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第二十三節「驚異襲来 過ち識りて 誓いの再決闘」
~獄 炎 巨 人~
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―――マジ……かよ……―――
その瞬間……心輝の体に衝撃が走った。
彼を弾き飛ばすまでに力強く叩かれた衝撃が横から与えられ……彼の体が大きく宙を舞う。
ドズンッ!!
途端、鈍い音が鳴り響く。
宙を舞う心輝の目が……その音の素となった一部始終を見届けていた。
それはヴィジャールーの持つ槍がレンネィの体を貫いた音。
咄嗟に飛び込んだ彼女が彼を突き飛ばし……身代わりとなったのだ。
かつて恋人を救えなかった過ちを繰り返さない為に。
「ガハッ……!!」
彼女の口から溢れ出る血反吐がその傷の深さを物語る。
貫いた槍はその体の中心を貫通し……その長い槍の先を朱に染めていた。
その間に心輝が炎の残滓を身に纏いながら地面へ転がる。
目の前で起きた惨劇に、その肩を弱々しく打ち震わせながら……拳を地面へ突き、その頭をゆっくりと持ち上げる。
そこに映った光景が……彼の目の、口の……震えを徐々に大きくさせていった。
「あ……あぁぁ……あああぁぁあああーーーッ!!」
それは彼にとっての絶望の光景そのもの。
愛する人が目の前で貫かれた事実……それを彼自身が呼び込んだ事実。
その現実を前にした彼の目から大粒の涙が零れ落ちていた。
「なんだァ……? おいおいレンネェイ……こんな事で死んじまうのかよォ~? つまんねぇなぁ~」
ヴィジャールーはそう吐き捨てると、おもむろにゆっくりと槍を振り上げる。
共に持ち上げられるレンネィの体。
その勢いで彼女の手から魔剣が零れ落ち、だらりとぶら下がった手足がその体に伴う。
そしてそのまま槍を振り……槍の先端から抜け出た彼女の体が彼の後方へと向けて宙を舞った。
力無く地面へ叩きつけられ、ぐったりとした彼女の体の勢いが止まると……間も無く地面が赤い血で染まっていく。
「テ……メェ……!!」
「あぁん?」
放り投げた彼女の体を見つめていたヴィジャールーだが……突如背後から聞こえた声に気付き振り向くと、そこには立ち上がろうとする心輝の姿が映りこんだ。
大地に突く拳が震え、握り締めた手がギチギチと音を立てる。
抑えきれなくなった力が、炎が、彼の体から迸り、その力の強大さを余す事無く体現していく。
立ち上る炎が彼の体をも持ち上げる様に……足を踏みしめて立ち上がらせた全身から絶えず炎が舞い上がっていた。
それは憤怒の炎。
レンネィを貫いたヴィジャールーへの怒り。
過失を招いた自身への怒り。
そのどちらもが彼自身へ一つの想いを燃え滾らせていた。
「アアアァァァァーーーーーーーッ!!」
自身の纏う魔装すらも燃やし、溶かし、焼き尽くす程の獄炎が彼から立ち上る。
次第にその炎は彼の背中に大きく形を成す様に膨らみ続け……空を覆う程に巨大な獄炎の塊が姿を現した。
まるでそれは……獄炎の巨人と銘打つかの様に、大きな人型を模したモノであった。
ヴィジャールーすらも驚愕する……その顎を外さんばかりに大きな口を開きながら。
目の前に現れた圧倒的な破壊の衝動を前に、ただ茫然と立ち尽くすのみ。
多くの人を殺し、平穏を奪い、破壊した。
そして愛する人の血で大地を染めた。
それらが全て繋がった時……彼の怒りは頂点に達した。
「レンネェェェェェーーーーーーーーイッ!!!!」
心輝の怒号がその場を支配する。
その瞬間……炎の巨人が彼の体の動きに合わせる様に揺り動いた。
「ギ……ヒヒィーーーーー!?」
途端慌て逃げ出すヴィジャールー。
だが、巨大な炎の拳はそれそらも凌駕する程に速く動き、彼の体をたちまち掴み取った。
物理的干渉すら行える程に具現化された炎の腕は、あっという間に彼の体を空高く持ち上げ……その身を太陽の下へと晒す。
