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第二十三節「驚異襲来 過ち識りて 誓いの再決闘」
~女 の 過 去~
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―――
――
―
そう、あれは今からおおよそ四年前……フララジカが始まる前の二年前。
私はまだフェノーダラ王国に雇われて長くなく、一魔剣使いとして働いていた。
けれど、フェノーダラ王国は長きに渡って魔者と戦い続けながら勢力を維持してきた国。
王国の周辺には、「南のダッゾ」、「西のクラカッゾ」と呼ばれ恐れられた魔者達が日々隙を狙い睨み付けていた。
フェノーダラ周辺の人間がいずれかの魔者を襲えば、その二部族の魔者が漁夫の利を得るかの様に襲い掛かってくる……そんな事もあって私達は魔者に手を出す事が出来ないでいたわ。
これは『あちら側』において普通な事なのだけど、特にこの2種族に関しては特にそれが顕著で……その頻度と言えばほぼ毎回にも近い程に激しかったの。
なにせダッゾとクラカッゾ同士も折り合いが悪いみたいでね……対人間だけでなく、魔者同士の争いすらあった程だった。
多種族が睨み合い、警戒しながら過ごす毎日……いつも張り詰めた空気が漂っていたわ。
けれどそんなある日、事件が起きた。
斥候がクラカッゾ達の動向を察知して王国へと戻って来たの。
クラカッゾが近隣の村を襲撃するという情報を持ってね。
私達はフェノーダラ王に呼ばれ、クラカッゾ達の討伐を命じられたわ。
「皆の者……彼奴等を倒せば暫しの平穏は訪れよう。 どうか頼んだぞ……!!」
当時まだ剣聖がフェノーダラにおらず、所属していた三人の魔剣使いがこれを機としてクラカッゾ撃退の為に出撃した。
私と、グワイヴの前装着者であるナフェ、そしてカッデレータの先々代所持者であるエルゴナという男。
当時エルゴナを筆頭に、私とナフェが部下として……クラカッゾが襲撃したという村へと赴いた。
そこで目にした光景は凄惨だったわ。
「なんて事……これは……!!」
全ての村人が八つ裂きにされ、大地に転がっていた。
生き残った者は誰一人として居なかった……。
「間に合わなかったか」と、その時思ったのだけど……。
奴等は逃げるどころか……まるで私達を待っていたかの様に、人の居なくなった村に居座っていたのよ。
その時、私達は初めて彼等の王、ヴィジャールーと対峙した。
奴は戦いを楽しむ為に自ら前線へとやってきた新王だった。
今までの王は堅実に守りを固めてきたのだけど、奴は全く毛色が違った。
「ヒィヘハハァーーーッ!! 来たァ!! 俺を殺しに来たァ!! 嬉しいなァッハハァーーーッ!!」
奴の言動はもはや理性の欠片も感じられない程に狂ったモノだったわ。
「クッ!! 狂者め……ッ!!」
けれど、奴は強さも普通じゃなかった。
何もかもがめちゃくちゃな戦い方だった。
転がった死体を投げつけたり、家屋を利用した奇襲をしたり、仲間を盾にしたり。
前線で私とナフェが奴の隙を作り、エルゴナが隙を突く……そんな私達の作戦すらも掻き乱す程に奴の行動は自由奔放だったのよ。
ペースを崩され、決定打を得られず……私達の焦りはただ募るばかり。
そんな時……私達は失敗してしまった。
奴の動きに翻弄され、陣形を崩してしまったの。
「アイツッ!? なんなのよッ!?」
「奴は一体どこへ行ったあッ!?」
「落ち着け二人共ッ!! ペースに呑まれては―――」
その時……隙を突き、奴は私達を一網打尽にする為に奇襲を仕掛けてきた。
奴の突進力は並みじゃない……槍の先が当たろうものなら弾けてしまうと思う程に。
その時は無我夢中で、ただ躱すしかない……そう思い、私は……跳んだ。
けれど……エルゴナだけは、奴の突進に対応出来ず……逃げ遅れてしまった。
その時、私と彼の目が合ったわ。
助けられたはずだった。
手は届くはずだった。
でも、信じたから。
