324 / 1,197
第十一節「心拠りし所 平の願い その光の道標」
~何一人で感激してるんスか~
しおりを挟む
満を持して、次々に招待者達が訪れる。
ちゃな達の次に訪れたのは、思っていたより時間に律儀な彼女達だった。
「うおっ!? ナニコレェ……!?」
「ヤバイってこれマジで!?」
「パネェ~藤咲先輩マジパネェ~」
愛希達である。
やはり彼女達もこんな場には縁が無かった様で。
想像を絶する規模の大きさに戸惑いを隠せない。
「おっかしいなー……アタシ、ちゃなには『皆で遊ぼう』ってくらいにしか言ってなかったんだけど」
「俺も最初はそれくらいのつもりだったんだけど、気付いたらこうなってた。まぁそれでもちゃんと現実だから。遠慮せずしっかり楽しんでってよ」
「はぁい、誘ってくれて~ありがと~」
「これなら親連れて来ても良かったね、愛希」
ただし、彼女達は三人だけ。
両親も一応招待はしていたのだけれど。
どうやら面倒で連れてこなかったらしい。
とはいえ、愛希達に限ってはそこまで関係が深くないので間違いではない。
その両親ともなるとさすがに接点が無さ過ぎて場違いにもなりそうだから。
そんな彼女達をちゃなへと仕向けて送り出す。
その間にも世話になっている医者達が訪れ、福留が応対していて。
勇もその最中に感謝を込めて礼を送る。
もちろん来るのはこんな知り合いばかりではない。
福留と絡んでいる政府関係者も何人か。
勇が一度二度会った事がある、程度の人物だ。
もちろん皆、この場に呼ばれるだけあって良い人ばかりである。
さすがに鷹峰総理や村野防衛大臣が来る事は無い様だが。
だからこそ落ち着いている暇なんて無い。
先程から次々と招待客が来ているので、頭をずっと下げっぱなしである。
きっと福留にそうするよう仕込まれたのだろう。
主催者としての物腰は、学生とは思えないくらいにとても丁寧で。
これにはチラリと覗く福留も思わずニッコリだ。
「会場はここだな。おーい、勇君!」
すると今度は勇の知り合いが訪れる。
精悍な顔立ちとクリアな声は忘れようもない、あの恩人が。
御味だ。
アルライの里の一件でも尽力を尽くしてくれて、それから何度も絡む事があった。
勇が個人的に訪れた時も足になってくれたりで。
今でもアルライの里担当として常々動き回ってくれている。
だからこそ何が何でも呼びたかったのだ。
そして、御味が来たという事はつまり。
「おおー勇さんお久しぶりッス!!」
「「「わぁー!!」」」
そう、アルライの里からの来訪者達も同伴である。
カプロと若者代表のモロビを筆頭に、あの三人のモフっ子達も揃って参上だ。
さすがに遠出するともあって、モロビは保護者役として参じたらしい。
カプロだけでは不安があったのだろう。
「来たなぁカプロォ!」
「まさかこんな形で人里に来るとは思ってもみなかったッスよー!」
割と久しぶりな再会で、手を取り合って想いを交わす。
モロビに至っては本当に久しぶりだからかハグまでしてくる程で。
だいぶ人に慣れたお陰か、そう悟った勇もならばと抱き返さずにはいられない。
その間にも子供達が大興奮で走り回り、たちまち会場が大騒ぎに。
「ちょ、え、えええ!?」
「な、なにあれー!? かーわいー!」
「あれってテレビで見た、アルライっていう別世界の人達じゃ!?」
それもそのはず。
ここに居る招待客の殆どは彼等と初対面なのだから。
それどころか実物が本当に存在するとさえ思っていなかったかもしれない。
確かに、アルライ族の存在はもう世間に公表されている。
別世界からの来訪者、新たな人類の友として。
だから世間ではその容姿から評判になったりと賑わっていて。
既に関連商品や写真集なども店頭に並んだりしているという。
ただし実物を拝む事がまだ叶わないのを前提に。
なので皆とても興味津々だ。
あの噂のモフモフ達がこうして目の前に現れたのだから。
「彼等はテレビでも賑わせました友好的な方々の子供達です。 とてもいい子達なので仲良くしてあげてくださいね」
そこで福留がこうも説明すれば、誰もが笑みを零しもしよう。
当然、皆がみな敵意を一切向ける事も無く。
