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第二十三節「驚異襲来 過ち識りて 誓いの再決闘」
~愛 憎 交 錯~
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「―――これが、私が奴と戦った時の出来事。 随分と端折ってしまったけれど、これでも相当な激戦だったのよ?」
レンネィの語りが終わり、彼女の口が動きを止めると……神妙な面持ちを浮かべた心輝が俯き、自身の顔に影を作る。
窓から差し込んだ日の光が彼の顔に浮かぶ影を色濃くし、その色合いは今の彼の気持ちを映す様であった。
「レン姐さん……ちと聞いていいスか?」
「うん……?」
不意に放たれた新規の質問にレンネィが思わず戸惑うが……その様子がどこか気に成り彼の言葉を静かに待つ。
彼女の反応が肯定と理解した心輝は、自身の想いをゆっくりとその口から吐露し始めた。
「レン姐さん……もしかしてそのエルゴナって人と……付き合ってたんスか?」
「えっ……」
それは彼の嫉妬。
彼女が語るエルゴナという男の話はどこか……別の感情を伴っていた様にも感じられたから。
「……どうしてそう思うのかしら?」
「そりゃ……なんつか、レン姐さんがその人の事を話すとき……なんかこう、安らぐっつか、穏やかな感じがしたから……」
「そう……」
上手く説明出来ないのか、心輝がボヤっとした印象をそのまま口にする。
彼の口にした事が真実か、それともただの勘違いか……その結果は彼女の放つであろう答えに委ねられた。
心輝がレンネィの顔を見つめる中……彼女の口がゆっくりと動く。
「……えぇ、貴方の言う通り……私とエルゴナは愛し合っていたわ」
レンネィの答えがその艶やかな唇から発せられると……彼女を見ていた心輝の目が大きく見開かれる。
だが、彼女の心境を察した心輝は……見開いた瞼をゆっくりと降ろし、細い瞳を彼女に向けた。
「そう……っすよね、イイ人そうでしたもんね……好きになったって仕方ねーっすよ……」
「ハハハ」と苦い笑いを放ち、自身の気持ちを偽る。
男が居なかったはずはない……今までにもそう何度も脳裏にちらつかせていた認めたくない現実。
そこに生まれた嫉妬の炎は……その現実という風を受け、ゆらりと煽られ大きく暴れていた。
そんな時……心輝へと向けられたのは、彼女の微笑みであった。
不意に向けられた彼女の笑顔に、心輝の顔が再び驚きの表情を浮かべる。
「ええ、素敵な人だったわ……真っ直ぐで、それでいて純粋で……時々面白くて、一緒に居て飽きなかった。 子供っぽい所もあったけれど、私を笑わせようとしてくれた彼の優しい心の在り方が堪らなく好きだった」
「レン姐さん……」
「そうね、例えるなら……どこかのおバカさんみたいに、好きな人を相手に気を引こうと一生懸命に成って……相手の気持ちなんて察せずにがむしゃらに成る……そんな人……」
レンネィのそんな言葉を聞いた途端……心輝が目を丸くし、彼女の顔をじっと見つめる。
それを返す様に彼女もまた彼へと目を向け、互いの視線を合わせた。
心輝の瞳に映り込んだのは……嘘偽りの無い……レンネィの万遍な笑顔であった。
互いが見つめ合い、無言の想いが駆け巡る。
気が付けば……心輝の口元にもまた、彼女と同じ小さな笑みを伴った笑顔が浮かんでいた。
二人が声に成らない想いを交わし合っていたその時……ヘリコプターの直下に広がる住宅街に一つの土煙が立ち上るのを操縦士が捉え、彼等に声を上げた。
「目標確認……敵影3……雑兵と思われます!!」
住宅街を縦横無尽に走る三体の魔者の影……大空からでも確認出来る程に目立ったその様子は、事の深刻さを報告が無くとも察せる程克明にしていた。
