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第二十三節「驚異襲来 過ち識りて 誓いの再決闘」
~多 重 工 作~
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荒れに荒れたその地帯で、心輝とレンネィが静かに神経を尖らせ周囲の異変を見逃すまいと気を張る。
いつ何が襲い掛かるかわからない……そんな状況の中、突然住宅街に大きな声が響いてきた。
「ッ楽しいなぁ~~~レンネェーーーイッ!! やっぱりお前は最高だぁ~~~!!」
建物の壁が反響し、詳細な場所まではわからない。
建物を挟んだ反対側から声が上がっている様に聞こえ、思わず二人がそちらへと顔を向ける。
気配こそ察知は出来ておらず二人の視線は共に別の方向を向いているが、その方角にヴィジャールーが居るのは明白であった。
察知される事など彼自身も理解していない訳が無い。
だがそれでもなおその声は続きその方角から上がって来る。
「―――ヒッヒヒヘヘヘェ~……俺はなァ~……ずっとずぅ~っとォ……お前を突き殺す事だけを夢見てきたァ!! 何度も!! 何度もォ!! なぁんどもお~~~ッ!!」
その一言一言が発せられる度に、レンネィの顔の歪みが深みを作り影を落とす。
「ようやくこの日が来た事をよォ~!! 楽しみにしてた甲斐があったってェもんだァ~!! どっちが死のうとよォ~~~……尽くそうじゃあねェか~~~……楽しい楽しい殺し合いをよォ~~~!!」
すると突然……声の方向から小さな影が空を舞い、心輝達の方へと飛び上がる。
またしても奴の攻撃か……そう思わせたが、その小さい影は大きくなる事無く彼等の元へと到達し、避ける様に離れた彼等の合間に大きな音を立てて落ちた。
それは普通の石垣用のブロック材。
ブロック材は落ちた拍子に砕け、破片を周囲に散らし……思わず彼等の視線を奪う。
その瞬間……彼等の背後から建物を突き破り、大きな影が姿を現した。
「なっ!?」
「くぅッ!?」
けたたましい衝撃音を伴って現れた敵意。
長い槍、大きな獣……甲冑に身に纏う姿は見紛う事無きクラカッゾ族。
だが戦っていたヴィジャールーと違い、明らかに新品と見える甲冑や盾を持った相手……そう、チャンスをずっと待ち構えていた彼等の伏兵であった。
二人を引き離さんとばかりに間に向けて飛び出した伏兵に驚き、レンネィと心輝が思わず互いの距離を離す様に飛び退ける。
間も無く二人が立っていた地点へと着地した伏兵は、迷う事無くレンネィへと向けて切り返し……未だ態勢の整っていない彼女へと飛び掛かった。
「チィ!?」
荒々しい戦い方のヴィジャールーと違い、堅実に身を丸く固めた伏兵が彼女に向けて真っ直ぐ突っ込んでいく。
だが伏兵とはいえ雑兵……そんな相手に後れを取るレンネィではない。
その槍が接近した時、彼女はおもむろにその足で大地を叩き……華麗に舞い上がった。
彼女の動きに付いてこれなかった伏兵の視線だけが彼女を追う。
伏兵の頭上で体を捻りながらくるりと回転させ、その勢いのままに魔剣を振り上げていた。
キュオンッ!!
目にも止まらぬ一閃は、空を斬る音すら一瞬で大気に消えた。
彼女の眼下を伏兵が走り抜けていく。
しかし……真っ直ぐ走っていた伏兵は次第にぐらりと姿勢を崩し、途端足を踏み外した獣と共にその場へとアスファルトの上を転がっていった。
転がった伏兵は、獣共々……縦に真っ二つに斬り裂かれていたのだ。
転がる勢いで跳ね上がった体がそこで初めてズルリと分かれ落ちていた。
その回転力を纏った体を大地へと着地させると、途端彼女が大声を上げて叫んだ。
「シーーーーンッ!!」
彼女へと伏兵が襲い掛かっていた時……心輝にもまた敵意が襲い掛かっていた。
伏兵がレンネィへと襲い掛かった時の僅かな時間差……突如ヴィジャールーが居た方角の建物の中から大穴を開けて飛び出した黒い影。
それが心輝へと向けて飛び掛かったのだ。
それは見慣れた紋様を持った獣の姿。
大きな影を作った巨体が圧し掛からんばかりに心輝へと迫る。
だがその時、心輝の顔は「待っていた」と言わんばかりに大きな笑みを浮かべていた。
「待ってたぜえええーーー!! この時をよおおおーーー!!」
その両腕に備え付けられた魔剣グワイヴ・ヴァルトレンジ……その命力珠が力強く輝き、大きな熱量がたちまち彼の周囲に立ち上り炎を呼ぶ。
それはメズリとの戦いでも見せた、灼熱の渦流……。
「ぶっ飛びやがれェェェーーーーーー!!」
カッ―――!!
