バルキス様が期待しているような笑みではないだろう。彼女はどうやら、ただ騒ぎを聞きつけてここに来たという訳ではないらしい。
「貴様は伯爵家の嫡子という立場をいいことに、随分と横暴なことをしていたようだな? 貴様の悪行に関して、色々と情報が入っている」
「なっ……」
「被害者を脅せば、ばれないとでも高を括っていたか? しかしそう都合よくいくものではないぞ? 特に貴様のような悪逆には大きなしっぺ返しがあるということだ」
「ひっ……」
ウルティナ姫は、ゆっくりとバルキス様の方に歩み寄っていた。
それから逃げるように後退ったバルキス様は、程なくして尻餅をついた。恐怖のあまり、尻餅をついてしまったようだ。
確かにウルティナ姫には、迫力があった。あれに迫られていたら、私も彼のようになるかもしれない。
「貴様には元より重い罰を与えるつもりだったが、それは随分と簡単になったものだ」
「……え?」
「間抜けの貴様は、何も気付いていないようだな。あそこにいるのが誰であるか、わからないか?」
「……ま、まさか、王家の――うぐっ!」
ウルティナ姫の言葉で、バルキス様はやっと私の正体に気付いたようだった。
しかし彼がそれを口にすることはなかった。ウルティナ姫が止めたのだ。バルキス様の腹を蹴ることによって。
「せっかくの機会だ。貴様を絞首台に送ってやるとしよう」
「あ、ぐっ……こ、絞首台? ま、待ってくれ。僕は――あがっ」
「薄汚い手で私に触るな。貴様の言い分など聞く気はない。おい、連れて行け」
「ま、待て、僕を誰と思っている?」
ウルティナ姫が手を上げると、どこかから兵士らしき者達が現れた。
その者達によって、バルキス様は拘束される。彼は色々と言っているが、それはまったく聞き入れられなかった。既に正式に、捕まえられる状況ということなのだろう。
「少しくらい気が晴れるかと思ったが、そうでもないものだな」
「あ、あの……」
「うん?」
「ありがとうございました、助けていただいて……」
その場に残ったウルティナ姫に、私はお礼を述べることにした。
色々としがらみがあるものの、この場において彼女が私を助けてくれたことは事実だ。故に感謝の気持ちは、伝えておくべきだと思った。
「……はっ!」
「え?」
「ふふっ! ははっ!」
私の言葉を受けたウルティナ姫は、急に笑い始めた。
その笑いの意図が理解できず、私は困惑する。私は何も、おかしなことは言っていないはずなのだが。
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