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第十一節「心拠りし所 平の願い その光の道標」
~わたくしも同伴するつもりです~
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大クリスマスパーティの翌日、二五日。
本来は今日が聖夜の本番とも言える。
なのできっと多くの関連店が今日という日に全ての力を注ぐ事だろう。
しかし勇達としてはあれだけ騒いだ後な訳で。
代わりに今日はどの家庭も普段通りだ。
冬休みに入った事で怠惰な年末年始が始まるに違いない。
だが聖夜だろうが冬休みだろうが、勇には何の関係も無いが。
勇が朝早くに目を覚ます。
毎日恒例、朝練タイムの始まりだ。
既に慣れ過ぎて、目覚ましさえも必要無いという。
とはいえ今日はその設置さえもしていないけれど。
というのも、勇のベッド隣にはもう一人客が居るから。
そう、カプロが眠っている。
布団の中で包まり、ピウピウとイビキをかいてスヤスヤと。
その毛玉を叩き起こすのも悪いので、目覚ましを予め解除していたのだ。
ちなみにエウリィはちゃなの部屋に。
勇の部屋で寝る事はさすがに母親が許さなかった。
それに二人が残念がっていたのは言うまでもない。
そんな昨日の思い出に微笑みを零しつつ、勇がそろりそろりと部屋を出る。
どうやらカプロは完全に熟睡しているらしく、起きる気配は無さそう。
なのでそのまま階下に。
すると、思わぬ光景に目を疑う事に。
「あ、勇君おはよう~」
「おはようございます、勇様」
なんと女性陣が既に起きていた。
ちゃなだけはどうにも眠そうにしているけれども。
時間はまだ七時と朝早いにも拘らず。
「あ、おはようー。早いね、皆」
「お母さんは仕事だからねー。でもエウリィちゃんの方が早く起きててびっくりしたわよ」
「へぇ……」
どうやらエウリィの起床に気付き、一緒に起きて来た様だ。
ただ、まだまだ寝足りない感じは否めないが。
きっと昨日の夜遅くまでエウリィと盛り上がっていた所為だろう。
とはいえ、そのエウリィ自身はと言えばスッキリした面持ちを浮かべていて。
「こちらは客ですから、身なりを整えませんと。ですので湯あみ場を借りたいと思い、早くより起きてお待ちしていたのです」
「そんな畏まらなくてもいいのに~」
当人達の言う通り、甘い香りもリビングから漂ってくる。
朝早くからシャワーを浴びたお陰で様相もバッチリだ。
既に洗剤やドライヤーなどもしっかり使いこなしているらしい。
さすがフェノーダラ王国きっての先鋭婦女子、もう現代にすっかり馴染んでいる模様。
その自信満々な笑みに、勇でさえ驚いてならない。
隣に座ってウトウトするちゃなが比較となって、なお際立つかの様だ。
故に感心さえ抱く。
王女という存在はここまでパーフェクトなのか、と。
いや、あるいはエウリィという存在が、か。
「だよなぁ。エウリィさん、こんな時くらい伸び伸びしてていいんだからね?」
「ウフフッ、ありがとうございます」
そしてこの屈託の無い笑顔である。
普段からフェノーダラ王やら剣聖などと比べて控えめだからあまり目立たないけれど。
今こうして一般家庭に訪れて、初めて存在感が際立つ。
エウリィの上品なオーラが眩くて輝かしい。
直視出来ないくらいに、平伏してしまいそうなくらいに。
これには勇も母親も怯んでならない。
服装は普通のジャージ姿なのに。
むしろそのギャップが輝きを増させているかの様だ。
「なんなのこの子、眩し過ぎて直視出来ない……ッ!」
「すげえ、これが真のお嬢様ってやつなのか……!?」
きっと普段着がドレスだったから和らいでいたのだろう。
それが彼女の魅力を分散させ、推し留めていたに違いない。
