俺の悪役チートは獣人殿下には通じない

空飛ぶひよこ

文字の大きさ
164 / 311

辺境伯領改革計画②

しおりを挟む
「まあ……獣人の子どもって、こんなにも可愛いのね」

「ぬいぐるみみたい! 抱っこしたい!」

「エドワード様も王子様のようで麗しいから、可愛いらしい獣人の子ども達に囲まれてる姿は、目の保養だわー……」

 獣人の種族による美醜の差をあげつらうつもりはないが、それでもやはり可愛いは正義。人化はできないし力もないけど、アニカの孤児院の子はみんな人間からすれば可愛いらしく見える種族の子ばかりだったので、狙い通り領民の反応は上々です。
 ちなみに来てくれた孤児院のみんなには、俺が結界を付与した魔道具を装備させ済み。魔法攻撃も物理攻撃も全部跳ね返すうえに、悪意を持った人間は一定の距離からは近づけない効果を付与したから、子ども達が肉体的に傷つけられることはない。
 不用意に近づいて来て吹き飛ばされた何人かの馬鹿は、「辺境伯嫡男である私の客人に、何をするつもりでしたか?」と笑顔で物陰に連れていき、教育的指導をさせてもらった。俺の強さは知ってる癖に、本当良い度胸してる。身元もしっかり吐き出させたから、裏で糸を引いていると思われる奴らには、後日念入りに忠告するつもりだ。
 さらにさらに、子ども達を守る為に、俺の要請を受けたアストルディアが特別な護衛もつけてくれている。

「それでは、エドワード様。そろそろ宿に」

「はい。子ども達も不慣れな土地を歩き回って疲れているようですし、帰りましょうか」

 ピンと背筋を伸ばして、涼しげな目元でこちらを見上げた小柄な美青年は、チルシアさん。
 茶色と黒のツートンカラーの髪の上に、大きめな可愛いらしい三角お耳がある彼は、ジャッカルの獣人で、親善試合の2試合目で戦ったあの礼儀正しい王宮兵だ。

「すみません。チルシアさん。不本意でしょうに、人化までして頂いて」

「いえ。セネーバでは女王陛下のお気持ちを慮って極力人化しないように努めておりましたが、私個人に人化への忌避意識はございません。姿一つで、領民の方々が受け入れやすくなるのなら、私は喜んで人化させて頂きます」

 にっこりと微笑むチルシアさんの姿は、愛らしさと格好良さと清潔感と育ちの良さと……何というか人を安心させるような魅力に溢れていて、見ていた領民のお嬢様(ご年配の女性も含む)方から、ほおと感嘆のため息が聞こえてきた。
 ……わかる、わかるよ。チルシアさん、獣面状態の頃からカッコ可愛いなと思ってたけど、人化したら本当魅力大爆発してるよね。
 身長があまり大きくなくて、筋肉はついてるけど細身でしなやかな体してるから、領民の獣人に対する恐怖心を無駄に煽ることもないし。
 ヴィダルスみたいに粗暴でも、アンゼみたいにアホの子丸出しでもなく、何というか騎士っぽい気品があるから、良い感じに辺境伯領民達の獣人に対する偏見をブチ壊してくれる。
 さすがアストルディア、絶妙な人派遣してくれたな。
 最初はアンポンタンに頼もうかと思ってたんだけど、アンゼとタンクは王宮新兵としてめちゃくちゃ忙しいみたいだし、ポンダーは人化しても姿で受け入れられない可能性あったんだよな。みんなアホで、喧嘩っぱやいし。

「すみません、チルシアさん。先に皆を引き連れて、宿へ戻ってもらってもいいですか? いや、でも私が案内しないと、道がわからないですよね」

「いえ。一度来た道ですから、問題なく戻ることもできますが。何かご用事が?」 

「ちょっとアニカに、見せると約束してた場所があって」

 本当は他の子達も一緒に連れて行くつもりだったのだけど、どうもアニカ以外の子達には転移魔法で酔ってしまうみたいで。
 セネーバに戻る時以外は、もうやりたくないと拒否されたので、残念ながら同行者はアニカ一人になってしまった。
 それでもアニカはどうしても行きたいようなので、できれば連れて行ってあげたい。

「結界の魔道具の他に、転移の魔道具も渡しておくので、何かあれば使ってください。これを作動させた瞬間、連れて来た孤児院の子全てと同時に、セネーバの結界の所まで転移されるよう設定してあります」
 
しおりを挟む
感想 161

あなたにおすすめの小説

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する

子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき 「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。 そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。 背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。 結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。 「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」 誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。 叶わない恋だってわかってる。 それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。 君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

【8話完結】いじめられっ子だった俺が、覚醒したら騎士団長に求愛されました

キノア9g
BL
いじめられ続けた僕は、ある日突然、異世界に転移した。 けれど、勇者として歓迎されたのは、僕を苦しめてきた“あいつ”の方。僕は無能と決めつけられ、誰からも相手にされなかった。 そんな僕に手を差し伸べてくれたのは、冷酷と恐れられる騎士団長・ジグルドだった。 なのに、あいつの命令で、僕は彼に嘘の告白をしてしまう――「ジグルドさんのことが、好きなんです」 それが、すべての始まりだった。 あの日から彼は、僕だけをまっすぐ見つめてくる。 僕を守る手は、やさしく、強くて、どこまでも真剣だった。 だけど僕には、まだ知られていない“力”がある。 過去の傷も、偽りの言葉も超えて、彼の隣にいてもいいのだろうか。 これは、いじめられっ子の僕が“愛されること”を知っていく、嘘と覚醒の物語。 全8話。

処理中です...