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第二十八節「疑念の都 真実を求め空へ 崩日凋落」
~SIDE小嶋-03 不敵な笑み~
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現在時刻 日本時間17:32.....
総理官邸。
総理御用達の執務室には一人の人影も無い。
ひっそりと静まり返った官邸内。
既に職務を終えた職員達が帰宅していく様が見受けられた。
「やはり先生の予想は正しかったようです。 渋谷の戦いでは藤咲勇も絡んでいた模様です。 今しがた、調査班からの連絡が―――」
「見つけるのが遅すぎますね。 全くこの体たらく……緊急事態であれば手遅れもいい所でしょう」
「カツカツ」と大理石の床を突く音を定間隔で響かせながら、出発の準備を整えた小嶋と平野が公務用車両に向けて歩く姿があった。
一歩一歩鋭く刻む足取りは彼女達を急かしているよう。
しかしこれは彼女達の様なメディアに露出する事が多い者達が元々持つ、スピード感を感じさせる為に習得した歩き方に過ぎない。
平野がインカムを身に備え、歩きながらも連絡を取りながらタブレットを操作して必要な情報のみを小嶋に伝えていく。
彼から伝えられる情報はいずれも勇達の事に関する事ばかり。
彼女達にとっての憂慮は魔特隊に関する面々だけなのだろう。
しかし、もはや彼女達にそれらを隠す様な素振りは一切無かった。
疚しい事では無かったからか?
既に周知の事実だったからか?
いや、それは違う。
彼女達にはもう、自分達の立場がどうなろうとどうでも良かったのだ。
公用車の元へ辿り着くと、平野が後部座席の扉を開いて小嶋を誘う。
小嶋がさも当然の様に拓かれた車内へと足を踏み入れると、間も無くしてその扉は閉められた。
運転席の扉が開き、平野が運転席へと座る。
運転手などは居ない……互いに良く知る二人だけ。
「しかし何も心配要りません。 今更藤咲勇が動いた所で……もはや何が出来る訳でもありませんから」
車内へ自身を埋めた途端、彼女の顔に浮かぶのは……妖しい笑み。
全ては思惑のまま、彼女の自信は揺るぎはしない。
だが……そんな自信たっぷりの小嶋を他所に、平野が珍しく浮かない顔を覗かせていた。
「ですが……少し彼等を過小評価なさっていませんか? 彼等には窮地に対して爆発的な打開能力がある様に感じます……油断は禁物かと思いますが……」
勇達の下に最も近くに居た事がある彼だからこそ、その実力は痛い程理解している。
結果だけを見てきた小嶋とは違う。
だからこそ、彼は心配だったのだ……自分達の計画が彼等に突破されてしまう事を。
「ふふ……案ずる事はありませんよ、彼等は所詮ただ力が強いだけの無知な若造に過ぎません。 例え真実を知ろうと……愚かな彼等が私達に辿り着くにはもう手遅れなのですから」
二人を乗せた車が発進していく。
ゲートを通り、公道へとその身を乗り出すと……揺れた黒い車体が淡い日の光を受けて瞬きを刻んでいた。
「いいですか、平野……昔から『ペンは剣より強し』と言いますよね。 しかし、この世にはそのペンすら強いモノがあります……それが何だかわかりますか?」
笑みを浮かべた小嶋が得意げに語る。
その顔には静かながら勝利を確信した冷徹な笑みが浮かぶ。
「それは権力です……」
そう言い切った彼女の表情は……光悦にも等しき、勝ち誇った様だった。
「地位、名誉、名声……それらを持った者がペンを操り剣を堕とす……いつの世もそうやって国を造り上げてきたのです。 そして今回も……彼等は何する事叶わないでしょう。 彼等を覆う権力を前に、剣など無力に等しいのだから」
「さすが先生、その自信にこの平野、感服の他御座いません」
小嶋の自信満々の言葉を前に、平野の表情が和らいでいく。
彼もまた小嶋の思想に従っているからこそ……彼女の思惑通りの現状に安心を憶えた様だ。
他の車に追従する様に彼女達の乗る車が進む中で、小嶋はなお言葉を連ねる。
もはや自分達を止める者など誰一人居ない事を知っていたから……止まる事を望まない。
「フフ……つまり権力とは……いつの世をも正しく導く為に必要な力。 そう、その力を操る我々こそが正義なのですよ」
小嶋達の進む先に見える標識……そこに映るのは【至 成田空港】の文字。
遥かその先、まだ見えぬ目的地で二人を待つのは、一機の政府専用航空機。
二人がそこに辿り着く事。
それが彼女の思い描く計画の最後の一押し。
そこに至るまでの時間はもはやほとんど残されてはいない。
事情を知った勇達もその事までは知るはずも無く。
勇が、茶奈が、心輝が、瀬玲が……今なお自分達の思い思いで行動を起こしている。
だが、彼等を覆う事態は彼等が思う事を遥かに超えて、より深刻とも言える状況なのである。
総理官邸。
総理御用達の執務室には一人の人影も無い。
ひっそりと静まり返った官邸内。
既に職務を終えた職員達が帰宅していく様が見受けられた。
「やはり先生の予想は正しかったようです。 渋谷の戦いでは藤咲勇も絡んでいた模様です。 今しがた、調査班からの連絡が―――」
「見つけるのが遅すぎますね。 全くこの体たらく……緊急事態であれば手遅れもいい所でしょう」
「カツカツ」と大理石の床を突く音を定間隔で響かせながら、出発の準備を整えた小嶋と平野が公務用車両に向けて歩く姿があった。
一歩一歩鋭く刻む足取りは彼女達を急かしているよう。
しかしこれは彼女達の様なメディアに露出する事が多い者達が元々持つ、スピード感を感じさせる為に習得した歩き方に過ぎない。
平野がインカムを身に備え、歩きながらも連絡を取りながらタブレットを操作して必要な情報のみを小嶋に伝えていく。
彼から伝えられる情報はいずれも勇達の事に関する事ばかり。
彼女達にとっての憂慮は魔特隊に関する面々だけなのだろう。
しかし、もはや彼女達にそれらを隠す様な素振りは一切無かった。
疚しい事では無かったからか?
