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帰宅と結婚準備 1
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年が明けて一か月半が経った。
気温はさほど高くなったようには感じないが雪が降る日はめっきり減り、天気のいい日が続いている。
予定ならばあとひと月は社交のために王都にいる予定だったが、出席しなければならないパーティーやお茶会はもうなさそうだとフェルナンドが判断して、ひと月前倒して領地に戻ることになった。
道中の雪はまだ解けていないが、ステファーニ公爵家の馬車はエラルドの作った魔術具が搭載されているので雪道でも滑らず安全に走行できる。
馬の防寒具にも小型の魔術具が縫い付けられていて、寒さを軽減してくれるそうだ。
もちろん雪が積もっていることにかわりはないので、王都に向かったときよりも移動日数を多めに設定してゆっくり帰ることになるが、春に結婚式を挙げるので、早めに帰って準備をはじめたほうがいいだろうとフェルナンドが言ったのだ。
イアナとしても、ルクレツィオやカーラたちに会いたかったし、社交をするより家族でのんびりとすごす方が好きである。当然否やはない。
ということで、二月の半ば、イアナとフェルナンドは国王夫妻に挨拶を終え、ステファーニ公爵領に向かって旅立った。
道中はトラブルもなくスムーズで、二月の終わりに領地のステファーニ公爵邸に到着すると、玄関から可愛いお孫ちゃん二人が飛び出してくる。
「ばぁばー! じぃじー!」
馬車を降りてきたところで抱き着いてきたルクレツィオを抱き上げると、十秒ほど遅れてカーラがぽすんとイアナの足元に抱き着いた。イアナはルクレツィオとカーラを二人まとめて抱き上げられないので、カーラはフェルナンドが抱き上げる。
「ただいまルッツィ、カーラ。二人ともちょっと大きくなったわね」
子供の成長は実に早い。領地を出発した秋よりも、抱え上げたルクレツィオは重たくなったように感じた。身長も伸びたようだ。
子供たちときゃっきゃと笑いあっていると、アリーチャとエラルドが玄関から出てきた。
「お帰りなさい、父上、義母上」
「ただいま。領地は変わりなかったか」
「とくには。猪の魔獣が冬の頭に一度出たので討伐しましたが、そのくらいですかね」
「お祭りたのしかったよ!」
猪の魔獣を討伐した後の祭りには、ルクレツィオもカーラも少しだけ参加したらしい。
「じゃあ、ばぁばにお祭りのお話を聞かせてくれる?」
「うん!」
王都の様子や領地の様子の情報交換をするため、イアナたちはダイニングに向かった。
イアナとフェルナンドの結婚式については、事前にフェルナンドがエラルドに手紙を出していたためにすでに話が通っている。領地の神殿のスケジュールもすでに押さえたそうだ。
フェルナンドとエラルドが情報交換をしている間、イアナはルクレツィオとカーラから魔獣討伐後の祭りの様子や、アリーチャから邸の様子を聞いた。
猪の魔獣には立派な牙が生えていて、それは公爵領の騎士団本部で保管されているらしい。ルクレツィオは牙に触らせてもらったと、まるで武勇伝のように誇らしそうに語った。
「お義母様は王都では大丈夫でした? お義母様のご実家は、その……困った方たちのようですから、不快な思いをなさったのではありません?」
「旦那様がいてくださったから大丈夫でしたけど、まあ、なんというか、相変わらずの人たちでした。ただ、もう少ししたら落ち着くかもしれません」
イアナが、コンソラータ・モンレアーレ伯爵夫人がジョルジアナに激怒して、その性格を矯正すべく遠縁のギオーニ男爵に嫁がせる計画を立てている話をすると、アリーチャが「まあ」と目を丸くする。
「ギオーニ男爵とはわたくしもお会いしたことがございますけど、そうですか……。確かにマナーには厳しい方ですわね。わたくしには穏やかな方に思えましたけど。あとは、そうですわね、あそこはもしかしたら、男爵よりもお嫁さんたちの方が厳しいかもしれませんわね」
ギオーニ男爵には三人の息子がいるが、三人とも結婚しているそうだ。長男は家を継ぐが、次男は騎士に叙勲されており、三男は親戚の男爵家に婿入りしている。
そして三人が三人とも、なかなか気の強い女性と結婚したそうだ。礼儀正しい女性たちばかりだと言うが、子供たちのしつけもかなり厳しいらしいので、義父に嫁いだジョルジアナにも容赦しないだろうとのことである。
(あらあら。でも、あの子のことだからそのくらい厳しくされないとあの性格は直らないでしょうし、礼儀を叩きこまれるのならあの子のためでもあるものね)
けれど、ギオーニ男爵一家には迷惑をかけるだろうから、折を見て菓子折りでも持って挨拶に行った方がいいだろうか。
コンソラータからはあれからも何度か手紙が来ていて、近況報告を受けている。ギオーニ男爵とジョルジアナの縁談は無事にまとまって、春に結婚式だそうだ。婚約期間をほとんどおかなかったあたり、コンソラータの策略を感じる。とっとと嫁がせてジョルジアナにしつけという報復を行いたいのだろう。
