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第十一節「心拠りし所 平の願い その光の道標」
~何一人で感激してるんスか~
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満を持して、次々に招待者達が訪れる。
ちゃな達の次に訪れたのは、思っていたより時間に律儀な彼女達だった。
「うおっ!? ナニコレェ……!?」
「ヤバイってこれマジで!?」
「パネェ~藤咲先輩マジパネェ~」
愛希達である。
やはり彼女達もこんな場には縁が無かった様で。
想像を絶する規模の大きさに戸惑いを隠せない。
「おっかしいなー……アタシ、ちゃなには『皆で遊ぼう』ってくらいにしか言ってなかったんだけど」
「俺も最初はそれくらいのつもりだったんだけど、気付いたらこうなってた。まぁそれでもちゃんと現実だから。遠慮せずしっかり楽しんでってよ」
「はぁい、誘ってくれて~ありがと~」
「これなら親連れて来ても良かったね、愛希」
ただし、彼女達は三人だけ。
両親も一応招待はしていたのだけれど。
どうやら面倒で連れてこなかったらしい。
とはいえ、愛希達に限ってはそこまで関係が深くないので間違いではない。
その両親ともなるとさすがに接点が無さ過ぎて場違いにもなりそうだから。
そんな彼女達をちゃなへと仕向けて送り出す。
その間にも世話になっている医者達が訪れ、福留が応対していて。
勇もその最中に感謝を込めて礼を送る。
もちろん来るのはこんな知り合いばかりではない。
福留と絡んでいる政府関係者も何人か。
勇が一度二度会った事がある、程度の人物だ。
もちろん皆、この場に呼ばれるだけあって良い人ばかりである。
さすがに鷹峰総理や村野防衛大臣が来る事は無い様だが。
だからこそ落ち着いている暇なんて無い。
先程から次々と招待客が来ているので、頭をずっと下げっぱなしである。
きっと福留にそうするよう仕込まれたのだろう。
主催者としての物腰は、学生とは思えないくらいにとても丁寧で。
これにはチラリと覗く福留も思わずニッコリだ。
「会場はここだな。おーい、勇君!」
すると今度は勇の知り合いが訪れる。
精悍な顔立ちとクリアな声は忘れようもない、あの恩人が。
御味だ。
アルライの里の一件でも尽力を尽くしてくれて、それから何度も絡む事があった。
勇が個人的に訪れた時も足になってくれたりで。
今でもアルライの里担当として常々動き回ってくれている。
だからこそ何が何でも呼びたかったのだ。
そして、御味が来たという事はつまり。
「おおー勇さんお久しぶりッス!!」
「「「わぁー!!」」」
そう、アルライの里からの来訪者達も同伴である。
カプロと若者代表のモロビを筆頭に、あの三人のモフっ子達も揃って参上だ。
さすがに遠出するともあって、モロビは保護者役として参じたらしい。
カプロだけでは不安があったのだろう。
「来たなぁカプロォ!」
「まさかこんな形で人里に来るとは思ってもみなかったッスよー!」
割と久しぶりな再会で、手を取り合って想いを交わす。
モロビに至っては本当に久しぶりだからかハグまでしてくる程で。
だいぶ人に慣れたお陰か、そう悟った勇もならばと抱き返さずにはいられない。
その間にも子供達が大興奮で走り回り、たちまち会場が大騒ぎに。
「ちょ、え、えええ!?」
「な、なにあれー!? かーわいー!」
「あれってテレビで見た、アルライっていう別世界の人達じゃ!?」
それもそのはず。
ここに居る招待客の殆どは彼等と初対面なのだから。
それどころか実物が本当に存在するとさえ思っていなかったかもしれない。
確かに、アルライ族の存在はもう世間に公表されている。
別世界からの来訪者、新たな人類の友として。
だから世間ではその容姿から評判になったりと賑わっていて。
既に関連商品や写真集なども店頭に並んだりしているという。
ただし実物を拝む事がまだ叶わないのを前提に。
なので皆とても興味津々だ。
