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第二十八節「疑念の都 真実を求め空へ 崩日凋落」
~SIDE勇-08 確たる証拠達~
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現在時刻 日本時間17:38......
一筋の光が僅かなブレすら見せる事無く海上の空を突き抜けていく。
もはやその勢いは迷いなど感じさせない。
それは勇と茶奈。
日本の真実をふんだんに詰め込んだUSBメモリを片手に握り締め、二人は行く。
日本政府そのものが【救世同盟】……そう言わざるを得ない状況を前に、二人が遠慮する事はもう無かった。
サンフランシスコから一直線に日本へ向かってきた二人。
日本本土の姿を捉えてもなお、その勢いは留める事を知らない。
迂回する事すらなく、一直線に茨城の海岸線から突入していく。
一刻も早く、藤咲家に向かう為に。
渡って来た太平洋の広大さと比べれば、茨城から自宅までの距離などほとんど誤差内の様なものだ。
二人の姿があっという間に自宅のある街へと差し掛かると、自宅へ向けて一気に急降下していく。
空気の層を抜けて降下していく二人に衝撃波が伴い、激しい音を掻き鳴らす。
そして途端、茶奈の握る魔剣から炎が消えると……二人は突如空気の層に押し上げられ、まるで舞い上がる様にその勢いを収めていった。
しかしその勢いは落ちても留まらず、二人の体は自宅へ向けて急落下。
だが、その勢いの中でもきりもみする事無く、バランスを整えて目的地を見据える。
共に、小さく狭い……自宅の庭へと向けて。
ドドォーーーーーーンッッッ!!
凄まじい衝撃音が二つ、同時に鳴り響いた。
勇の家だけでなく、周囲の家にまで伝わる程の衝撃が一瞬で伝わっていく。
余りの衝撃に、勇の家の窓に漏れなく亀裂が入る程。
高々と砂煙を舞い上がらせ、軒先の塀すら崩れていた。
屋内に居た心輝達も驚き、思わず居間から庭へと振り向く。
藤咲家には既に園部両親と相沢両親も訪れていた。
人で詰まった居間では、何が起こったのかと騒ぐ様子が伺える。
家の外も一台のパトカーを残し、既にギャラリーごとそっくり帰った後だった。
彼等の登場を迎えた者は他に居ない。
そんな中で……心輝が口元に笑みを覗かせた。
「彼等が帰って来た」……そんな期待が思わず表情に出てしまった様だ。
外で砂煙が収まり止まぬ中、玄関の扉が激しく開かれる。
そして空かさず現れたのは……勇と茶奈だった。
「勇君!!」
二人の満を持した登場に、思わず母親が喜び声を上げる。
彼女だけではない、彼等を待っていた者達が同時に手を振り上げて二人の帰還を迎えた。
「皆、心配を掛けさせてすまない。 でも時間が無い、事情を聴きながら見て貰いたいものがあるんだ。 親父、ノートパソコンあるよな?」
「あ、ああ……?」
「ネット回線を切って立ち上げて欲しいんだ」
「わかった!」
勇の父親が座っていた椅子から焦る様に立ち上がり、書斎へ小走りで向かっていく。
そんな様子を見届けていると……不意に勇へ向けて声が上がった。
「相当な剣幕の様ですが、一体何があったというのですか?」
勇が振り向くと、そこに居たのは彼とは面識の無い男。
思わず「えっ?」と声を漏らす勇だったが、空かさず心輝が間に入った。
「この人は大迫さんっつう、【救世同盟】を追う人だ。 この人のおかげでお前の親父さん達が助かったみたいなもんだ」
「そうなのか、ありがとうございます!!」
「はは、いえ、私は漁夫の利を得たに過ぎません……それより―――」
そう言い掛けると、書斎の扉が開いて勇の父親が姿を現した。
片腕にノートパソコンを抱え、勇達の下へ駆け寄っていく。
「もしかしたら、日本がどうにかなってしまうかもしれません……ですがこれは、すぐにでもどうにかしなきゃならない問題なんです」