ジョルジアナがギオーニ男爵家に嫁ぐのを、今か今かと舌なめずりをしながら待っているコンソラータの姿を想像して、イアナは小さく笑った。
気温はさほど高くなったようには感じないが雪が降る日はめっきり減り、天気のいい日が続いている。
予定ならばあとひと月は社交のために王都にいる予定だったが、出席しなければならないパーティーやお茶会はもうなさそうだとフェルナンドが判断して、ひと月前倒して領地に戻ることになった。
道中の雪はまだ解けていないが、ステファーニ公爵家の馬車はエラルドの作った魔術具が搭載されているので雪道でも滑らず安全に走行できる。
馬の防寒具にも小型の魔術具が縫い付けられていて、寒さを軽減してくれるそうだ。
もちろん雪が積もっていることにかわりはないので、王都に向かったときよりも移動日数を多めに設定してゆっくり帰ることになるが、春に結婚式を挙げるので、早めに帰って準備をはじめたほうがいいだろうとフェルナンドが言ったのだ。
イアナとしても、ルクレツィオやカーラたちに会いたかったし、社交をするより家族でのんびりとすごす方が好きである。当然否やはない。
ということで、二月の半ば、イアナとフェルナンドは国王夫妻に挨拶を終え、ステファーニ公爵領に向かって旅立った。
道中はトラブルもなくスムーズで、二月の終わりに領地のステファーニ公爵邸に到着すると、玄関から可愛いお孫ちゃん二人が飛び出してくる。
「ばぁばー! じぃじー!」
馬車を降りてきたところで抱き着いてきたルクレツィオを抱き上げると、十秒ほど遅れてカーラがぽすんとイアナの足元に抱き着いた。イアナはルクレツィオとカーラを二人まとめて抱き上げられないので、カーラはフェルナンドが抱き上げる。
「ただいまルッツィ、カーラ。二人ともちょっと大きくなったわね」
子供の成長は実に早い。領地を出発した秋よりも、抱え上げたルクレツィオは重たくなったように感じた。身長も伸びたようだ。
子供たちときゃっきゃと笑いあっていると、アリーチャとエラルドが玄関から出てきた。
「お帰りなさい、父上、義母上」
「ただいま。領地は変わりなかったか」
「とくには。猪の魔獣が冬の頭に一度出たので討伐しましたが、そのくらいですかね」
「お祭りたのしかったよ!」
猪の魔獣を討伐した後の祭りには、ルクレツィオもカーラも少しだけ参加したらしい。
「じゃあ、ばぁばにお祭りのお話を聞かせてくれる?」
「うん!」
王都の様子や領地の様子の情報交換をするため、イアナたちはダイニングに向かった。
イアナとフェルナンドの結婚式については、事前にフェルナンドがエラルドに手紙を出していたためにすでに話が通っている。領地の神殿のスケジュールもすでに押さえたそうだ。
フェルナンドとエラルドが情報交換をしている間、イアナはルクレツィオとカーラから魔獣討伐後の祭りの様子や、アリーチャから邸の様子を聞いた。
猪の魔獣には立派な牙が生えていて、それは公爵領の騎士団本部で保管されているらしい。ルクレツィオは牙に触らせてもらったと、まるで武勇伝のように誇らしそうに語った。
「お義母様は王都では大丈夫でした? お義母様のご実家は、その……困った方たちのようですから、不快な思いをなさったのではありません?」
「旦那様がいてくださったから大丈夫でしたけど、まあ、なんというか、相変わらずの人たちでした。ただ、もう少ししたら落ち着くかもしれません」
イアナが、コンソラータ・モンレアーレ伯爵夫人がジョルジアナに激怒して、その性格を矯正すべく遠縁のギオーニ男爵に嫁がせる計画を立てている話をすると、アリーチャが「まあ」と目を丸くする。
「ギオーニ男爵とはわたくしもお会いしたことがございますけど、そうですか……。確かにマナーには厳しい方ですわね。わたくしには穏やかな方に思えましたけど。あとは、そうですわね、あそこはもしかしたら、男爵よりもお嫁さんたちの方が厳しいかもしれませんわね」
ギオーニ男爵には三人の息子がいるが、三人とも結婚しているそうだ。長男は家を継ぐが、次男は騎士に叙勲されており、三男は親戚の男爵家に婿入りしている。
そして三人が三人とも、なかなか気の強い女性と結婚したそうだ。礼儀正しい女性たちばかりだと言うが、子供たちのしつけもかなり厳しいらしいので、義父に嫁いだジョルジアナにも容赦しないだろうとのことである。
(あらあら。でも、あの子のことだからそのくらい厳しくされないとあの性格は直らないでしょうし、礼儀を叩きこまれるのならあの子のためでもあるものね)
けれど、ギオーニ男爵一家には迷惑をかけるだろうから、折を見て菓子折りでも持って挨拶に行った方がいいだろうか。
コンソラータからはあれからも何度か手紙が来ていて、近況報告を受けている。ギオーニ男爵とジョルジアナの縁談は無事にまとまって、春に結婚式だそうだ。婚約期間をほとんどおかなかったあたり、コンソラータの策略を感じる。とっとと嫁がせてジョルジアナにしつけという報復を行いたいのだろう。
ジョルジアナがギオーニ男爵家に嫁ぐのを、今か今かと舌なめずりをしながら待っているコンソラータの姿を想像して、イアナは小さく笑った。
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