あの噂のモフモフ達がこうして目の前に現れたのだから。
「彼等はテレビでも賑わせました友好的な方々の子供達です。 とてもいい子達なので仲良くしてあげてくださいね」
そこで福留がこうも説明すれば、誰もが笑みを零しもしよう。
当然、皆がみな敵意を一切向ける事も無く。
お陰で保護者のモロビも一安心だ。
なにせ囲う人々は子供達を普通に触れる事が出来ているのだから。
そう、福留の作戦が功を奏したのである。
もし敵意があれば、まず魔者に触れる事が出来ないだろう。
しかし世間へのファーストコンタクトが好印象ならば、敵意を持つ事は無い。
であれば敵を見た事のある心輝達と違い、初見の人々が拒まれる理由が無くなる。
では実際にはどうなのか。
なら試してみればいい、と。
そう、彼等をここに連れて来たのは一種の実験だったのだ。
魔者が人々と触れ合う事が出来るかどうか、その実証の為の。
そして見事に成功した。
故に今、福留は心から喜んでいた。
招待客達と戯れる子供達を前にして。
自分達と、勇の頑張りが実になった事に嬉しさを隠せなくて。
それは勇も同じだ。
理由を知るはずの母親でさえ、今はアルライの子供を抱え上げられている。
それだけ意識が敵意から離れている証拠である。
そう証明出来ただけで嬉しくならない訳が無い。
まるで今までの戦いが報われた様な気がして。
「勇さん勇さん、ボク差し置いて何一人で感激してるんスか」
「あ、悪い。ちょっと嬉しくなっちゃって」
だからとその締めに、勇もまたカプロの頭をワシャワシャと。
本人はあまり気持ち良くなさそうだけれど、悪い気はしない様だ。
「折角だから皆に挨拶してきなよ。皆お前の事知りたがってるはずだからさ」
「ほう……ならボクが超スゴイ奴ってトコを証明してやるッスよ、うぴぴ」
そんなカプロがモロビに抱えられて子供達の下へ。
なんだかんだで打ち解けられそうだから、不安を抱く必要は無いのかもしれない。
少なくとも、カプロの前向きさならきっと。
勇とアルライの絆を繋いでくれた彼ならば、誰とでも仲良くなれる事だろう。
そう願って送り出す。
誰よりも期待したい、そんな友達だから。
だから今の勇からはもう、笑顔が剥がれそうにない。
ちゃな達の次に訪れたのは、思っていたより時間に律儀な彼女達だった。
「うおっ!? ナニコレェ……!?」
「ヤバイってこれマジで!?」
「パネェ~藤咲先輩マジパネェ~」
愛希達である。
やはり彼女達もこんな場には縁が無かった様で。
想像を絶する規模の大きさに戸惑いを隠せない。
「おっかしいなー……アタシ、ちゃなには『皆で遊ぼう』ってくらいにしか言ってなかったんだけど」
「俺も最初はそれくらいのつもりだったんだけど、気付いたらこうなってた。まぁそれでもちゃんと現実だから。遠慮せずしっかり楽しんでってよ」
「はぁい、誘ってくれて~ありがと~」
「これなら親連れて来ても良かったね、愛希」
ただし、彼女達は三人だけ。
両親も一応招待はしていたのだけれど。
どうやら面倒で連れてこなかったらしい。
とはいえ、愛希達に限ってはそこまで関係が深くないので間違いではない。
その両親ともなるとさすがに接点が無さ過ぎて場違いにもなりそうだから。
そんな彼女達をちゃなへと仕向けて送り出す。
その間にも世話になっている医者達が訪れ、福留が応対していて。
勇もその最中に感謝を込めて礼を送る。
もちろん来るのはこんな知り合いばかりではない。
福留と絡んでいる政府関係者も何人か。
勇が一度二度会った事がある、程度の人物だ。
もちろん皆、この場に呼ばれるだけあって良い人ばかりである。
さすがに鷹峰総理や村野防衛大臣が来る事は無い様だが。
だからこそ落ち着いている暇なんて無い。
先程から次々と招待客が来ているので、頭をずっと下げっぱなしである。
きっと福留にそうするよう仕込まれたのだろう。
主催者としての物腰は、学生とは思えないくらいにとても丁寧で。
これにはチラリと覗く福留も思わずニッコリだ。
「会場はここだな。おーい、勇君!」