父親が駆け寄って来る間にそう返すと、事態の深刻さを感じ取った大迫はそれ以上追及する事無く……ダイニングテーブルに置かれたノートPCへと視線を向けた。
「よし、勇、いいぞ!」
さすがの技術者か。
起動したパソコンを手馴れた手つきで操作し、ネット回線を遮断する。
そして勇がミシェルから預かったUSBメモリを手に取り、そっとノートパソコンへと差し込むと……データを読み込み始めた。
「これはアメリカ政府が集めた日本の裏側の情報です。 ここには【東京事変】前後で起きた【救世】絡みの問題が全て集められてると聞いています」
「君は事情を聞いたのか?」
「ええ、聞きました……正直、俺が話すよりも見てもらった方が早い」
メモリを読み込んだパソコンが自動的にウィンドウが開き、丁寧に日本語で付けられたフォルダが姿を現す。
勇の父親がそこからどくと、勇がそっとマウスを手に取り操作を始めた。
「極秘情報」、「日本政府」、「救世同盟」……フォルダを開き、先に進ませる。
注目する彼等が目にしたのは……驚愕の映像だった。
「こ、これは……!!」
そこにはなんと、小嶋由子が何者かと会っている写真が幾つも並んでいたのだ。
いずれも彼女とわかる映像……そしてその相手も。
それを目にした大迫が堪らず驚きの声を漏らしていた。
「彼はアルディ=マフマハイド……これはデューク=デュラン……まさかこんな……」
【救世同盟】絡みの情報を知っているであろう大迫が目を見開き、羅列した写真の一つ一つに相槌を打っていく。
いずれもの相手も彼にとってよく知る人物だったのだ。
「彼等は各国に潜む【救世同盟】派生団体のリーダー的存在と言われています。 彼等と会っていたという事は……まさか小嶋総理自体が【救世同盟】関係者……!?」
さすがの大迫もこの事実を前にして頭を抱える。
そこまでは突き止めていなかったのだろう。
いや、気付かれない様にしていた小嶋が巧妙だったのかもしれない。
数々の証拠を前に、その場に居合わせた他の者達が声を殺して見届ける。
そして遂に……勇達にとってよく知る人物の写真がとうとう姿を現したのだった。
「これは……デュゼロー!?」
そう、それは勇と対決したデュゼローと小嶋が出会っている光景。
残念ながらその映像から小嶋が本人だとわかる様な要素は薄かった。
だが、今までの写真と変わらぬ体型、風貌からそれを彷彿とさせるには十分だった。
何より……どの写真よりも古いのだ。
それが何よりその信憑性を深くさせていた。
「そうか……小嶋由子は……」
誰に言われる事も無く、大迫はその時全てを理解した。
彼女が【救世】として【東京事変】を手引きした真犯人だったのだと。
そこにあった証拠の数々……それはもはや言い逃れなど出来ぬ程の重大なもの。
大迫を始め、心輝や愛希、両親達も事の重大さに身を内震わせる。
聞いていた勇と茶奈も、改めて目を通す証拠を前に、ただ驚嘆に震える様な溜息を漏らしていた。
「これだけの証拠があるなら……小嶋由子の逮捕は容易いかもしれません。 ですが、彼女を捕まえただけでは……それに彼女が今どこにいるかもわからない以上―――」
その時大迫から漏れたのは、失意の溜息混じりの声。
彼は今、事態の複雑さに頭を悩ませていた。
小嶋を捕まえただけではどうにもならない、政界という複雑な状況に。
小嶋が【救世同盟】であろうと、彼女だけがそうではない。
例え彼女を捕まえたとしても、その代わりが代役を務めるだろう。
そうやって大きくなったのが【救世同盟】なのだから。
だが、大迫の肩を落とす様を目にした勇は、声を途切れさせた彼に続く様に声を上げた。
「それでも、やらなきゃならない。 ミシェルさんは俺になら出来ると言ってくれた。 だからやるんだ。 出来るなら……それはその可能性に全てを賭けて全力で立ち向かうだけです」