操縦士の報告を受けた途端……心輝とレンネィの顔は再び引き締まり、操縦士へとその顔を向け指示を送る。
「高度はそのままを維持して! ……アンディ、ナターシャ……ここからでも、行けるわね?」
「おうっ!!」
「うんっ!!」
互いが見つめ合い、その意思を確認すると……レンネィの手によってヘリコプターの扉がおもむろに開かれ、大空が露わとなる。
ローターの大音が機内へと響き渡る中、アンディは空の前にそっと身を乗り出すと……突然心輝とレンネィへ顔を向けて大声を上げた。
「んじゃあ行ってくるぜ!! どうせだからオイラ達が王もやっつけてやるからよ、二人はここでイチャイチャしててもいいんだぜー!!」
「ちょっ、おまっ!!」
心輝が慌ててアンディに言い返そうと声を上げるが……それを聞く事も無くアンディがその身を空へと投げたのだった。
「あんのやろぉ……!!」
「アニキー!! まってぇー!!」
続きナターシャも彼を追って身を投げ出し、二人の姿は間も無く住宅街の色鮮やかな風景の影へと紛れていった。
「チッ……ったくよぉ……」
口をへの字に曲げて憤りを露わにする心輝……そんな彼をレンネィが「フフッ」と鼻で笑う。
二人のその表情は緊張を感じさせない自然体であった。
「……ああ言うけれど、あの子達が来る前に私達でヴィジャールーを片付けるわよ。 あの子達にはまだ奴には立ち向かえる実力は無いから……」
「あぁ、わかった……レン姐さんを苦しめた野郎は俺が完膚なきまでに叩き潰す!!」
自分に正直に成れた心輝は……ただ一言自身の想いを口にし、昂りを力に変えた。
彼に触発される様に、レンネィもまた静かに己の力を自身の体へと籠らせたのだった。
二人の少年少女が風に煽られ、衣服を激しく靡かせながら大地へ向けて落ちていく。
認められる為に、生きて行く為に……自身の想いを胸に秘め、彼等は戦場へと馳せる。
それぞれの想いが交錯する中……多くの民間人が未だ逃げ惑う街を舞台にした戦いが今始まろうとしていた……。
レンネィの語りが終わり、彼女の口が動きを止めると……神妙な面持ちを浮かべた心輝が俯き、自身の顔に影を作る。
窓から差し込んだ日の光が彼の顔に浮かぶ影を色濃くし、その色合いは今の彼の気持ちを映す様であった。
「レン姐さん……ちと聞いていいスか?」
「うん……?」
不意に放たれた新規の質問にレンネィが思わず戸惑うが……その様子がどこか気に成り彼の言葉を静かに待つ。
彼女の反応が肯定と理解した心輝は、自身の想いをゆっくりとその口から吐露し始めた。
「レン姐さん……もしかしてそのエルゴナって人と……付き合ってたんスか?」
「えっ……」
それは彼の嫉妬。
彼女が語るエルゴナという男の話はどこか……別の感情を伴っていた様にも感じられたから。
「……どうしてそう思うのかしら?」
「そりゃ……なんつか、レン姐さんがその人の事を話すとき……なんかこう、安らぐっつか、穏やかな感じがしたから……」
「そう……」
上手く説明出来ないのか、心輝がボヤっとした印象をそのまま口にする。
彼の口にした事が真実か、それともただの勘違いか……その結果は彼女の放つであろう答えに委ねられた。
心輝がレンネィの顔を見つめる中……彼女の口がゆっくりと動く。
「……えぇ、貴方の言う通り……私とエルゴナは愛し合っていたわ」
レンネィの答えがその艶やかな唇から発せられると……彼女を見ていた心輝の目が大きく見開かれる。
だが、彼女の心境を察した心輝は……見開いた瞼をゆっくりと降ろし、細い瞳を彼女に向けた。
「そう……っすよね、イイ人そうでしたもんね……好きになったって仕方ねーっすよ……」