お陰で保護者のモロビも一安心だ。
なにせ囲う人々は子供達を普通に触れる事が出来ているのだから。
そう、福留の作戦が功を奏したのである。
もし敵意があれば、まず魔者に触れる事が出来ないだろう。
しかし世間へのファーストコンタクトが好印象ならば、敵意を持つ事は無い。
であれば敵を見た事のある心輝達と違い、初見の人々が拒まれる理由が無くなる。
では実際にはどうなのか。
なら試してみればいい、と。
そう、彼等をここに連れて来たのは一種の実験だったのだ。
魔者が人々と触れ合う事が出来るかどうか、その実証の為の。
そして見事に成功した。
故に今、福留は心から喜んでいた。
招待客達と戯れる子供達を前にして。
自分達と、勇の頑張りが実になった事に嬉しさを隠せなくて。
それは勇も同じだ。
理由を知るはずの母親でさえ、今はアルライの子供を抱え上げられている。
それだけ意識が敵意から離れている証拠である。
そう証明出来ただけで嬉しくならない訳が無い。
まるで今までの戦いが報われた様な気がして。
「勇さん勇さん、ボク差し置いて何一人で感激してるんスか」
「あ、悪い。ちょっと嬉しくなっちゃって」
だからとその締めに、勇もまたカプロの頭をワシャワシャと。
本人はあまり気持ち良くなさそうだけれど、悪い気はしない様だ。
「折角だから皆に挨拶してきなよ。皆お前の事知りたがってるはずだからさ」
「ほう……ならボクが超スゴイ奴ってトコを証明してやるッスよ、うぴぴ」
そんなカプロがモロビに抱えられて子供達の下へ。
なんだかんだで打ち解けられそうだから、不安を抱く必要は無いのかもしれない。
少なくとも、カプロの前向きさならきっと。
勇とアルライの絆を繋いでくれた彼ならば、誰とでも仲良くなれる事だろう。
そう願って送り出す。
誰よりも期待したい、そんな友達だから。
だから今の勇からはもう、笑顔が剥がれそうにない。
ちゃな達の次に訪れたのは、思っていたより時間に律儀な彼女達だった。
「うおっ!? ナニコレェ……!?」
「ヤバイってこれマジで!?」
「パネェ~藤咲先輩マジパネェ~」
愛希達である。
やはり彼女達もこんな場には縁が無かった様で。
想像を絶する規模の大きさに戸惑いを隠せない。
「おっかしいなー……アタシ、ちゃなには『皆で遊ぼう』ってくらいにしか言ってなかったんだけど」
「俺も最初はそれくらいのつもりだったんだけど、気付いたらこうなってた。まぁそれでもちゃんと現実だから。遠慮せずしっかり楽しんでってよ」
「はぁい、誘ってくれて~ありがと~」
「これなら親連れて来ても良かったね、愛希」
ただし、彼女達は三人だけ。
両親も一応招待はしていたのだけれど。
どうやら面倒で連れてこなかったらしい。
とはいえ、愛希達に限ってはそこまで関係が深くないので間違いではない。
その両親ともなるとさすがに接点が無さ過ぎて場違いにもなりそうだから。
そんな彼女達をちゃなへと仕向けて送り出す。
その間にも世話になっている医者達が訪れ、福留が応対していて。
勇もその最中に感謝を込めて礼を送る。
もちろん来るのはこんな知り合いばかりではない。
福留と絡んでいる政府関係者も何人か。
勇が一度二度会った事がある、程度の人物だ。
もちろん皆、この場に呼ばれるだけあって良い人ばかりである。
さすがに鷹峰総理や村野防衛大臣が来る事は無い様だが。
だからこそ落ち着いている暇なんて無い。
先程から次々と招待客が来ているので、頭をずっと下げっぱなしである。
きっと福留にそうするよう仕込まれたのだろう。
主催者としての物腰は、学生とは思えないくらいにとても丁寧で。
これにはチラリと覗く福留も思わずニッコリだ。
「会場はここだな。おーい、勇君!」
すると今度は勇の知り合いが訪れる。
精悍な顔立ちとクリアな声は忘れようもない、あの恩人が。
御味だ。
アルライの里の一件でも尽力を尽くしてくれて、それから何度も絡む事があった。
勇が個人的に訪れた時も足になってくれたりで。
今でもアルライの里担当として常々動き回ってくれている。
だからこそ何が何でも呼びたかったのだ。
そして、御味が来たという事はつまり。
「おおー勇さんお久しぶりッス!!」