すると今度は勇の知り合いが訪れる。
精悍な顔立ちとクリアな声は忘れようもない、あの恩人が。
御味だ。
アルライの里の一件でも尽力を尽くしてくれて、それから何度も絡む事があった。
勇が個人的に訪れた時も足になってくれたりで。
今でもアルライの里担当として常々動き回ってくれている。
だからこそ何が何でも呼びたかったのだ。
そして、御味が来たという事はつまり。
「おおー勇さんお久しぶりッス!!」
「「「わぁー!!」」」
そう、アルライの里からの来訪者達も同伴である。
カプロと若者代表のモロビを筆頭に、あの三人のモフっ子達も揃って参上だ。
さすがに遠出するともあって、モロビは保護者役として参じたらしい。
カプロだけでは不安があったのだろう。
「来たなぁカプロォ!」
「まさかこんな形で人里に来るとは思ってもみなかったッスよー!」
割と久しぶりな再会で、手を取り合って想いを交わす。
モロビに至っては本当に久しぶりだからかハグまでしてくる程で。
だいぶ人に慣れたお陰か、そう悟った勇もならばと抱き返さずにはいられない。
その間にも子供達が大興奮で走り回り、たちまち会場が大騒ぎに。
「ちょ、え、えええ!?」
「な、なにあれー!? かーわいー!」
「あれってテレビで見た、アルライっていう別世界の人達じゃ!?」
それもそのはず。
ここに居る招待客の殆どは彼等と初対面なのだから。
それどころか実物が本当に存在するとさえ思っていなかったかもしれない。
確かに、アルライ族の存在はもう世間に公表されている。
別世界からの来訪者、新たな人類の友として。
だから世間ではその容姿から評判になったりと賑わっていて。
既に関連商品や写真集なども店頭に並んだりしているという。
ただし実物を拝む事がまだ叶わないのを前提に。
なので皆とても興味津々だ。
あの噂のモフモフ達がこうして目の前に現れたのだから。
「彼等はテレビでも賑わせました友好的な方々の子供達です。 とてもいい子達なので仲良くしてあげてくださいね」
そこで福留がこうも説明すれば、誰もが笑みを零しもしよう。
当然、皆がみな敵意を一切向ける事も無く。
お陰で保護者のモロビも一安心だ。
なにせ囲う人々は子供達を普通に触れる事が出来ているのだから。
そう、福留の作戦が功を奏したのである。
もし敵意があれば、まず魔者に触れる事が出来ないだろう。
しかし世間へのファーストコンタクトが好印象ならば、敵意を持つ事は無い。
であれば敵を見た事のある心輝達と違い、初見の人々が拒まれる理由が無くなる。
では実際にはどうなのか。
なら試してみればいい、と。
そう、彼等をここに連れて来たのは一種の実験だったのだ。
魔者が人々と触れ合う事が出来るかどうか、その実証の為の。
そして見事に成功した。
故に今、福留は心から喜んでいた。
招待客達と戯れる子供達を前にして。
自分達と、勇の頑張りが実になった事に嬉しさを隠せなくて。
それは勇も同じだ。
理由を知るはずの母親でさえ、今はアルライの子供を抱え上げられている。
それだけ意識が敵意から離れている証拠である。
そう証明出来ただけで嬉しくならない訳が無い。
まるで今までの戦いが報われた様な気がして。
「勇さん勇さん、ボク差し置いて何一人で感激してるんスか」
「あ、悪い。ちょっと嬉しくなっちゃって」
だからとその締めに、勇もまたカプロの頭をワシャワシャと。
本人はあまり気持ち良くなさそうだけれど、悪い気はしない様だ。
「折角だから皆に挨拶してきなよ。皆お前の事知りたがってるはずだからさ」
「ほう……ならボクが超スゴイ奴ってトコを証明してやるッスよ、うぴぴ」
そんなカプロがモロビに抱えられて子供達の下へ。
なんだかんだで打ち解けられそうだから、不安を抱く必要は無いのかもしれない。
少なくとも、カプロの前向きさならきっと。
勇とアルライの絆を繋いでくれた彼ならば、誰とでも仲良くなれる事だろう。
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