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エドワード17歳、二重猫かぶり王子期④
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いやさ。その「同性愛者」=「近くにいる友人が好きなんじゃ」みたいな決めつけ、やめた方がいいと思うぞ。
貴族の立場を捨てることを考えるくらい、小さい頃から真剣に自分の嗜好に向き合ってるブラッドリーに失礼だ。そもそもゲイ人気が高い男は、ガチムチマッチョだって聞くし。キラキラ王子顔の俺はお呼びでねぇだろ。
……と、言いたいところだが、下手に必要以上のことを言えば、そこから足もとをすくってくるのがクリスだ。単なる世間話の延長だろうが、いらんことは言わない方がいい。沈黙は金だ。
「これくらいのことで反獣人派になるようなら、そもそも役に立ちませんよ。私達がこれから進むのは、茨の道ですから」
取り敢えず、全てを理解しているような雰囲気でサラリとこれだけ言っておく。
案の定俺で遊びたかっただけらしいクリスは、不満そうに唇を尖らした。
「……動揺一つ見せないなんて、エディはつまんないなぁ。ジェフもそう思うでしょう?」
そこでさっと差し出される「うんうん」ホワイトボード……なるほど、そう使うのか。いや、めちゃくちゃ使い回しそうなあたり、これはこれで不敬だと思うんだけど、それはいいのか? クリスが気にしてないなら、まあいいか。
「立ち話もなんですから、部屋に行きましょう。私の部屋でいいですか?」
「そうだね。久しぶりに、辺境伯領の『アレ』ごちそうしてよ」
「殿下がご所望なら、喜んで」
聞き耳を立てている周囲の生徒達の視線を感じながら、クリスとジェフを伴って自室を目指す。
部屋の扉を閉めた瞬間、俺は貼り付けていた笑みを引き剥がして、意図的に眉間に皺を寄せた。
ーー猫かぶり、第二モードちぇ~んじ! じゅわっ!
「ほらほら、早くアレちょうだいよ。アレ!」
「……ったく。安くねぇんだぞ」
「辺境伯の嫡男が、ケチ臭いこと言わないでよ」
「第一王子様からだけは言われたくねぇ台詞だな。ジェフは……まあ、吸わねぇよな。待っとけ」
王族に対する言葉とは思えないぞんざいな口調で吐き捨てると、引き出しからストックのそれを取り出して一本だけ引き抜き、残りをクリスの方に投げて渡した。
「火ぃ貸すか?」
「いいよ。エディのをもらうから」
咥えて魔道具で火を付けた先に、クリスが自分の分を重ねた。
いわゆるシガーキスって奴だ。
クリスは火のついたタバコを心地良さそうに吸い込むと、うっとりと目を細めた。
「……うーん! やっぱタバコは辺境伯領のが一番だねえ。他のとこの奴は臭いうえ、体に悪いらしいし」
「まあ、うちの領のはタバコっつーか、吸うアロマって感じだからな。もはや」
「あろま?」
「(あ、やべ。前世ワードだった。さらっと誤魔化そ)使ってる葉の種類そのものが普通の奴とは違うんだよ。タバコって言われてるけど、俺は勝手にアロマって呼んでる。リラックス効果は普通のタバコ以上で、体への害は少なく、依存性はコーヒー程度。吸った後に残る臭いは、香水と間違われるような奴、他のタバコと一緒の呼称っておかしいだろ」
「まあ、確かにねー。これ、辺境伯領外に出荷しないの? 絶対売れるのに」
「(ほっ、誤魔化せた……)生産量が少ねえんだよ。土壌をネルドゥース豆で改良しても無駄だった。領民でも成人の儀以外で吸ったことねぇ奴も多いくらいだ。……まあ、俺は辺境伯家嫡男の義務だとかで、16で成人してから毎日吸わされてるけどな」
……強制的に辺境伯領に忠誠捧げさせるような洗脳効果あるんじゃねぇのって最初は疑ったんだが、鑑定してみたらちょい依存性あるだけの吸うアロマなんだもんなー。正直拍子抜けしたわ。
まあ、さして体に悪いわけでもなし。クソ親父もやたらちゃんと吸ってるか確認してくるし、コーヒー代わりに一日一本吸っているのだが。何か落とし穴がありそうで密かに怖かったりはする。だ、大丈夫だよな? 鑑定さん。信じてるぞ。
……そんなわけで、いやいやながらも吸い続けたわけだが、結果的にはクリスに対するパフォーマンスとして有効だったようだ。
慣れた手つきでタバコ(アロマ)をくゆらせながら、クリスがくつくつ喉を鳴らして笑った。
「それにしても、エディ、本当にオンとオフの差激し過ぎるよね~。普段は王子様全開なのに、素のエディはすごく柄が悪いんだもん。ブラッドリーがこの姿見たら泣いちゃうんじゃないかな?」
いや、これもお前達(+剣ジジイ)への猫かぶりモード二段階目であって、素の俺と言うわけではありません。
……俺の素はいつだって、お犬様だけのものだぜ! たとえこの四年間一切会ってなくてもな!