「「「わぁー!!」」」
そう、アルライの里からの来訪者達も同伴である。
カプロと若者代表のモロビを筆頭に、あの三人のモフっ子達も揃って参上だ。
さすがに遠出するともあって、モロビは保護者役として参じたらしい。
カプロだけでは不安があったのだろう。
「来たなぁカプロォ!」
「まさかこんな形で人里に来るとは思ってもみなかったッスよー!」
割と久しぶりな再会で、手を取り合って想いを交わす。
モロビに至っては本当に久しぶりだからかハグまでしてくる程で。
だいぶ人に慣れたお陰か、そう悟った勇もならばと抱き返さずにはいられない。
その間にも子供達が大興奮で走り回り、たちまち会場が大騒ぎに。
「ちょ、え、えええ!?」
「な、なにあれー!? かーわいー!」
「あれってテレビで見た、アルライっていう別世界の人達じゃ!?」
それもそのはず。
ここに居る招待客の殆どは彼等と初対面なのだから。
それどころか実物が本当に存在するとさえ思っていなかったかもしれない。
確かに、アルライ族の存在はもう世間に公表されている。
別世界からの来訪者、新たな人類の友として。
だから世間ではその容姿から評判になったりと賑わっていて。
既に関連商品や写真集なども店頭に並んだりしているという。
ただし実物を拝む事がまだ叶わないのを前提に。
なので皆とても興味津々だ。
あの噂のモフモフ達がこうして目の前に現れたのだから。
「彼等はテレビでも賑わせました友好的な方々の子供達です。 とてもいい子達なので仲良くしてあげてくださいね」
そこで福留がこうも説明すれば、誰もが笑みを零しもしよう。
当然、皆がみな敵意を一切向ける事も無く。
お陰で保護者のモロビも一安心だ。
なにせ囲う人々は子供達を普通に触れる事が出来ているのだから。
そう、福留の作戦が功を奏したのである。
もし敵意があれば、まず魔者に触れる事が出来ないだろう。
しかし世間へのファーストコンタクトが好印象ならば、敵意を持つ事は無い。
であれば敵を見た事のある心輝達と違い、初見の人々が拒まれる理由が無くなる。
では実際にはどうなのか。
なら試してみればいい、と。
そう、彼等をここに連れて来たのは一種の実験だったのだ。
魔者が人々と触れ合う事が出来るかどうか、その実証の為の。
そして見事に成功した。
故に今、福留は心から喜んでいた。
招待客達と戯れる子供達を前にして。
自分達と、勇の頑張りが実になった事に嬉しさを隠せなくて。
それは勇も同じだ。
理由を知るはずの母親でさえ、今はアルライの子供を抱え上げられている。
それだけ意識が敵意から離れている証拠である。
そう証明出来ただけで嬉しくならない訳が無い。
まるで今までの戦いが報われた様な気がして。
「勇さん勇さん、ボク差し置いて何一人で感激してるんスか」
「あ、悪い。ちょっと嬉しくなっちゃって」
だからとその締めに、勇もまたカプロの頭をワシャワシャと。
本人はあまり気持ち良くなさそうだけれど、悪い気はしない様だ。
「折角だから皆に挨拶してきなよ。皆お前の事知りたがってるはずだからさ」
「ほう……ならボクが超スゴイ奴ってトコを証明してやるッスよ、うぴぴ」
そんなカプロがモロビに抱えられて子供達の下へ。
なんだかんだで打ち解けられそうだから、不安を抱く必要は無いのかもしれない。
少なくとも、カプロの前向きさならきっと。
勇とアルライの絆を繋いでくれた彼ならば、誰とでも仲良くなれる事だろう。
そう願って送り出す。
誰よりも期待したい、そんな友達だから。
だから今の勇からはもう、笑顔が剥がれそうにない。
0
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜
加瀬 一葉
ファンタジー
王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。
実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?
過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる