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第十一節「心拠りし所 平の願い その光の道標」
~凄い会場ですね、驚いちゃいました~
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「うぉーっす! 来たぜー勇!」
会場で人待ちをしていた勇と福留。
そんな二人の前のようやく最初の来客が訪れる。
そう、心輝達だ。
心輝、瀬玲、あずーに、更にはその家族達も連れて。
一応は企画関係者ともあって早い会場入りである。
「確かに、皆でパーティやろうって言ったけどさ。でもこの規模ヤバくない?」
「勇君、私の為にここまでしてくれてありがとー! 愛してるー!!」
若干方向性がズレている者も居るが、それは頭を抑えればなんて事無い。
瀬玲も戦々恐々としてるが、楽しみ半分恐れ半分といった感じで。
自信満々の勇に「やるじゃん」と肘打ちを軽く当てつける。
これには勇も堪らずニッコリだ。
それもそのはず。
会場は福留の肝煎り、一〇〇人収容しようが余裕ありそうな広さで。
各所に用意されたテーブルと椅子も金の装飾が輝かしい。
なのでこの場に来た時からもう、お偉い様達の会食気分が味わえる。
しかも窓からは東京の夜景もが眺められ、お洒落な雰囲気も最高だ。
用意された食器や調理器具は銀色に輝いて高級そう。
おかげで、料理無しでも目移りしてしまう。
おまけにステージまで用意されていて、催し物がある事さえ想像出来よう。
まさに至れり尽くせり。
ここまでやるとは誰も思うまい。
そんな場を用意出来た事にはやはり自慢したくもなるだろう。
もっとも、用意したのは全部福留だけれども。
「ど、どうもお邪魔しますぅ……」
「私達まで呼んで頂いて、ありがとうございます」
その傍らでは園部夫妻と相沢夫妻も。
やはりどちらも呼ばれた理由がわからない様で、少し困惑気味だ。
なにせ彼等はまだ、息子・娘が魔者関連の関係者である事を知らない。
心輝達があくまで協力者だからこそ、親にまで事実を報せるには至っていないから。
なので応対する福留もまた第二の役割を演じる事となる。
「えぇ、お子様方にはいつもお世話になっておりますから。その些細なお礼として、今回は是非とも親御様にも楽しんで頂きたいと思いまして。あ、わたくし、こういう者です」
そうして差し出したのはいつもの表向き用の名刺。
愛希にも渡した【内閣府興業促進委員会】名義の代物である。
しかしやはり『内閣府』という名義は一般人にとってはとても輝かしい。
受け取った両親達もその名称を前に、目を剥かずにはいられなかった様だ。
「な、内閣府、興業促進委員会、委員長さん!?」
「あらぁ~……瀬玲ちゃん、そんな方とお付き合いしていたの?」
「うん。ほら、あの前に来た時のボランティアからね」
瀬玲の母親だけは福留と面識があるのだけれど。
当時は恐らく、なんて事の無いお爺さんとしか思わなかったのだろう。
それがまさか内閣府の人間だとは思うはずもなく。
「しかしその肩書も今はお気になさらず。今日はどうか心行くまで楽しんで頂きたい」
「は、はい。お誘いに感謝します」
「これなら正装くらいは用意した方がよかったかしら……」
「いえいえ、普段通りで平気ですよ」
もちろん打ち明けるとまでは無理かもしれない。
けれど今日のゲストは多彩だから、色んな人と関係を持って欲しい。
そして願わくば満足してから帰って欲しい。
勇も福留も、そう願わずにはいられない。
「勇様ーっ!」
するとそんな時、またしても会場の入り口から甲高い声が。
エウリィだ。
どうやら彼女も来れたらしい。
だからか、とても嬉しそうに大手を振っていて。
「おー勇、決まってるじゃないか」
「さすが勇君、ばっちりねぇ~」
「凄い会場ですね、驚いちゃいました」
続いてその背後からは藤咲夫妻とちゃなも。
というのも、エウリィを連れて来たのは彼等。
いつもの女性職員が都合で来れなかったので、代わりに勇の父親が動いたのだ。
昼から東京と栃木を往復というハードな荒行を乗り越えての登場である。
「エウリィさん来れたんだね。でも一人って事は、王様達はやっぱり無理だったか」
「えぇ、やはり城を空ける訳にはいかないと。剣聖様も面倒だからと来ないそうです」