ッバォォォウッ!!
相手に向けて突き出された両拳が輝き、凄まじい勢いの炎が噴き出された。
途端噴き出された二つの炎の柱が立ち上り、螺旋を描き渦を形成する。
炎の柱に挟まれる様に、飛び掛かった巨体が渦の中に包まれ光に消えていった。
余りの威力、余りの熱量……そして強く輝くその一撃が周囲の物体すらも余熱で焼き尽くす。
電柱や周囲に纏った金属製部品がドロリと溶ける……それ程までに強力な一撃。
炎の渦が空へと立ち上り、一筋の光となって青い空へと消えて行く。
―――オオオオオオッ!!
なおも心輝の腕から容赦の無い一撃が放出される中……彼の口から「へっ!!」と自慢げな鼻声が漏れた。
誰が予想していただろう?
いや、わかったはずだった。
そうさせたのは彼の……己の過信。
パァーーンッ!!
突如、彼の正面の建物からまた一つ大きな影が飛び出した。
炎の渦の光に当てられ影を祓ったその姿は、獣に騎乗していないヴィジャールー本人。
信じられない出来事を前に……心輝の顔が驚きの顔で硬直する。
ヴィジャールー本人を迎え撃ったはず。
自身が焼いたのは奴だったはず。
一瞬の間に疑念が過るが……既に時は遅かった。
腕から放つ炎の勢いが彼自身の体を押さえ付け身動きが出来ない中……ヴィジャールーの掴んだ槍が彼目掛けて襲い掛かる。
「ヒヘヘヘァーーーッ!! まずは一匹目ェーーー!!」
狂気を含んだ敵の顔が、大きく見開かれた心輝の目からその脳裏へ焼き付く。
大きく開いた口を見せつけた狂喜の笑顔を浮かべるヴィジャールーの顔を。
―――マジ……かよ……―――
いつ何が襲い掛かるかわからない……そんな状況の中、突然住宅街に大きな声が響いてきた。
「ッ楽しいなぁ~~~レンネェーーーイッ!! やっぱりお前は最高だぁ~~~!!」
建物の壁が反響し、詳細な場所まではわからない。
建物を挟んだ反対側から声が上がっている様に聞こえ、思わず二人がそちらへと顔を向ける。
気配こそ察知は出来ておらず二人の視線は共に別の方向を向いているが、その方角にヴィジャールーが居るのは明白であった。
察知される事など彼自身も理解していない訳が無い。
だがそれでもなおその声は続きその方角から上がって来る。
「―――ヒッヒヒヘヘヘェ~……俺はなァ~……ずっとずぅ~っとォ……お前を突き殺す事だけを夢見てきたァ!! 何度も!! 何度もォ!! なぁんどもお~~~ッ!!」
その一言一言が発せられる度に、レンネィの顔の歪みが深みを作り影を落とす。
「ようやくこの日が来た事をよォ~!! 楽しみにしてた甲斐があったってェもんだァ~!! どっちが死のうとよォ~~~……尽くそうじゃあねェか~~~……楽しい楽しい殺し合いをよォ~~~!!」
すると突然……声の方向から小さな影が空を舞い、心輝達の方へと飛び上がる。
またしても奴の攻撃か……そう思わせたが、その小さい影は大きくなる事無く彼等の元へと到達し、避ける様に離れた彼等の合間に大きな音を立てて落ちた。
それは普通の石垣用のブロック材。
ブロック材は落ちた拍子に砕け、破片を周囲に散らし……思わず彼等の視線を奪う。
その瞬間……彼等の背後から建物を突き破り、大きな影が姿を現した。
「なっ!?」
「くぅッ!?」
けたたましい衝撃音を伴って現れた敵意。
長い槍、大きな獣……甲冑に身に纏う姿は見紛う事無きクラカッゾ族。
だが戦っていたヴィジャールーと違い、明らかに新品と見える甲冑や盾を持った相手……そう、チャンスをずっと待ち構えていた彼等の伏兵であった。
二人を引き離さんとばかりに間に向けて飛び出した伏兵に驚き、レンネィと心輝が思わず互いの距離を離す様に飛び退ける。
間も無く二人が立っていた地点へと着地した伏兵は、迷う事無くレンネィへと向けて切り返し……未だ態勢の整っていない彼女へと飛び掛かった。
「チィ!?」
荒々しい戦い方のヴィジャールーと違い、堅実に身を丸く固めた伏兵が彼女に向けて真っ直ぐ突っ込んでいく。
だが伏兵とはいえ雑兵……そんな相手に後れを取るレンネィではない。
その槍が接近した時、彼女はおもむろにその足で大地を叩き……華麗に舞い上がった。
彼女の動きに付いてこれなかった伏兵の視線だけが彼女を追う。
伏兵の頭上で体を捻りながらくるりと回転させ、その勢いのままに魔剣を振り上げていた。
キュオンッ!!