「藤咲君……そうか……デュゼローを倒した君なら何とかなるかもしれないな」
互いに頷き合う。
大迫は勇の可能性に期待を寄せ、そっとその身を僅かに引かせたのだった。
一筋の光が僅かなブレすら見せる事無く海上の空を突き抜けていく。
もはやその勢いは迷いなど感じさせない。
それは勇と茶奈。
日本の真実をふんだんに詰め込んだUSBメモリを片手に握り締め、二人は行く。
日本政府そのものが【救世同盟】……そう言わざるを得ない状況を前に、二人が遠慮する事はもう無かった。
サンフランシスコから一直線に日本へ向かってきた二人。
日本本土の姿を捉えてもなお、その勢いは留める事を知らない。
迂回する事すらなく、一直線に茨城の海岸線から突入していく。
一刻も早く、藤咲家に向かう為に。
渡って来た太平洋の広大さと比べれば、茨城から自宅までの距離などほとんど誤差内の様なものだ。
二人の姿があっという間に自宅のある街へと差し掛かると、自宅へ向けて一気に急降下していく。
空気の層を抜けて降下していく二人に衝撃波が伴い、激しい音を掻き鳴らす。
そして途端、茶奈の握る魔剣から炎が消えると……二人は突如空気の層に押し上げられ、まるで舞い上がる様にその勢いを収めていった。
しかしその勢いは落ちても留まらず、二人の体は自宅へ向けて急落下。
だが、その勢いの中でもきりもみする事無く、バランスを整えて目的地を見据える。
共に、小さく狭い……自宅の庭へと向けて。
ドドォーーーーーーンッッッ!!
凄まじい衝撃音が二つ、同時に鳴り響いた。
勇の家だけでなく、周囲の家にまで伝わる程の衝撃が一瞬で伝わっていく。
余りの衝撃に、勇の家の窓に漏れなく亀裂が入る程。
高々と砂煙を舞い上がらせ、軒先の塀すら崩れていた。
屋内に居た心輝達も驚き、思わず居間から庭へと振り向く。
藤咲家には既に園部両親と相沢両親も訪れていた。
人で詰まった居間では、何が起こったのかと騒ぐ様子が伺える。
家の外も一台のパトカーを残し、既にギャラリーごとそっくり帰った後だった。
彼等の登場を迎えた者は他に居ない。
そんな中で……心輝が口元に笑みを覗かせた。
「彼等が帰って来た」……そんな期待が思わず表情に出てしまった様だ。
外で砂煙が収まり止まぬ中、玄関の扉が激しく開かれる。
そして空かさず現れたのは……勇と茶奈だった。
「勇君!!」
二人の満を持した登場に、思わず母親が喜び声を上げる。
彼女だけではない、彼等を待っていた者達が同時に手を振り上げて二人の帰還を迎えた。
「皆、心配を掛けさせてすまない。 でも時間が無い、事情を聴きながら見て貰いたいものがあるんだ。 親父、ノートパソコンあるよな?」
「あ、ああ……?」
「ネット回線を切って立ち上げて欲しいんだ」
「わかった!」
勇の父親が座っていた椅子から焦る様に立ち上がり、書斎へ小走りで向かっていく。
そんな様子を見届けていると……不意に勇へ向けて声が上がった。
「相当な剣幕の様ですが、一体何があったというのですか?」
勇が振り向くと、そこに居たのは彼とは面識の無い男。
思わず「えっ?」と声を漏らす勇だったが、空かさず心輝が間に入った。
「この人は大迫さんっつう、【救世同盟】を追う人だ。 この人のおかげでお前の親父さん達が助かったみたいなもんだ」
「そうなのか、ありがとうございます!!」
「はは、いえ、私は漁夫の利を得たに過ぎません……それより―――」
そう言い掛けると、書斎の扉が開いて勇の父親が姿を現した。
片腕にノートパソコンを抱え、勇達の下へ駆け寄っていく。
「もしかしたら、日本がどうにかなってしまうかもしれません……ですがこれは、すぐにでもどうにかしなきゃならない問題なんです」
父親が駆け寄って来る間にそう返すと、事態の深刻さを感じ取った大迫はそれ以上追及する事無く……ダイニングテーブルに置かれたノートPCへと視線を向けた。
「よし、勇、いいぞ!」