貴族の立場を捨てることを考えるくらい、小さい頃から真剣に自分の嗜好に向き合ってるブラッドリーに失礼だ。そもそもゲイ人気が高い男は、ガチムチマッチョだって聞くし。キラキラ王子顔の俺はお呼びでねぇだろ。
……と、言いたいところだが、下手に必要以上のことを言えば、そこから足もとをすくってくるのがクリスだ。単なる世間話の延長だろうが、いらんことは言わない方がいい。沈黙は金だ。
「これくらいのことで反獣人派になるようなら、そもそも役に立ちませんよ。私達がこれから進むのは、茨の道ですから」
取り敢えず、全てを理解しているような雰囲気でサラリとこれだけ言っておく。
案の定俺で遊びたかっただけらしいクリスは、不満そうに唇を尖らした。
「……動揺一つ見せないなんて、エディはつまんないなぁ。ジェフもそう思うでしょう?」
そこでさっと差し出される「うんうん」ホワイトボード……なるほど、そう使うのか。いや、めちゃくちゃ使い回しそうなあたり、これはこれで不敬だと思うんだけど、それはいいのか? クリスが気にしてないなら、まあいいか。
「立ち話もなんですから、部屋に行きましょう。私の部屋でいいですか?」
「そうだね。久しぶりに、辺境伯領の『アレ』ごちそうしてよ」
「殿下がご所望なら、喜んで」
聞き耳を立てている周囲の生徒達の視線を感じながら、クリスとジェフを伴って自室を目指す。
部屋の扉を閉めた瞬間、俺は貼り付けていた笑みを引き剥がして、意図的に眉間に皺を寄せた。
ーー猫かぶり、第二モードちぇ~んじ! じゅわっ!
「ほらほら、早くアレちょうだいよ。アレ!」
「……ったく。安くねぇんだぞ」
「辺境伯の嫡男が、ケチ臭いこと言わないでよ」
「第一王子様からだけは言われたくねぇ台詞だな。ジェフは……まあ、吸わねぇよな。待っとけ」
王族に対する言葉とは思えないぞんざいな口調で吐き捨てると、引き出しからストックのそれを取り出して一本だけ引き抜き、残りをクリスの方に投げて渡した。
「火ぃ貸すか?」
「いいよ。エディのをもらうから」
咥えて魔道具で火を付けた先に、クリスが自分の分を重ねた。
いわゆるシガーキスって奴だ。
クリスは火のついたタバコを心地良さそうに吸い込むと、うっとりと目を細めた。
「……うーん! やっぱタバコは辺境伯領のが一番だねえ。他のとこの奴は臭いうえ、体に悪いらしいし」
「まあ、うちの領のはタバコっつーか、吸うアロマって感じだからな。もはや」
「あろま?」
「(あ、やべ。前世ワードだった。さらっと誤魔化そ)使ってる葉の種類そのものが普通の奴とは違うんだよ。タバコって言われてるけど、俺は勝手にアロマって呼んでる。リラックス効果は普通のタバコ以上で、体への害は少なく、依存性はコーヒー程度。吸った後に残る臭いは、香水と間違われるような奴、他のタバコと一緒の呼称っておかしいだろ」
「まあ、確かにねー。これ、辺境伯領外に出荷しないの? 絶対売れるのに」
「(ほっ、誤魔化せた……)生産量が少ねえんだよ。土壌をネルドゥース豆で改良しても無駄だった。領民でも成人の儀以外で吸ったことねぇ奴も多いくらいだ。……まあ、俺は辺境伯家嫡男の義務だとかで、16で成人してから毎日吸わされてるけどな」
……強制的に辺境伯領に忠誠捧げさせるような洗脳効果あるんじゃねぇのって最初は疑ったんだが、鑑定してみたらちょい依存性あるだけの吸うアロマなんだもんなー。正直拍子抜けしたわ。
まあ、さして体に悪いわけでもなし。クソ親父もやたらちゃんと吸ってるか確認してくるし、コーヒー代わりに一日一本吸っているのだが。何か落とし穴がありそうで密かに怖かったりはする。だ、大丈夫だよな? 鑑定さん。信じてるぞ。
……そんなわけで、いやいやながらも吸い続けたわけだが、結果的にはクリスに対するパフォーマンスとして有効だったようだ。
慣れた手つきでタバコ(アロマ)をくゆらせながら、クリスがくつくつ喉を鳴らして笑った。
「それにしても、エディ、本当にオンとオフの差激し過ぎるよね~。普段は王子様全開なのに、素のエディはすごく柄が悪いんだもん。ブラッドリーがこの姿見たら泣いちゃうんじゃないかな?」
いや、これもお前達(+剣ジジイ)への猫かぶりモード二段階目であって、素の俺と言うわけではありません。
……俺の素はいつだって、お犬様だけのものだぜ! たとえこの四年間一切会ってなくてもな!
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