信じてしまったから……私は彼の手を取らなかった。
「エルゴナァッ!!」
「レ、レンネ―――」
その一瞬で……彼の体は真っ二つに引き裂かれて宙を舞った。
「エルゴナァァァーーーーーッ!!!」
私達は……仲間を失った。
一瞬の油断が命取りとなり、彼を帰らぬ人にしてしまった。
私とナフェは激昂し……奴へ攻撃を仕掛けたわ。
奴も疲弊し、手の内を全て曝け出した事で打つ手が無くなり……討ち取るのも時間の問題だと思った。
「ヴィジャァルゥゥーーーーーーッ!!」
「うるぁあああああッ!?」
私の一刃の斬撃が奴に届き、その腕と続く頬へと刃の跡を刻み込んだ。
傷は浅くも深くも無く……だが奴を怯ませるには十分過ぎる痛手だった。
ヴィジャールーは落馬し、必死に逃げ惑い始めた。
途端弱々しい態度を取り、命乞いをし、騙しては逃げ……。
それを追い掛け続けた私達はとうとう奴を追い詰めたの。
そして殺せば終わり……そう思った時だった。
私達は……運が無かった。
まるでタイミングを図ったかの様に……後方からダッゾ族が襲い掛かって来たのよ。
「グゥハハハッ!! 魔剣使い共を皆殺しにしろッ!! クラカッゾの奴等も纏めてなァ!!」
なんという事か……ダッゾ王が自ら出向き、大軍を率いてきたというワケ。
奴等にとっては人間、クラカッゾ両方を討伐出来るかもしれない最大のチャンスだと思ったのでしょうね……でも私達にとっては最悪の邪魔者でしか無かった。
「ぐぅうう!! おのれぇーーー!! 奴だけでもッ!!」
「レンネィ落ち着いて!! 深追いすればアタシ達がやられるだけだッ!!」
その時……奴が振り向き、その憎たらしい目で私を睨み付けて来たわ。
「『レンネィ』かァ~……その名前ェ……一生忘れない様に愛し続けてやるよォ~……ヘッヘェッ!!」
結果、ヴィジャールーはその隙を縫って雲隠れし、私とナフェもエルゴナの遺体を残してその場から撤退するハメになった……。
今思えば、無理をしてでも奴を倒しておくべきだった……そう、後悔しているわ。
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そう、あれは今からおおよそ四年前……フララジカが始まる前の二年前。
私はまだフェノーダラ王国に雇われて長くなく、一魔剣使いとして働いていた。
けれど、フェノーダラ王国は長きに渡って魔者と戦い続けながら勢力を維持してきた国。
王国の周辺には、「南のダッゾ」、「西のクラカッゾ」と呼ばれ恐れられた魔者達が日々隙を狙い睨み付けていた。
フェノーダラ周辺の人間がいずれかの魔者を襲えば、その二部族の魔者が漁夫の利を得るかの様に襲い掛かってくる……そんな事もあって私達は魔者に手を出す事が出来ないでいたわ。
これは『あちら側』において普通な事なのだけど、特にこの2種族に関しては特にそれが顕著で……その頻度と言えばほぼ毎回にも近い程に激しかったの。
なにせダッゾとクラカッゾ同士も折り合いが悪いみたいでね……対人間だけでなく、魔者同士の争いすらあった程だった。
多種族が睨み合い、警戒しながら過ごす毎日……いつも張り詰めた空気が漂っていたわ。
けれどそんなある日、事件が起きた。
斥候がクラカッゾ達の動向を察知して王国へと戻って来たの。
クラカッゾが近隣の村を襲撃するという情報を持ってね。
私達はフェノーダラ王に呼ばれ、クラカッゾ達の討伐を命じられたわ。
「皆の者……彼奴等を倒せば暫しの平穏は訪れよう。 どうか頼んだぞ……!!」
当時まだ剣聖がフェノーダラにおらず、所属していた三人の魔剣使いがこれを機としてクラカッゾ撃退の為に出撃した。
私と、グワイヴの前装着者であるナフェ、そしてカッデレータの先々代所持者であるエルゴナという男。
当時エルゴナを筆頭に、私とナフェが部下として……クラカッゾが襲撃したという村へと赴いた。
そこで目にした光景は凄惨だったわ。
「なんて事……これは……!!」
全ての村人が八つ裂きにされ、大地に転がっていた。