目にも止まらぬ一閃は、空を斬る音すら一瞬で大気に消えた。
彼女の眼下を伏兵が走り抜けていく。
しかし……真っ直ぐ走っていた伏兵は次第にぐらりと姿勢を崩し、途端足を踏み外した獣と共にその場へとアスファルトの上を転がっていった。
転がった伏兵は、獣共々……縦に真っ二つに斬り裂かれていたのだ。
転がる勢いで跳ね上がった体がそこで初めてズルリと分かれ落ちていた。
その回転力を纏った体を大地へと着地させると、途端彼女が大声を上げて叫んだ。
「シーーーーンッ!!」
彼女へと伏兵が襲い掛かっていた時……心輝にもまた敵意が襲い掛かっていた。
伏兵がレンネィへと襲い掛かった時の僅かな時間差……突如ヴィジャールーが居た方角の建物の中から大穴を開けて飛び出した黒い影。
それが心輝へと向けて飛び掛かったのだ。
それは見慣れた紋様を持った獣の姿。
大きな影を作った巨体が圧し掛からんばかりに心輝へと迫る。
だがその時、心輝の顔は「待っていた」と言わんばかりに大きな笑みを浮かべていた。
「待ってたぜえええーーー!! この時をよおおおーーー!!」
その両腕に備え付けられた魔剣グワイヴ・ヴァルトレンジ……その命力珠が力強く輝き、大きな熱量がたちまち彼の周囲に立ち上り炎を呼ぶ。
それはメズリとの戦いでも見せた、灼熱の渦流……。
「ぶっ飛びやがれェェェーーーーーー!!」
カッ―――!!
ッバォォォウッ!!
相手に向けて突き出された両拳が輝き、凄まじい勢いの炎が噴き出された。
途端噴き出された二つの炎の柱が立ち上り、螺旋を描き渦を形成する。
炎の柱に挟まれる様に、飛び掛かった巨体が渦の中に包まれ光に消えていった。
余りの威力、余りの熱量……そして強く輝くその一撃が周囲の物体すらも余熱で焼き尽くす。
電柱や周囲に纏った金属製部品がドロリと溶ける……それ程までに強力な一撃。
炎の渦が空へと立ち上り、一筋の光となって青い空へと消えて行く。
―――オオオオオオッ!!
なおも心輝の腕から容赦の無い一撃が放出される中……彼の口から「へっ!!」と自慢げな鼻声が漏れた。
誰が予想していただろう?
いや、わかったはずだった。
そうさせたのは彼の……己の過信。
パァーーンッ!!
突如、彼の正面の建物からまた一つ大きな影が飛び出した。
炎の渦の光に当てられ影を祓ったその姿は、獣に騎乗していないヴィジャールー本人。
信じられない出来事を前に……心輝の顔が驚きの顔で硬直する。
ヴィジャールー本人を迎え撃ったはず。
自身が焼いたのは奴だったはず。
一瞬の間に疑念が過るが……既に時は遅かった。
腕から放つ炎の勢いが彼自身の体を押さえ付け身動きが出来ない中……ヴィジャールーの掴んだ槍が彼目掛けて襲い掛かる。
「ヒヘヘヘァーーーッ!! まずは一匹目ェーーー!!」
狂気を含んだ敵の顔が、大きく見開かれた心輝の目からその脳裏へ焼き付く。
大きく開いた口を見せつけた狂喜の笑顔を浮かべるヴィジャールーの顔を。
―――マジ……かよ……―――
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