「ハハハ」と苦い笑いを放ち、自身の気持ちを偽る。
男が居なかったはずはない……今までにもそう何度も脳裏にちらつかせていた認めたくない現実。
そこに生まれた嫉妬の炎は……その現実という風を受け、ゆらりと煽られ大きく暴れていた。
そんな時……心輝へと向けられたのは、彼女の微笑みであった。
不意に向けられた彼女の笑顔に、心輝の顔が再び驚きの表情を浮かべる。
「ええ、素敵な人だったわ……真っ直ぐで、それでいて純粋で……時々面白くて、一緒に居て飽きなかった。 子供っぽい所もあったけれど、私を笑わせようとしてくれた彼の優しい心の在り方が堪らなく好きだった」
「レン姐さん……」
「そうね、例えるなら……どこかのおバカさんみたいに、好きな人を相手に気を引こうと一生懸命に成って……相手の気持ちなんて察せずにがむしゃらに成る……そんな人……」
レンネィのそんな言葉を聞いた途端……心輝が目を丸くし、彼女の顔をじっと見つめる。
それを返す様に彼女もまた彼へと目を向け、互いの視線を合わせた。
心輝の瞳に映り込んだのは……嘘偽りの無い……レンネィの万遍な笑顔であった。
互いが見つめ合い、無言の想いが駆け巡る。
気が付けば……心輝の口元にもまた、彼女と同じ小さな笑みを伴った笑顔が浮かんでいた。
二人が声に成らない想いを交わし合っていたその時……ヘリコプターの直下に広がる住宅街に一つの土煙が立ち上るのを操縦士が捉え、彼等に声を上げた。
「目標確認……敵影3……雑兵と思われます!!」
住宅街を縦横無尽に走る三体の魔者の影……大空からでも確認出来る程に目立ったその様子は、事の深刻さを報告が無くとも察せる程克明にしていた。
操縦士の報告を受けた途端……心輝とレンネィの顔は再び引き締まり、操縦士へとその顔を向け指示を送る。
「高度はそのままを維持して! ……アンディ、ナターシャ……ここからでも、行けるわね?」
「おうっ!!」
「うんっ!!」
互いが見つめ合い、その意思を確認すると……レンネィの手によってヘリコプターの扉がおもむろに開かれ、大空が露わとなる。
ローターの大音が機内へと響き渡る中、アンディは空の前にそっと身を乗り出すと……突然心輝とレンネィへ顔を向けて大声を上げた。
「んじゃあ行ってくるぜ!! どうせだからオイラ達が王もやっつけてやるからよ、二人はここでイチャイチャしててもいいんだぜー!!」
「ちょっ、おまっ!!」
心輝が慌ててアンディに言い返そうと声を上げるが……それを聞く事も無くアンディがその身を空へと投げたのだった。
「あんのやろぉ……!!」
「アニキー!! まってぇー!!」
続きナターシャも彼を追って身を投げ出し、二人の姿は間も無く住宅街の色鮮やかな風景の影へと紛れていった。
「チッ……ったくよぉ……」
口をへの字に曲げて憤りを露わにする心輝……そんな彼をレンネィが「フフッ」と鼻で笑う。
二人のその表情は緊張を感じさせない自然体であった。
「……ああ言うけれど、あの子達が来る前に私達でヴィジャールーを片付けるわよ。 あの子達にはまだ奴には立ち向かえる実力は無いから……」
「あぁ、わかった……レン姐さんを苦しめた野郎は俺が完膚なきまでに叩き潰す!!」
自分に正直に成れた心輝は……ただ一言自身の想いを口にし、昂りを力に変えた。
彼に触発される様に、レンネィもまた静かに己の力を自身の体へと籠らせたのだった。
二人の少年少女が風に煽られ、衣服を激しく靡かせながら大地へ向けて落ちていく。
認められる為に、生きて行く為に……自身の想いを胸に秘め、彼等は戦場へと馳せる。
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