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29.使用人として
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使用人メルフィナとして再出発するというのは、非常に大変なことだった。
アゼルトお兄様のお世話をしているシエーラ様は、私の礼儀作法の指導をしてくれていたのだが、彼女から学ぶことは倍以上に増えた。使用人というのは、色々と大変であるということを、私は日々実感している。
しかしそれでも、やるべきことがあるというのは良いものだ。アゼルトお兄様とお喋りするくらいで何もしていなかった頃と比べると、なんというか覇気が戻っているような気がする。
「使用人としては、まだまだではあるがな……」
「て、手厳しいですね……」
「世辞を言った所で、今のお前には嬉しいものではないだろう。王城で正式に働けるようになるには、かなりの時間が必要になるな。もっともそれは、仕方ないことだ。お前から選択肢を奪った俺は、成長をいくらでも待つとしよう」
アゼルトお兄様は、私の決断に嬉しそうにしてくれていた。
それはとてもありがたいことである。やはりアゼルトお兄様は、お優しい人だ。
ただそんな彼は、私の真実を知らないはずである。事実を知っているのは、国王様と王妃様だけらしいので、彼は私のことを本当に妹だと思っているはずだ。
それがなんだか、少し申し訳なかった。もっとも私も、今更アゼルトお兄様のことを甥と思うなんて無理な話だ。そもそも私の方が、年下である訳だし。
「……どうかしたのか?」
「え?」
「いや、遠くを見つめているようだったからな。最近のお前は、そういったことがよくある。父上に呼び出されてから、そうなったか。使用人として務めたいと言うようになったのも、その時だったが……」
「あ、えっと……」
関係性について考えていた私は、少しぼうっとしてしまったらしい。
そういった隙をアゼルトお兄様は、見逃してくれなかった。元々ある程度疑いを持っていたのかもしれないが、的確に質問してくる。
「色々と知ったことがあるんです。国王様のことという訳でもなく、その……セディルスさんのことなのですが」
「ふむ……」
「アゼルトお兄様も、ご存知だったのですよね?」
「もちろん把握していた。しかしそれに関しては些細なことだ。父上はそれなりに考慮しているようだが、俺はそうしようとは思わない」
私は、セディルスさんのことを持ち出してなんとか誤魔化そうとした。
それはあまり、効果がなかったような気がする。アゼルトお兄様は、私に他の悩みがあると見抜いているようだ。
とはいえ、アゼルトお兄様はセディルスさんに対する評価を述べてくれた。
あまり踏み込み過ぎるのも良くないと判断してくれたということだろうか。私としてはとても助かる。私の出自に関しては、本当に重大な秘密である訳だし。
アゼルトお兄様のお世話をしているシエーラ様は、私の礼儀作法の指導をしてくれていたのだが、彼女から学ぶことは倍以上に増えた。使用人というのは、色々と大変であるということを、私は日々実感している。
しかしそれでも、やるべきことがあるというのは良いものだ。アゼルトお兄様とお喋りするくらいで何もしていなかった頃と比べると、なんというか覇気が戻っているような気がする。
「使用人としては、まだまだではあるがな……」
「て、手厳しいですね……」
「世辞を言った所で、今のお前には嬉しいものではないだろう。王城で正式に働けるようになるには、かなりの時間が必要になるな。もっともそれは、仕方ないことだ。お前から選択肢を奪った俺は、成長をいくらでも待つとしよう」
アゼルトお兄様は、私の決断に嬉しそうにしてくれていた。
それはとてもありがたいことである。やはりアゼルトお兄様は、お優しい人だ。
ただそんな彼は、私の真実を知らないはずである。事実を知っているのは、国王様と王妃様だけらしいので、彼は私のことを本当に妹だと思っているはずだ。
それがなんだか、少し申し訳なかった。もっとも私も、今更アゼルトお兄様のことを甥と思うなんて無理な話だ。そもそも私の方が、年下である訳だし。
「……どうかしたのか?」
「え?」
「いや、遠くを見つめているようだったからな。最近のお前は、そういったことがよくある。父上に呼び出されてから、そうなったか。使用人として務めたいと言うようになったのも、その時だったが……」
「あ、えっと……」
関係性について考えていた私は、少しぼうっとしてしまったらしい。
そういった隙をアゼルトお兄様は、見逃してくれなかった。元々ある程度疑いを持っていたのかもしれないが、的確に質問してくる。
「色々と知ったことがあるんです。国王様のことという訳でもなく、その……セディルスさんのことなのですが」
「ふむ……」
「アゼルトお兄様も、ご存知だったのですよね?」
「もちろん把握していた。しかしそれに関しては些細なことだ。父上はそれなりに考慮しているようだが、俺はそうしようとは思わない」
私は、セディルスさんのことを持ち出してなんとか誤魔化そうとした。
それはあまり、効果がなかったような気がする。アゼルトお兄様は、私に他の悩みがあると見抜いているようだ。
とはいえ、アゼルトお兄様はセディルスさんに対する評価を述べてくれた。
あまり踏み込み過ぎるのも良くないと判断してくれたということだろうか。私としてはとても助かる。私の出自に関しては、本当に重大な秘密である訳だし。
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