赤字国家に召喚されたので、まずは売却から始めます──でも断られたので価値を爆上げして帝国に頭を下げさせることにしました【TOP3入り感謝】

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第六章:共栄連合構想──繁栄は交差する

第二十六節:共栄連合は加速していく

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 午後の陽が差し込む、政庁西館の会議室。
 加賀谷、リィナ、そしてヴァルド、ミロの四人が、円卓を囲んでいた。
 窓の外には、拡張工事の進む開発区と、帆船がひしめく港湾が広がっている。

 この短期間で、公国は劇的な変化を遂げた。
 ヴェステラの成長、共栄連合構想の発表、国家ファンドの立ち上げ、若者たちの育成。
 そして、ついに公開株式制度が、この地に生まれた。

「……あなた、最初は“売ろう”としてたじゃない」

 少しからかうようにいたずらっぽくリィナが呟いた。

 加賀谷は視線を窓の外に向け、わずかに息を吐く。

「……まさか。今となっては、想像すらできないよ」

 その言葉に、リィナは目を細めて微笑む。

「そう。……ちょっと安心した」

 加賀谷はゆっくりと背にもたれかかり、天井を見上げながら続けた。

「俺はさ、別に王様じゃない。
 偉そうに国家を語れるほどの人間じゃないし、正直、至らないところだらけだ。
 あくまで本質は“商人”なんだよ。価値を見て、拾って、育てて、繋ぐ。……その繰り返しだ」

 ヴァルドが静かに頷く。

「ですが、その価値の中に“人”があると気づいておられる。だからこそ、我々は動けたのです」

「それも……俺ひとりじゃ無理だった。
 ヴァルド、あんたが見出して送り込んでくれた学生たち――あれがなきゃ、育成なんてできなかった。
 ミロも、レーネを現場で支えてくれて、本当にありがとう。
 リィナ、お前がミュリルを連れてレーナ連邦に交渉行ってくれたから、取引所とのコネクションが生きた。あれはでかい」

 加賀谷は一拍おいて、ふと視線を伏せる。

「それと……ここにいないけど、ガロウにも。
 あいつがいなきゃ、この国はとうに潰されてた。
 制度も技術も人材も、武力がなきゃ守れない。マジで感謝してる」

 誰も言葉を挟まなかった。
 その空気は静かで、けれど確かにあたたかかった。

 加賀谷は再び顔を上げ、二人を見渡す。

「そうして積み重ねてきたこの国を、“売る”なんてさ。
 ──もう、考えられるわけないだろ」

 リィナは短く頷いた。

「……うん。それでいいのよ」

 ヴァルドが静かに立ち上がり、深く一礼する。

「この都市が……いえ、この国が、新たな時代を切り拓く先駆けになると、私は信じております。
 どうか、これからも共に歩ませてください」

「もちろん。あなたにもまだ、やってもらうことが山ほどありますからね」

 リィナの言葉に、加賀谷は肩を竦める。

「ま、逃げてもどうせ仕事回されるしな。だったら前向いてやるしかない」

 窓の外には、港に向かう魔導輸送船がひとつ、光の軌跡を描いて進んでいた。

 かつて“売却”から始まったこの国は、今や“創出”という名の未来を育てる地となった。

 これはまだ、始まりにすぎない。
 だが今は確かに、希望がここにある――自分の手で育てた“価値”として。


 ――第六章 完
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