「ンギャアァァァーーー!? たっ、たしゅけてッ!?」
その圧倒的な力を前に……ヴィジャールーはただ怯え、助けを懇願する。
彼の体表を焼き、煙が立ち上る中……必死に命乞いをするその姿は滑稽そのものであった。
「あ?」
だが、それが心輝の琴線に触れ……突如彼の口元が釣り上がる。
そして鋭い殺意の瞳がヴィジャールーを刺し貫くかの如く睨み付けた。
「『助けて』だとォ……!? テメェがそうやって助けた命があるのかよォ……!!」
「ヒ、ヒイッ!?」
その掴んだ炎の手がギリリとヴィジャールーの体を締め付け始める。
絶望の顔で歪め、苦しみながら……心輝の怒りの形相を前に何も出来ず、ただ彼の一言を遺言として―――
「テメェが命を惜しむんじゃねえよおおおーーーーーーーーー!!」
その瞬間……ヴィジャールーを握る炎の拳が彼を一気に握り潰した。
「ジュボォ!!」という音と共に焼き尽くされるヴィジャールーの体。
一瞬にして焼き尽くされた彼の体は、灰すら残さず蒸発したのだった。
ヴィジャールーが蒸発し、その力が消えた途端……心輝が纏う炎の巨人は大気へ吸い込まれる様に姿を消していった。
後に残ったのは……全身から煙を放ち佇む心輝と……血を流して倒れるレンネィのみ。
「う、ああ……レンネィ……あぁぁ……」
心輝が体力と命力を使い果たしながらも、その力を振り絞り……その一歩一歩を踏みしめ彼女へと近づいていく。
呻き声にも近い声を上げ、醜態を晒しながら……震えた体を一心不乱に動かして。
彼女の傍まで辿り着くと、残った命力を彼女へと分け与えながら……彼女を持ち上げ背に背負うと、一歩、また一歩と踏み出し歩き出した。
「誰か……助けてくれぇ……誰かぁ……彼女を助けてくれよぉ……!!」
必死に、ただ必死に……懇願する。
誰も居ない、その場所で。
ただひたすらに、掠れた声を張り上げて。
「お願いだよォ……誰でもいいから……助けてくれよおーーーーーー!!」
枯れる事の無い冷たい涙を流し、死に掛けた女を背負った男が……静かな街をゆっくりと踏みしめていた。
その瞬間……心輝の体に衝撃が走った。
彼を弾き飛ばすまでに力強く叩かれた衝撃が横から与えられ……彼の体が大きく宙を舞う。
ドズンッ!!
途端、鈍い音が鳴り響く。
宙を舞う心輝の目が……その音の素となった一部始終を見届けていた。
それはヴィジャールーの持つ槍がレンネィの体を貫いた音。
咄嗟に飛び込んだ彼女が彼を突き飛ばし……身代わりとなったのだ。
かつて恋人を救えなかった過ちを繰り返さない為に。
「ガハッ……!!」
彼女の口から溢れ出る血反吐がその傷の深さを物語る。
貫いた槍はその体の中心を貫通し……その長い槍の先を朱に染めていた。
その間に心輝が炎の残滓を身に纏いながら地面へ転がる。
目の前で起きた惨劇に、その肩を弱々しく打ち震わせながら……拳を地面へ突き、その頭をゆっくりと持ち上げる。
そこに映った光景が……彼の目の、口の……震えを徐々に大きくさせていった。
「あ……あぁぁ……あああぁぁあああーーーッ!!」
それは彼にとっての絶望の光景そのもの。
愛する人が目の前で貫かれた事実……それを彼自身が呼び込んだ事実。
その現実を前にした彼の目から大粒の涙が零れ落ちていた。
「なんだァ……? おいおいレンネェイ……こんな事で死んじまうのかよォ~? つまんねぇなぁ~」
ヴィジャールーはそう吐き捨てると、おもむろにゆっくりと槍を振り上げる。
共に持ち上げられるレンネィの体。
その勢いで彼女の手から魔剣が零れ落ち、だらりとぶら下がった手足がその体に伴う。
そしてそのまま槍を振り……槍の先端から抜け出た彼女の体が彼の後方へと向けて宙を舞った。
力無く地面へ叩きつけられ、ぐったりとした彼女の体の勢いが止まると……間も無く地面が赤い血で染まっていく。
「テ……メェ……!!」
「あぁん?」