だがその枷が外れた今、エウリィという存在が輝いて止まらない。
本人も自覚しているのか笑いも止まらない。
「お、俺、朝練あるから。着替えて行ってくる」
「逃げたわね……」
そんな訳で勇がギブアップ――いや、大事な朝練へと向かおうと洗面所へ。
朝練用のジャージとパーカーを纏って準備完了だ。
なんて思っていたその時。
「勇様、準備出来ましたか?」
洗面所の扉の隙間から甲高い声が漏れ出て来る。
あと、その隙間から蒼い眼がしっかり見えている。
「エウリィさん……覗きなんて、はしたないよ?」
「いいえ、これは覗きではありません。観察です」
「あっそう……」
輝かしいお嬢様オーラを放つけれど、やる事は随分とアグレッシブ。
勇の生着替えをどこから見ていたのやら。
一体どれだけの属性を秘めているのかわかったものではない。
でもそのエウリィさん、今なおとても真面目そうな顔付きで。
覗かれていた勇としてもなんだか複雑だ。
恥ずかしがる事自体がなんだか恥ずかしくて。
何はともあれ、朝練の準備は完了。
あとは例日通りのロードワークをこなして雑念を振り払うだけでいい。
と思って扉を開いたのだけれども。
「あれっ、エウリィさんその格好……」
「はいっ、わたくしも同伴するつもりです」
そう、なんとエウリィも着込んでいたのだ。
どうやら予め、この時の為の厚着を用意していたらしい。
先日のパーティの前にもう準備していたのだろう。
これには勇もちょっと引き気味な様子。
「ええ、だ、大丈夫なの!?」
「問題ありません。毎日の走り込みはやっていますから」
「そ、そうなんだ。まぁいいけど」
「わ、私も行きます……!」
「ええっ、田中さんも!?」
ただし、決して彼女達が付いて来る事に、などではない。
〝眼鏡にかなうかが不安〟だったからである。
果たして、自分の努力はこのパーフェクトガールにどこまで通用するのか、と。
こうして、三人は流れで一緒にロードワークする事に。
朝から始まる二人の駆け引きは、一体どうなるのだろうか。
本来は今日が聖夜の本番とも言える。
なのできっと多くの関連店が今日という日に全ての力を注ぐ事だろう。
しかし勇達としてはあれだけ騒いだ後な訳で。
代わりに今日はどの家庭も普段通りだ。
冬休みに入った事で怠惰な年末年始が始まるに違いない。
だが聖夜だろうが冬休みだろうが、勇には何の関係も無いが。
勇が朝早くに目を覚ます。
毎日恒例、朝練タイムの始まりだ。
既に慣れ過ぎて、目覚ましさえも必要無いという。
とはいえ今日はその設置さえもしていないけれど。
というのも、勇のベッド隣にはもう一人客が居るから。
そう、カプロが眠っている。
布団の中で包まり、ピウピウとイビキをかいてスヤスヤと。
その毛玉を叩き起こすのも悪いので、目覚ましを予め解除していたのだ。
ちなみにエウリィはちゃなの部屋に。
勇の部屋で寝る事はさすがに母親が許さなかった。
それに二人が残念がっていたのは言うまでもない。
そんな昨日の思い出に微笑みを零しつつ、勇がそろりそろりと部屋を出る。
どうやらカプロは完全に熟睡しているらしく、起きる気配は無さそう。
なのでそのまま階下に。
すると、思わぬ光景に目を疑う事に。
「あ、勇君おはよう~」
「おはようございます、勇様」
なんと女性陣が既に起きていた。
ちゃなだけはどうにも眠そうにしているけれども。
時間はまだ七時と朝早いにも拘らず。
「あ、おはようー。早いね、皆」
「お母さんは仕事だからねー。でもエウリィちゃんの方が早く起きててびっくりしたわよ」
「へぇ……」
どうやらエウリィの起床に気付き、一緒に起きて来た様だ。
ただ、まだまだ寝足りない感じは否めないが。
きっと昨日の夜遅くまでエウリィと盛り上がっていた所為だろう。
とはいえ、そのエウリィ自身はと言えばスッキリした面持ちを浮かべていて。
「こちらは客ですから、身なりを整えませんと。ですので湯あみ場を借りたいと思い、早くより起きてお待ちしていたのです」
「そんな畏まらなくてもいいのに~」
当人達の言う通り、甘い香りもリビングから漂ってくる。
朝早くからシャワーを浴びたお陰で様相もバッチリだ。
既に洗剤やドライヤーなどもしっかり使いこなしているらしい。
さすがフェノーダラ王国きっての先鋭婦女子、もう現代にすっかり馴染んでいる模様。
その自信満々な笑みに、勇でさえ驚いてならない。
隣に座ってウトウトするちゃなが比較となって、なお際立つかの様だ。
故に感心さえ抱く。
王女という存在はここまでパーフェクトなのか、と。
いや、あるいはエウリィという存在が、か。
「だよなぁ。エウリィさん、こんな時くらい伸び伸びしてていいんだからね?」
「ウフフッ、ありがとうございます」
そしてこの屈託の無い笑顔である。
普段からフェノーダラ王やら剣聖などと比べて控えめだからあまり目立たないけれど。
今こうして一般家庭に訪れて、初めて存在感が際立つ。
エウリィの上品なオーラが眩くて輝かしい。
直視出来ないくらいに、平伏してしまいそうなくらいに。
これには勇も母親も怯んでならない。
服装は普通のジャージ姿なのに。
むしろそのギャップが輝きを増させているかの様だ。
「なんなのこの子、眩し過ぎて直視出来ない……ッ!」
「すげえ、これが真のお嬢様ってやつなのか……!?」
きっと普段着がドレスだったから和らいでいたのだろう。
それが彼女の魅力を分散させ、推し留めていたに違いない。
だがその枷が外れた今、エウリィという存在が輝いて止まらない。
本人も自覚しているのか笑いも止まらない。
「お、俺、朝練あるから。着替えて行ってくる」
「逃げたわね……」
そんな訳で勇がギブアップ――いや、大事な朝練へと向かおうと洗面所へ。
朝練用のジャージとパーカーを纏って準備完了だ。
なんて思っていたその時。
「勇様、準備出来ましたか?」
洗面所の扉の隙間から甲高い声が漏れ出て来る。
あと、その隙間から蒼い眼がしっかり見えている。
「エウリィさん……覗きなんて、はしたないよ?」
「いいえ、これは覗きではありません。観察です」
「あっそう……」
輝かしいお嬢様オーラを放つけれど、やる事は随分とアグレッシブ。
勇の生着替えをどこから見ていたのやら。
一体どれだけの属性を秘めているのかわかったものではない。
でもそのエウリィさん、今なおとても真面目そうな顔付きで。
覗かれていた勇としてもなんだか複雑だ。
恥ずかしがる事自体がなんだか恥ずかしくて。
何はともあれ、朝練の準備は完了。
あとは例日通りのロードワークをこなして雑念を振り払うだけでいい。
と思って扉を開いたのだけれども。
「あれっ、エウリィさんその格好……」
「はいっ、わたくしも同伴するつもりです」
そう、なんとエウリィも着込んでいたのだ。
どうやら予め、この時の為の厚着を用意していたらしい。
先日のパーティの前にもう準備していたのだろう。
これには勇もちょっと引き気味な様子。
「ええ、だ、大丈夫なの!?」
「問題ありません。毎日の走り込みはやっていますから」
「そ、そうなんだ。まぁいいけど」
「わ、私も行きます……!」
「ええっ、田中さんも!?」
ただし、決して彼女達が付いて来る事に、などではない。
〝眼鏡にかなうかが不安〟だったからである。
果たして、自分の努力はこのパーフェクトガールにどこまで通用するのか、と。
こうして、三人は流れで一緒にロードワークする事に。
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