生き残った者は誰一人として居なかった……。
「間に合わなかったか」と、その時思ったのだけど……。
奴等は逃げるどころか……まるで私達を待っていたかの様に、人の居なくなった村に居座っていたのよ。
その時、私達は初めて彼等の王、ヴィジャールーと対峙した。
奴は戦いを楽しむ為に自ら前線へとやってきた新王だった。
今までの王は堅実に守りを固めてきたのだけど、奴は全く毛色が違った。
「ヒィヘハハァーーーッ!! 来たァ!! 俺を殺しに来たァ!! 嬉しいなァッハハァーーーッ!!」
奴の言動はもはや理性の欠片も感じられない程に狂ったモノだったわ。
「クッ!! 狂者め……ッ!!」
けれど、奴は強さも普通じゃなかった。
何もかもがめちゃくちゃな戦い方だった。
転がった死体を投げつけたり、家屋を利用した奇襲をしたり、仲間を盾にしたり。
前線で私とナフェが奴の隙を作り、エルゴナが隙を突く……そんな私達の作戦すらも掻き乱す程に奴の行動は自由奔放だったのよ。
ペースを崩され、決定打を得られず……私達の焦りはただ募るばかり。
そんな時……私達は失敗してしまった。
奴の動きに翻弄され、陣形を崩してしまったの。
「アイツッ!? なんなのよッ!?」
「奴は一体どこへ行ったあッ!?」
「落ち着け二人共ッ!! ペースに呑まれては―――」
その時……隙を突き、奴は私達を一網打尽にする為に奇襲を仕掛けてきた。
奴の突進力は並みじゃない……槍の先が当たろうものなら弾けてしまうと思う程に。
その時は無我夢中で、ただ躱すしかない……そう思い、私は……跳んだ。
けれど……エルゴナだけは、奴の突進に対応出来ず……逃げ遅れてしまった。
その時、私と彼の目が合ったわ。
助けられたはずだった。
手は届くはずだった。
でも、信じたから。
信じてしまったから……私は彼の手を取らなかった。
「エルゴナァッ!!」
「レ、レンネ―――」
その一瞬で……彼の体は真っ二つに引き裂かれて宙を舞った。
「エルゴナァァァーーーーーッ!!!」
私達は……仲間を失った。
一瞬の油断が命取りとなり、彼を帰らぬ人にしてしまった。
私とナフェは激昂し……奴へ攻撃を仕掛けたわ。
奴も疲弊し、手の内を全て曝け出した事で打つ手が無くなり……討ち取るのも時間の問題だと思った。
「ヴィジャァルゥゥーーーーーーッ!!」
「うるぁあああああッ!?」
私の一刃の斬撃が奴に届き、その腕と続く頬へと刃の跡を刻み込んだ。
傷は浅くも深くも無く……だが奴を怯ませるには十分過ぎる痛手だった。
ヴィジャールーは落馬し、必死に逃げ惑い始めた。
途端弱々しい態度を取り、命乞いをし、騙しては逃げ……。
それを追い掛け続けた私達はとうとう奴を追い詰めたの。
そして殺せば終わり……そう思った時だった。
私達は……運が無かった。
まるでタイミングを図ったかの様に……後方からダッゾ族が襲い掛かって来たのよ。
「グゥハハハッ!! 魔剣使い共を皆殺しにしろッ!! クラカッゾの奴等も纏めてなァ!!」
なんという事か……ダッゾ王が自ら出向き、大軍を率いてきたというワケ。
奴等にとっては人間、クラカッゾ両方を討伐出来るかもしれない最大のチャンスだと思ったのでしょうね……でも私達にとっては最悪の邪魔者でしか無かった。
「ぐぅうう!! おのれぇーーー!! 奴だけでもッ!!」
「レンネィ落ち着いて!! 深追いすればアタシ達がやられるだけだッ!!」
その時……奴が振り向き、その憎たらしい目で私を睨み付けて来たわ。
「『レンネィ』かァ~……その名前ェ……一生忘れない様に愛し続けてやるよォ~……ヘッヘェッ!!」
結果、ヴィジャールーはその隙を縫って雲隠れし、私とナフェもエルゴナの遺体を残してその場から撤退するハメになった……。
今思えば、無理をしてでも奴を倒しておくべきだった……そう、後悔しているわ。
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