既に周知の事実だったからか?
いや、それは違う。
彼女達にはもう、自分達の立場がどうなろうとどうでも良かったのだ。
公用車の元へ辿り着くと、平野が後部座席の扉を開いて小嶋を誘う。
小嶋がさも当然の様に拓かれた車内へと足を踏み入れると、間も無くしてその扉は閉められた。
運転席の扉が開き、平野が運転席へと座る。
運転手などは居ない……互いに良く知る二人だけ。
「しかし何も心配要りません。 今更藤咲勇が動いた所で……もはや何が出来る訳でもありませんから」
車内へ自身を埋めた途端、彼女の顔に浮かぶのは……妖しい笑み。
全ては思惑のまま、彼女の自信は揺るぎはしない。
だが……そんな自信たっぷりの小嶋を他所に、平野が珍しく浮かない顔を覗かせていた。
「ですが……少し彼等を過小評価なさっていませんか? 彼等には窮地に対して爆発的な打開能力がある様に感じます……油断は禁物かと思いますが……」
勇達の下に最も近くに居た事がある彼だからこそ、その実力は痛い程理解している。
結果だけを見てきた小嶋とは違う。
だからこそ、彼は心配だったのだ……自分達の計画が彼等に突破されてしまう事を。
「ふふ……案ずる事はありませんよ、彼等は所詮ただ力が強いだけの無知な若造に過ぎません。 例え真実を知ろうと……愚かな彼等が私達に辿り着くにはもう手遅れなのですから」
二人を乗せた車が発進していく。
ゲートを通り、公道へとその身を乗り出すと……揺れた黒い車体が淡い日の光を受けて瞬きを刻んでいた。
「いいですか、平野……昔から『ペンは剣より強し』と言いますよね。 しかし、この世にはそのペンすら強いモノがあります……それが何だかわかりますか?」
笑みを浮かべた小嶋が得意げに語る。
その顔には静かながら勝利を確信した冷徹な笑みが浮かぶ。
「それは権力です……」
そう言い切った彼女の表情は……光悦にも等しき、勝ち誇った様だった。
「地位、名誉、名声……それらを持った者がペンを操り剣を堕とす……いつの世もそうやって国を造り上げてきたのです。 そして今回も……彼等は何する事叶わないでしょう。 彼等を覆う権力を前に、剣など無力に等しいのだから」
「さすが先生、その自信にこの平野、感服の他御座いません」
小嶋の自信満々の言葉を前に、平野の表情が和らいでいく。
彼もまた小嶋の思想に従っているからこそ……彼女の思惑通りの現状に安心を憶えた様だ。
他の車に追従する様に彼女達の乗る車が進む中で、小嶋はなお言葉を連ねる。
もはや自分達を止める者など誰一人居ない事を知っていたから……止まる事を望まない。
「フフ……つまり権力とは……いつの世をも正しく導く為に必要な力。 そう、その力を操る我々こそが正義なのですよ」
小嶋達の進む先に見える標識……そこに映るのは【至 成田空港】の文字。
遥かその先、まだ見えぬ目的地で二人を待つのは、一機の政府専用航空機。
二人がそこに辿り着く事。
それが彼女の思い描く計画の最後の一押し。
そこに至るまでの時間はもはやほとんど残されてはいない。
事情を知った勇達もその事までは知るはずも無く。
勇が、茶奈が、心輝が、瀬玲が……今なお自分達の思い思いで行動を起こしている。
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