王家の血を引く私との婚約破棄を今更後悔しても遅いですよ。

木山楽斗

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8.弟と妹の見解

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「姉上が、まさか王家の血筋だったなんて……」
「……思ってもいないことでした」

 私とスヴェルツ様は、客室にてルドリフやローレリアに対して色々と話していた。
 伯父様と伯母様には、既に話し終えている。伯父様だけではなく伯母様も私の出自に関して知っていたようで、目の前にいる二人と違って特に驚きなどはなかった。

「かつて王位争いがあったという話は聞いていましたが、それにラナフィス伯爵家が関係していたとは……」
「お姉様のお父様は、その事件で亡くなってしまわれたのですよね……?」
「ええ、そうなるわね。国王様の下の弟――当時は第三王子だった人よ」
「もう少し歴史の勉強をきちんとしておけば良かった、と思ってしまいます。お姉様のお父上について、私はあまり知識がありません」

 ルドリフやローレリアも、当然アルゼル王国の歴史については勉強している。しかしそれが自分達に密接して関係しているなどとは考えていなかったため、そこまで深く知っているという訳ではないのだろう。
 それは私とて同じことだ。父のことは、本や文書などに記されたことしか知らない。

「……ラナーシア嬢、どうかされましたか?」
「え? ああいえ、もう少し父のことを国王様やセルナード侯爵に聞いておけば良かったと思いまして……実際に関わっていた二人ならば、本当の父がわかるのではないか、そう考えてしまったのです」
「なるほど……それは確かにそうかもしれませんね。ですが仕方ないことです。あの場は聞けるような雰囲気ではありませんでした」
「そうですね……」

 父のことを知りたいという気持ちは、元々私の中にはあった。
 ただそれはどちらかというと恨みのような感情からだった。父に関して、私は良い印象は持っていなかったのである。
 しかし今は、色々と事情があったということはわかった。だから純粋に知りたいと思う。父がどんな人だったのかということを。

「……とにかく二人とも、これからラナフィス伯爵家も色々と忙しくなると思うわ。王家の血を引く者がいるとなると、情勢も変わってくるでしょうし」
「そうですね……しかしそれは、嘆くようなことではありませんね。ラナフィス伯爵家にとって良いことだといえます。それに姉上にとっても良いことです」
「私にとっても?」
「今までお姉様は、色々と言われてきたではありませんか。それが終わるのですから、良いことだといえます。もちろん、複雑な面もあるかもしれませんが」
「……そうね。とりあえず表面上でも収まってくれるというなら、喜ぶべきかしら」

 ルドリフとローレリアは、私以上に私の風評について気にしてくれていた。私の出自が判明したことで、それを二人が気にしなくなるなら、それは確かに良いことかもしれない。
 当然のことながら、手の平を返されるというのは納得できない部分もある。しかしそれでも、面と向かって何か言われなくなるだけでも違うはずだ。

「良き弟君と妹君をお持ちですね……」
「ええ、本当に……」

 スヴェルツ様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 私は今まで、出自によって苦しめられてきた。しかし私は、家族に恵まれていたといえる。だからここまで、やってこられたのかもしれない。
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