「剣聖さんこういうの好きそうだと思ったんだけどなぁ。まぁ来て暴れられても困るし、いっか」
とはいえその成果はあまり芳しくないが。
出来るならフェノーダラ王だけでも来て欲しいと、勇は思っていただけに。
なんだかんだではぐれカラクラ戦でも世話になったからお礼もしたくて。
しかし来れなかったものは仕方がない。
だからと、再会の挨拶後はエウリィを心輝達へと預けて気持ちを切り替える。
「親父、送迎ありがとな」
「あぁ。でもお母さんがエウリィさんを一目見たいって言ってたから皆で行ったし、意外と楽しかったよ」
「そうねぇ。思っていた以上に綺麗な子でお母さん驚いちゃった。あんな子が勇君の許嫁なんて鼻が高いわぁ」
「だからまだそこまで行ってないって」
でも始まったのがまた余計な話だったので、半ば面倒そうに福留へとバトンパス。
その手際良さ、マラソン選手もシュプレヒコールするほど華麗に鮮やかに。
勇の反抗期が抜けきるのはまだまだ先の話かもしれない。
もっとも、母親の話題がただ照れ臭かっただけと言えるけれども。
「田中さん、今日はエウリィさんの面倒見て貰っていいかな? もちろん楽しんで欲しいのもあるけど、俺主催だからそこまで自由には動けないしさ」
「わかりましたっ! エウリィさんと一緒に一杯楽しみますね!」
「ありがと。きっと忘れられないくらいに楽しいパーティになると思うから期待してて」
「はいっ! 凄く楽しみです!」
対するちゃなはといえばお願いも兼ねて丁寧に。
なにせ今回の主賓とも言える人物の一人だから。
だからこそ、同じ主賓の一人であるエウリィと一緒に楽しんで欲しかった。
二人がいつもSNSで話している事は知っている。
きっとそれだけ仲が良いのだろう。
なら人生で歩んできた不幸を共に忘れさせたい。
そんな想いが詰まった今回のパーティを、どうしても一番満喫して貰いたくて。
故に心輝達の下へと送り出してからふと思う。
楽しく笑い合う彼等を遠目にして。
〝今日は絶対に成功させてみせるから〟と。
「オッスエウリィちゃん、久しぶりだねぇ」
「心輝様、おっすでございます」
「お姫様に変な言葉を教えんなよっ!!」
ただし、その前途は実に多難である。
ちゃなだけに任せて平気なのかとさえ思えるくらいには。
会場で人待ちをしていた勇と福留。
そんな二人の前のようやく最初の来客が訪れる。
そう、心輝達だ。
心輝、瀬玲、あずーに、更にはその家族達も連れて。
一応は企画関係者ともあって早い会場入りである。
「確かに、皆でパーティやろうって言ったけどさ。でもこの規模ヤバくない?」
「勇君、私の為にここまでしてくれてありがとー! 愛してるー!!」
若干方向性がズレている者も居るが、それは頭を抑えればなんて事無い。
瀬玲も戦々恐々としてるが、楽しみ半分恐れ半分といった感じで。
自信満々の勇に「やるじゃん」と肘打ちを軽く当てつける。
これには勇も堪らずニッコリだ。
それもそのはず。
会場は福留の肝煎り、一〇〇人収容しようが余裕ありそうな広さで。
各所に用意されたテーブルと椅子も金の装飾が輝かしい。
なのでこの場に来た時からもう、お偉い様達の会食気分が味わえる。
しかも窓からは東京の夜景もが眺められ、お洒落な雰囲気も最高だ。
用意された食器や調理器具は銀色に輝いて高級そう。
おかげで、料理無しでも目移りしてしまう。
おまけにステージまで用意されていて、催し物がある事さえ想像出来よう。
まさに至れり尽くせり。
ここまでやるとは誰も思うまい。
そんな場を用意出来た事にはやはり自慢したくもなるだろう。
もっとも、用意したのは全部福留だけれども。
「ど、どうもお邪魔しますぅ……」
「私達まで呼んで頂いて、ありがとうございます」
その傍らでは園部夫妻と相沢夫妻も。
やはりどちらも呼ばれた理由がわからない様で、少し困惑気味だ。
なにせ彼等はまだ、息子・娘が魔者関連の関係者である事を知らない。
心輝達があくまで協力者だからこそ、親にまで事実を報せるには至っていないから。
なので応対する福留もまた第二の役割を演じる事となる。
「えぇ、お子様方にはいつもお世話になっておりますから。その些細なお礼として、今回は是非とも親御様にも楽しんで頂きたいと思いまして。あ、わたくし、こういう者です」
そうして差し出したのはいつもの表向き用の名刺。
