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第十一節「心拠りし所 平の願い その光の道標」
~私なりに、少し頑張ってみよ~
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パーフェクトガール・エウリィ。
彼女は出会った時から勇にとっての目上な存在だった。
初対面の時では不動のパワーに一切通用せず。
その二ヶ月後にもデス・ハグを振り解く事さえ出来なかった。
しかしその後、命力に目覚めてから勇の力の成長は著しい。
それこそ、エウリィに勝てるのではないかという想いさえ抱く程に。
だけど確証が無い。
なにせ彼女は魔剣使いでも無ければ力を見せられた事も無かったから。
なので本気で戦ったらまだ勝てないのではないか、という疑念さえ過る。
だから、内心はずっと試してみたかったのだ。
自分が今、どれだけ強くなったのかを。
目上の存在に追い付けているのか、追い越せるのかを証明したくて。
そして今日この日、突如としてその機会がやって来た。
「とりあえず二人が居るし、今日は軽く流すか」
吐き出す息が白い。
それくらい寒い中でトントンと身を跳ねさせ、冷えて硬い体を解す。
ストレッチも軽くこなし、走る準備を整えて。
今日は珍しくちゃなも同伴するという。
でも普段から鍛えていない彼女が付いてくるのは到底不可能だ。
だから競歩くらいの走りで済ませればいい。
勇はそう思っていたのだけれど。
「あ、ありがとうござ―――」
「いいえ勇様。全力で、お願い致します! わたくしはお二人の足枷になるつもりはありません」
「――ええっ!?」
まさかのエウリィ奮起である。
きっと彼女は知らないのだろう。
ちゃながどれだけ非力で、かつ普段もロードワークしていない事に。
それでも一緒に戦えているから、勇と同じくらいに走れるとさえ思っているに違いない。
そんな中で加減を提言されれば火も付くだろう。
エウリィらしい反骨精神だ。
「え、いいの!? 田中さんは?」
「わ、私は……あ、はい、いいです……」
その気に当てられたのか、ちゃなも半ばガッカリで頷く事に。
元より乗り気ではなかったのかもしれない。
ただ勢いでこうなってしまっただけで。
「お願いいたしますッ!!」
「わ、わかった。ならいつも通りでいくよ」
しかもこんな乗り気を見せつけられたらもう二人とも断れない。
それだけエウリィはやる気なのだ。
エウリィもまた勇に負けたくない気持ちがあるのだろう。
勇が内心で彼女を越したいと願うのと同様に。
だから二人の気持ちはもうフルスロットル。
アクセルを踏み込んで、ローギアのスタンバイ一歩手前だ。
気持ちは既にちゃなを置き去りである。
「基本はダッシュ。一定距離を走ったら通常の走りに戻って、同じくらい走ったらまたダッシュする。その繰り返しだから。追い越してもいいけど、迷ったりしないでね」
「わかりました」
「それじゃあ行くよッ!!」
その気持ちももう抑えられない。
だから今、二人は駆け出していた。
まさしくちゃなを一瞬にして置き去りとする程の速さで。
とはいえ、これは普通のダッシュだ。
常人でも叶う程の。
エウリィも普通に付いて行ける、なんて事の無い走りで。
だからこそ今、エウリィは命力機動で難なく食らいつく。
それでも勇へと注視を逸らさないままに。
まだ始まったばかりだからこそ、油断は出来ないのだと。
「二人共はやすぎ……はぁ、はぁ」
そんな二人の背を追って、ちゃなが必死に走り行く。
歩の纏まらない不規則な足取りで。
そもそも走り馴れていないのだから仕方ない事か。
そうやってちゃなが必死に走っていると、道の先にて二人の姿が見えて来る。
ちゃなを待っているのだろう。
ただし普通に待っているのではない。
素早く足を動かし、足踏みしながら待っていたのだ。
それも高く強く膝を蹴り上げる様にして。
「フッ、フッ……大丈夫、田中さん?」
エウリィも不格好ながら真似をして蹴り上げている。
ただ、もうこの時点でどこか顔を強張らせていて。
「だ、大丈夫じゃないでぇす。もう、無理です~……」
「はは……じゃあ無理せず途中で帰って平気だよ。俺も丁度いい所までやって帰るから」
「はぁい、はぁ~……」
間も無くちゃなが項垂れる様に崩れ落ちるが、その事にさえ気が向けられない。
エウリィには既に周りへ気を配る余裕が無い様だ。
一挙一動真似しなければならないからか。
それとも、それだけ勇のトレーニングが激しいからか。
しかし本気でやると言った以上は勇も止まらない。
そのまま再びダッシュを始め、エウリィと共に走り去っていく。
ここはまだまだ近所、ちゃなが帰るには何の問題も無いから。
「だめだなぁ、私。もっと体力付けたいなぁ……」
小さくなっていく二人の背中を前に、ちゃなのガッカリが止まらない。
元より体力が少ないのに、普段からも動いていないから辛くてならなくて。
ほんの少し、ゆっくり走るくらいならまだいいのだけれど。
さすがにいきなり勇と同じペースは無理があったらしい。
「私なりに、少し頑張ってみよ」
でも、そんなちゃなでも今は少しだけ向上心がある。
この間の城前での特訓で少し胆力が身に着いたから。
だから今、ちゃなは勇達が向かった方向に走っていた。