さすがの技術者か。
起動したパソコンを手馴れた手つきで操作し、ネット回線を遮断する。
そして勇がミシェルから預かったUSBメモリを手に取り、そっとノートパソコンへと差し込むと……データを読み込み始めた。
「これはアメリカ政府が集めた日本の裏側の情報です。 ここには【東京事変】前後で起きた【救世】絡みの問題が全て集められてると聞いています」
「君は事情を聞いたのか?」
「ええ、聞きました……正直、俺が話すよりも見てもらった方が早い」
メモリを読み込んだパソコンが自動的にウィンドウが開き、丁寧に日本語で付けられたフォルダが姿を現す。
勇の父親がそこからどくと、勇がそっとマウスを手に取り操作を始めた。
「極秘情報」、「日本政府」、「救世同盟」……フォルダを開き、先に進ませる。
注目する彼等が目にしたのは……驚愕の映像だった。
「こ、これは……!!」
そこにはなんと、小嶋由子が何者かと会っている写真が幾つも並んでいたのだ。
いずれも彼女とわかる映像……そしてその相手も。
それを目にした大迫が堪らず驚きの声を漏らしていた。
「彼はアルディ=マフマハイド……これはデューク=デュラン……まさかこんな……」
【救世同盟】絡みの情報を知っているであろう大迫が目を見開き、羅列した写真の一つ一つに相槌を打っていく。
いずれもの相手も彼にとってよく知る人物だったのだ。
「彼等は各国に潜む【救世同盟】派生団体のリーダー的存在と言われています。 彼等と会っていたという事は……まさか小嶋総理自体が【救世同盟】関係者……!?」
さすがの大迫もこの事実を前にして頭を抱える。
そこまでは突き止めていなかったのだろう。
いや、気付かれない様にしていた小嶋が巧妙だったのかもしれない。
数々の証拠を前に、その場に居合わせた他の者達が声を殺して見届ける。
そして遂に……勇達にとってよく知る人物の写真がとうとう姿を現したのだった。
「これは……デュゼロー!?」
そう、それは勇と対決したデュゼローと小嶋が出会っている光景。
残念ながらその映像から小嶋が本人だとわかる様な要素は薄かった。
だが、今までの写真と変わらぬ体型、風貌からそれを彷彿とさせるには十分だった。
何より……どの写真よりも古いのだ。
それが何よりその信憑性を深くさせていた。
「そうか……小嶋由子は……」
誰に言われる事も無く、大迫はその時全てを理解した。
彼女が【救世】として【東京事変】を手引きした真犯人だったのだと。
そこにあった証拠の数々……それはもはや言い逃れなど出来ぬ程の重大なもの。
大迫を始め、心輝や愛希、両親達も事の重大さに身を内震わせる。
聞いていた勇と茶奈も、改めて目を通す証拠を前に、ただ驚嘆に震える様な溜息を漏らしていた。
「これだけの証拠があるなら……小嶋由子の逮捕は容易いかもしれません。 ですが、彼女を捕まえただけでは……それに彼女が今どこにいるかもわからない以上―――」
その時大迫から漏れたのは、失意の溜息混じりの声。
彼は今、事態の複雑さに頭を悩ませていた。
小嶋を捕まえただけではどうにもならない、政界という複雑な状況に。
小嶋が【救世同盟】であろうと、彼女だけがそうではない。
例え彼女を捕まえたとしても、その代わりが代役を務めるだろう。
そうやって大きくなったのが【救世同盟】なのだから。
だが、大迫の肩を落とす様を目にした勇は、声を途切れさせた彼に続く様に声を上げた。
「それでも、やらなきゃならない。 ミシェルさんは俺になら出来ると言ってくれた。 だからやるんだ。 出来るなら……それはその可能性に全てを賭けて全力で立ち向かうだけです」
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
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