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黒い人や、黒い手が、僕を覆う。
僕は怖くて怖くて、叫んだ。
なのに、みんな今まで僕のついた嘘だってなんでも信じてくれていたのに、誰も信じてくれなかった。
僕は押さえつけられて、薄暗い精神病院に入院させられた。
病院だというのに、まるで囚人の部屋みたいな鉄格子がついた部屋に入れられ、しばらくしてから僕の息は苦しくなった。
ゼェゼェと胸から音が鳴り、息ができない。
僕の体の周りをまとわりついていた黒い者達は、一斉に僕を押さえ込み床へぐいぐい引っ張ってきた。
「ひっ……ぁっくろ……手が! おねがっ……たすけっ」
息も絶え絶えできる限りの声を出し、精神病院のスタッフが駆けつける。
けれど、助けてもらうことは叶わぬまま僕は黒い手によって床へと引き摺り込まれてしまった。
不思議と、床の下から倒れた僕の体を取り囲む病院のスタッフが見えた。
床に引き摺り込まれた段階で生きは苦しく無くなっていたけれど、相変わらず体にまとわりつく黒い手は僕を下へ下へと引っ張っていった。
僕は現状起こっていることを理解できないまま、現実逃避するように目を閉じた。
こうして、嫌なことから目をそらしていれば、大体誰かが代わりにやってくれたり、終わっていたりする。
きっとこれも、たちの悪い夢で、目を覚ませばいつも通りの日常が待っているはずだ。
そうしていると、ふと僕を引っ張る手の感覚が全て無くなった。
「ほら、やっぱり夢だったんだ」
そう呟くと同時に目を開けると、そこは赤黒い空の気味の悪い場所だった。
枯れ木や、小豆色の土、その見た目はまさに地獄のような場所だ。
起き上がり頬をつねると痛かった。
人らしき気配はない、むしろ生き物の気配が何もなかった。
立ち上がり歩いてみても景色は何も変わらなかった。
喉が渇く、お腹がすく。
けれどあたりには何もない。
人は水分を取らなければ1週間もたたないうちに死んでしまうらしいのに、僕は2週間そうやって過ごしても、死ななかった。
喉が渇く、お腹が空く。
なのに何も飲むものも食べるものもない。
それでも僕は死なない。
転べば痛い。
自分の頬を叩けば、痛い。
痛いのは生きている証拠だというのに、僕はもう生きていないのだと理解している。
空は気味の悪い夕暮れと、夜とを交互に繰り返し、決して朝になることはなかった。
いつか誰かに会えるかもしれない。だから、ただひたすら歩き続けた。
歩き続けている間、なぜ自分がこんな目にあっているのかと考える。
誰かの呪いのせいだろう。
笹原は千景のはずはないと言った。
けれど、だったら誰が。
心当たりが多すぎて、誰の呪いか分からない。
けれど、僕はここまでされるほどのことをした覚えはない。
せいぜい、カップルの間に割り込んでめちゃくちゃにしたくらいのことしかしてないのに、それにしては罪が重すぎる。
歩きながら、僕は心の中で僕をこんな目に合わせる相手に悪態をついた。
僕は怖くて怖くて、叫んだ。
なのに、みんな今まで僕のついた嘘だってなんでも信じてくれていたのに、誰も信じてくれなかった。
僕は押さえつけられて、薄暗い精神病院に入院させられた。
病院だというのに、まるで囚人の部屋みたいな鉄格子がついた部屋に入れられ、しばらくしてから僕の息は苦しくなった。
ゼェゼェと胸から音が鳴り、息ができない。
僕の体の周りをまとわりついていた黒い者達は、一斉に僕を押さえ込み床へぐいぐい引っ張ってきた。
「ひっ……ぁっくろ……手が! おねがっ……たすけっ」
息も絶え絶えできる限りの声を出し、精神病院のスタッフが駆けつける。
けれど、助けてもらうことは叶わぬまま僕は黒い手によって床へと引き摺り込まれてしまった。
不思議と、床の下から倒れた僕の体を取り囲む病院のスタッフが見えた。
床に引き摺り込まれた段階で生きは苦しく無くなっていたけれど、相変わらず体にまとわりつく黒い手は僕を下へ下へと引っ張っていった。
僕は現状起こっていることを理解できないまま、現実逃避するように目を閉じた。
こうして、嫌なことから目をそらしていれば、大体誰かが代わりにやってくれたり、終わっていたりする。
きっとこれも、たちの悪い夢で、目を覚ませばいつも通りの日常が待っているはずだ。
そうしていると、ふと僕を引っ張る手の感覚が全て無くなった。
「ほら、やっぱり夢だったんだ」
そう呟くと同時に目を開けると、そこは赤黒い空の気味の悪い場所だった。
枯れ木や、小豆色の土、その見た目はまさに地獄のような場所だ。
起き上がり頬をつねると痛かった。
人らしき気配はない、むしろ生き物の気配が何もなかった。
立ち上がり歩いてみても景色は何も変わらなかった。
喉が渇く、お腹がすく。
けれどあたりには何もない。
人は水分を取らなければ1週間もたたないうちに死んでしまうらしいのに、僕は2週間そうやって過ごしても、死ななかった。
喉が渇く、お腹が空く。
なのに何も飲むものも食べるものもない。
それでも僕は死なない。
転べば痛い。
自分の頬を叩けば、痛い。
痛いのは生きている証拠だというのに、僕はもう生きていないのだと理解している。
空は気味の悪い夕暮れと、夜とを交互に繰り返し、決して朝になることはなかった。
いつか誰かに会えるかもしれない。だから、ただひたすら歩き続けた。
歩き続けている間、なぜ自分がこんな目にあっているのかと考える。
誰かの呪いのせいだろう。
笹原は千景のはずはないと言った。
けれど、だったら誰が。
心当たりが多すぎて、誰の呪いか分からない。
けれど、僕はここまでされるほどのことをした覚えはない。
せいぜい、カップルの間に割り込んでめちゃくちゃにしたくらいのことしかしてないのに、それにしては罪が重すぎる。
歩きながら、僕は心の中で僕をこんな目に合わせる相手に悪態をついた。
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