愛希にも渡した【内閣府興業促進委員会】名義の代物である。
しかしやはり『内閣府』という名義は一般人にとってはとても輝かしい。
受け取った両親達もその名称を前に、目を剥かずにはいられなかった様だ。
「な、内閣府、興業促進委員会、委員長さん!?」
「あらぁ~……瀬玲ちゃん、そんな方とお付き合いしていたの?」
「うん。ほら、あの前に来た時のボランティアからね」
瀬玲の母親だけは福留と面識があるのだけれど。
当時は恐らく、なんて事の無いお爺さんとしか思わなかったのだろう。
それがまさか内閣府の人間だとは思うはずもなく。
「しかしその肩書も今はお気になさらず。今日はどうか心行くまで楽しんで頂きたい」
「は、はい。お誘いに感謝します」
「これなら正装くらいは用意した方がよかったかしら……」
「いえいえ、普段通りで平気ですよ」
もちろん打ち明けるとまでは無理かもしれない。
けれど今日のゲストは多彩だから、色んな人と関係を持って欲しい。
そして願わくば満足してから帰って欲しい。
勇も福留も、そう願わずにはいられない。
「勇様ーっ!」
するとそんな時、またしても会場の入り口から甲高い声が。
エウリィだ。
どうやら彼女も来れたらしい。
だからか、とても嬉しそうに大手を振っていて。
「おー勇、決まってるじゃないか」
「さすが勇君、ばっちりねぇ~」
「凄い会場ですね、驚いちゃいました」
続いてその背後からは藤咲夫妻とちゃなも。
というのも、エウリィを連れて来たのは彼等。
いつもの女性職員が都合で来れなかったので、代わりに勇の父親が動いたのだ。
昼から東京と栃木を往復というハードな荒行を乗り越えての登場である。
「エウリィさん来れたんだね。でも一人って事は、王様達はやっぱり無理だったか」
「えぇ、やはり城を空ける訳にはいかないと。剣聖様も面倒だからと来ないそうです」
「剣聖さんこういうの好きそうだと思ったんだけどなぁ。まぁ来て暴れられても困るし、いっか」
とはいえその成果はあまり芳しくないが。
出来るならフェノーダラ王だけでも来て欲しいと、勇は思っていただけに。
なんだかんだではぐれカラクラ戦でも世話になったからお礼もしたくて。
しかし来れなかったものは仕方がない。
だからと、再会の挨拶後はエウリィを心輝達へと預けて気持ちを切り替える。
「親父、送迎ありがとな」
「あぁ。でもお母さんがエウリィさんを一目見たいって言ってたから皆で行ったし、意外と楽しかったよ」
「そうねぇ。思っていた以上に綺麗な子でお母さん驚いちゃった。あんな子が勇君の許嫁なんて鼻が高いわぁ」
「だからまだそこまで行ってないって」
でも始まったのがまた余計な話だったので、半ば面倒そうに福留へとバトンパス。
その手際良さ、マラソン選手もシュプレヒコールするほど華麗に鮮やかに。
勇の反抗期が抜けきるのはまだまだ先の話かもしれない。
もっとも、母親の話題がただ照れ臭かっただけと言えるけれども。
「田中さん、今日はエウリィさんの面倒見て貰っていいかな? もちろん楽しんで欲しいのもあるけど、俺主催だからそこまで自由には動けないしさ」
「わかりましたっ! エウリィさんと一緒に一杯楽しみますね!」
「ありがと。きっと忘れられないくらいに楽しいパーティになると思うから期待してて」
「はいっ! 凄く楽しみです!」
対するちゃなはといえばお願いも兼ねて丁寧に。
なにせ今回の主賓とも言える人物の一人だから。
だからこそ、同じ主賓の一人であるエウリィと一緒に楽しんで欲しかった。
二人がいつもSNSで話している事は知っている。
きっとそれだけ仲が良いのだろう。
なら人生で歩んできた不幸を共に忘れさせたい。
そんな想いが詰まった今回のパーティを、どうしても一番満喫して貰いたくて。
故に心輝達の下へと送り出してからふと思う。
楽しく笑い合う彼等を遠目にして。
〝今日は絶対に成功させてみせるから〟と。
「オッスエウリィちゃん、久しぶりだねぇ」
「心輝様、おっすでございます」
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ただし、その前途は実に多難である。
ちゃなだけに任せて平気なのかとさえ思えるくらいには。
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