放り投げた彼女の体を見つめていたヴィジャールーだが……突如背後から聞こえた声に気付き振り向くと、そこには立ち上がろうとする心輝の姿が映りこんだ。
大地に突く拳が震え、握り締めた手がギチギチと音を立てる。
抑えきれなくなった力が、炎が、彼の体から迸り、その力の強大さを余す事無く体現していく。
立ち上る炎が彼の体をも持ち上げる様に……足を踏みしめて立ち上がらせた全身から絶えず炎が舞い上がっていた。
それは憤怒の炎。
レンネィを貫いたヴィジャールーへの怒り。
過失を招いた自身への怒り。
そのどちらもが彼自身へ一つの想いを燃え滾らせていた。
「アアアァァァァーーーーーーーッ!!」
自身の纏う魔装すらも燃やし、溶かし、焼き尽くす程の獄炎が彼から立ち上る。
次第にその炎は彼の背中に大きく形を成す様に膨らみ続け……空を覆う程に巨大な獄炎の塊が姿を現した。
まるでそれは……獄炎の巨人と銘打つかの様に、大きな人型を模したモノであった。
ヴィジャールーすらも驚愕する……その顎を外さんばかりに大きな口を開きながら。
目の前に現れた圧倒的な破壊の衝動を前に、ただ茫然と立ち尽くすのみ。
多くの人を殺し、平穏を奪い、破壊した。
そして愛する人の血で大地を染めた。
それらが全て繋がった時……彼の怒りは頂点に達した。
「レンネェェェェェーーーーーーーーイッ!!!!」
心輝の怒号がその場を支配する。
その瞬間……炎の巨人が彼の体の動きに合わせる様に揺り動いた。
「ギ……ヒヒィーーーーー!?」
途端慌て逃げ出すヴィジャールー。
だが、巨大な炎の拳はそれそらも凌駕する程に速く動き、彼の体をたちまち掴み取った。
物理的干渉すら行える程に具現化された炎の腕は、あっという間に彼の体を空高く持ち上げ……その身を太陽の下へと晒す。
「ンギャアァァァーーー!? たっ、たしゅけてッ!?」
その圧倒的な力を前に……ヴィジャールーはただ怯え、助けを懇願する。
彼の体表を焼き、煙が立ち上る中……必死に命乞いをするその姿は滑稽そのものであった。
「あ?」
だが、それが心輝の琴線に触れ……突如彼の口元が釣り上がる。
そして鋭い殺意の瞳がヴィジャールーを刺し貫くかの如く睨み付けた。
「『助けて』だとォ……!? テメェがそうやって助けた命があるのかよォ……!!」
「ヒ、ヒイッ!?」
その掴んだ炎の手がギリリとヴィジャールーの体を締め付け始める。
絶望の顔で歪め、苦しみながら……心輝の怒りの形相を前に何も出来ず、ただ彼の一言を遺言として―――
「テメェが命を惜しむんじゃねえよおおおーーーーーーーーー!!」
その瞬間……ヴィジャールーを握る炎の拳が彼を一気に握り潰した。
「ジュボォ!!」という音と共に焼き尽くされるヴィジャールーの体。
一瞬にして焼き尽くされた彼の体は、灰すら残さず蒸発したのだった。
ヴィジャールーが蒸発し、その力が消えた途端……心輝が纏う炎の巨人は大気へ吸い込まれる様に姿を消していった。
後に残ったのは……全身から煙を放ち佇む心輝と……血を流して倒れるレンネィのみ。
「う、ああ……レンネィ……あぁぁ……」
心輝が体力と命力を使い果たしながらも、その力を振り絞り……その一歩一歩を踏みしめ彼女へと近づいていく。
呻き声にも近い声を上げ、醜態を晒しながら……震えた体を一心不乱に動かして。
彼女の傍まで辿り着くと、残った命力を彼女へと分け与えながら……彼女を持ち上げ背に背負うと、一歩、また一歩と踏み出し歩き出した。
「誰か……助けてくれぇ……誰かぁ……彼女を助けてくれよぉ……!!」
必死に、ただ必死に……懇願する。
誰も居ない、その場所で。
ただひたすらに、掠れた声を張り上げて。
「お願いだよォ……誰でもいいから……助けてくれよおーーーーーー!!」
枯れる事の無い冷たい涙を流し、死に掛けた女を背負った男が……静かな街をゆっくりと踏みしめていた。
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