ゆっくりとマイペースに、それでいて前向きに。
今はこれだけでいい。
少しだけでも、二人の背中に置いて行かれない様に、と。
彼女は出会った時から勇にとっての目上な存在だった。
初対面の時では不動のパワーに一切通用せず。
その二ヶ月後にもデス・ハグを振り解く事さえ出来なかった。
しかしその後、命力に目覚めてから勇の力の成長は著しい。
それこそ、エウリィに勝てるのではないかという想いさえ抱く程に。
だけど確証が無い。
なにせ彼女は魔剣使いでも無ければ力を見せられた事も無かったから。
なので本気で戦ったらまだ勝てないのではないか、という疑念さえ過る。
だから、内心はずっと試してみたかったのだ。
自分が今、どれだけ強くなったのかを。
目上の存在に追い付けているのか、追い越せるのかを証明したくて。
そして今日この日、突如としてその機会がやって来た。
「とりあえず二人が居るし、今日は軽く流すか」
吐き出す息が白い。
それくらい寒い中でトントンと身を跳ねさせ、冷えて硬い体を解す。
ストレッチも軽くこなし、走る準備を整えて。
今日は珍しくちゃなも同伴するという。
でも普段から鍛えていない彼女が付いてくるのは到底不可能だ。
だから競歩くらいの走りで済ませればいい。
勇はそう思っていたのだけれど。
「あ、ありがとうござ―――」
「いいえ勇様。全力で、お願い致します! わたくしはお二人の足枷になるつもりはありません」
「――ええっ!?」
まさかのエウリィ奮起である。
きっと彼女は知らないのだろう。
ちゃながどれだけ非力で、かつ普段もロードワークしていない事に。
それでも一緒に戦えているから、勇と同じくらいに走れるとさえ思っているに違いない。
そんな中で加減を提言されれば火も付くだろう。
エウリィらしい反骨精神だ。
「え、いいの!? 田中さんは?」
「わ、私は……あ、はい、いいです……」
その気に当てられたのか、ちゃなも半ばガッカリで頷く事に。
元より乗り気ではなかったのかもしれない。
ただ勢いでこうなってしまっただけで。
「お願いいたしますッ!!」
「わ、わかった。ならいつも通りでいくよ」
しかもこんな乗り気を見せつけられたらもう二人とも断れない。
それだけエウリィはやる気なのだ。
エウリィもまた勇に負けたくない気持ちがあるのだろう。
勇が内心で彼女を越したいと願うのと同様に。
だから二人の気持ちはもうフルスロットル。
アクセルを踏み込んで、ローギアのスタンバイ一歩手前だ。
気持ちは既にちゃなを置き去りである。
「基本はダッシュ。一定距離を走ったら通常の走りに戻って、同じくらい走ったらまたダッシュする。その繰り返しだから。追い越してもいいけど、迷ったりしないでね」
「わかりました」
「それじゃあ行くよッ!!」
その気持ちももう抑えられない。
だから今、二人は駆け出していた。
まさしくちゃなを一瞬にして置き去りとする程の速さで。
とはいえ、これは普通のダッシュだ。
常人でも叶う程の。
エウリィも普通に付いて行ける、なんて事の無い走りで。
だからこそ今、エウリィは命力機動で難なく食らいつく。
それでも勇へと注視を逸らさないままに。
まだ始まったばかりだからこそ、油断は出来ないのだと。
「二人共はやすぎ……はぁ、はぁ」
そんな二人の背を追って、ちゃなが必死に走り行く。
歩の纏まらない不規則な足取りで。
そもそも走り馴れていないのだから仕方ない事か。
そうやってちゃなが必死に走っていると、道の先にて二人の姿が見えて来る。
ちゃなを待っているのだろう。
ただし普通に待っているのではない。
素早く足を動かし、足踏みしながら待っていたのだ。
それも高く強く膝を蹴り上げる様にして。
「フッ、フッ……大丈夫、田中さん?」
エウリィも不格好ながら真似をして蹴り上げている。
ただ、もうこの時点でどこか顔を強張らせていて。
「だ、大丈夫じゃないでぇす。もう、無理です~……」
「はは……じゃあ無理せず途中で帰って平気だよ。俺も丁度いい所までやって帰るから」
「はぁい、はぁ~……」
間も無くちゃなが項垂れる様に崩れ落ちるが、その事にさえ気が向けられない。
エウリィには既に周りへ気を配る余裕が無い様だ。
一挙一動真似しなければならないからか。
それとも、それだけ勇のトレーニングが激しいからか。
しかし本気でやると言った以上は勇も止まらない。
そのまま再びダッシュを始め、エウリィと共に走り去っていく。
ここはまだまだ近所、ちゃなが帰るには何の問題も無いから。
「だめだなぁ、私。もっと体力付けたいなぁ……」
小さくなっていく二人の背中を前に、ちゃなのガッカリが止まらない。
元より体力が少ないのに、普段からも動いていないから辛くてならなくて。
ほんの少し、ゆっくり走るくらいならまだいいのだけれど。
さすがにいきなり勇と同じペースは無理があったらしい。
「私なりに、少し頑張ってみよ」
でも、そんなちゃなでも今は少しだけ向上心がある。
この間の城前での特訓で少し胆力が身に着いたから。
だから今、ちゃなは勇達が向かった方向に走っていた。
ゆっくりとマイペースに、それでいて前向きに。
今はこれだけでいい。
少しだけでも、二人の背中に置いて行かれない様に、と。
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