役立たずの【清浄】スキルと追放された私、聖女の浄化が効かない『呪われた森』を清めたら、もふもふ達と精霊に囲まれる楽園になりました

☆ほしい

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私たちの開発した薬の交易は、とても順調に進んでいきました。
白鹿商会のゲオルグ会頭は約束を守り、薬の売上の一部を有効に活用してくれます。
そして王都には、貧しい人々のための新しい施療院を建ててくれました。
その施療院という場所では、私たちの薬がとても安い値段で分け与えられます。
今までの状況では、高価な薬を買うことができなかった人々も、治療を受けられるようになりました。
その嬉しい知らせを聞いた時、私の胸は温かい喜びで満たされたのです。
自分のしていることが、確かに誰かの助けになっているのだと強く実感できました。

「主殿、本日も王都から、立派な荷物が届いておりますぞ。」
「まあ、ノームさん。いつも、本当にありがとうございます。」

交易というものが始まってから、私たちの森の生活は以前よりさらに豊かになりました。
ゲオルグ会頭は、定期的にたくさんの物資を森の入り口まで運んでくれるのです。
その物資の中には、私たちがお願いした本や薬草の種の他に、珍しい食材や上質な布地も含まれていました。
毎日が、まるで贈り物を貰える特別な日のようです。
私は、届いたばかりの荷物を仲間たちと一緒に開けていきます。
大きな木箱を開けるその瞬間は、いつも胸が高鳴りました。

「わあ、皆様見てください。南の国でしか採れない、甘い果物ですわ。」
『こっちの箱には、ふわふわの羊毛がたくさん入っているよ。』

シルフたちが、とても嬉しそうに羊毛の周りを飛び回っていました。
ノームの奥さんたちは、その羊毛を使って暖かいセーターを編んでくれるそうです。
私も、新しい本を見つけて思わず笑みがこぼれてしまいました。
それは、古代魔法や世界の成り立ちについて書かれた、とても分厚い専門書だったのです。
他にも、美しい詩を集めた本や、胸が躍るような冒険の物語もたくさん入っていました。

「ホーウェルさん、また難しい本を頼んでくださったのですね。」
『うむ、知識というものは、我々にとって何よりの武器になりますからのう。』

ホーウェルさんは、片眼鏡の奥にある目をきらりと光らせました。
その日の午後、私は早速その新しい本を、ホーウェルさんと一緒に読み解いていきます。
リビングの暖炉の前で、ロッキングチェアに座ってページをめくる時間は、私にとって至福のひとときでした。
本に書かれているその内容は、とても難解で私一人では理解できなかったでしょう。
でもホーウェルさんが、私の隣で丁寧に解説をしてくれます。
彼の持っている知識は、本当に泉のように尽きることがありませんでした。

「この本によりますと、世界は精霊の力の均衡によって成り立っているそうですな。」
「四大精霊の力が、見事な調和を保つことで、自然は豊かに保たれるとあります。」
「もし仮に、その均衡が崩れたらどうなるのでしょうか。」
『ふむ、大地は枯れて、水は淀んでしまい、やがて世界はゆっくりと死に向かうと書かれておりますな。』
『過去の歴史では、強大な魔法の力を求めたあまり、大地の均衡を崩して滅びた国もあったとか。』

ホーウェルさんの言葉に、私は少しだけ背筋が寒くなるのを感じました。
自然のバランスというものを、無理やり変えてしまう魔法。
それは、とても危険なものであるとこの本にもはっきりと書かれています。

「例えば、土地の生命力を無理に吸い上げて、作物を実らせるような魔法も、その一つなのでしょう。」
『左様。それは、一時的な豊穣と引き換えにして、大地の未来を奪う愚かな行為です。』
『奪われた生命力というものは、世界のどこかに歪みを生み、やがて大きな災いを引き起こすのです。』

私は、ミレイ様の起こした「豊穣の奇跡」のことを、ふと思い出していました。
まさかとは、強く思いますが。
私の胸の中に、小さな不安の種がぽつりと一つ落ちたのです。
その心の中の不安を振り払うように、私は新しい食材を使って料理を作ることにしました。
南国の珍しい果物を使って、甘いタルトを焼いていきます。
ノームの奥さんたちも、喜んで手伝ってくれました。
みんなで一緒にキッチンに立つ時間は、とても楽しくて温かいものなのです。
出来上がったタルトをみんなで囲んで食べると、不安な気持ちもどこかへ消えていくようでした。

その頃、王国の北部にある広大な麦畑では、二度目の収穫が行われていました。
ミレイが、禁断とされた魔法を使って実らせた麦です。
収穫量は、前回をさらに上回るものとなりました。
民衆は、再び現れた奇跡の光景に熱狂し、ミレイを「豊穣の女神」とまで呼び始めます。
しかし、その熱狂の裏側で、大地はか細い悲鳴を上げていました。
二度の収穫によって、生命力を完全に吸い尽くされた土地。
その土は、もはや栄養を失ってしまい、黒くぱさぱさに乾いています。
その土地の異変に、農民たちもさすがに気づき始めました。

「これはおかしいぞ、この土地。なんだか、元気が全くないように見える。」
「これでは、次の新しい種を蒔いても、芽が出るとは到底思えん。」
「隣の村の古老が言っていた。これは、大地がまさに死にかけている印だと。」

不安に満ちた声が、あちこちで上がり始めます。
しかし、その小さな声はミレイを褒めたたえる大きな歓声にかき消されてしまいました。
アルフォンス殿下も、その報告を耳にしましたが、特に気に留めようとはしません。
彼にとって大事なのは、民衆からの人気と、エリアーナに対する優越感だけでした。
ミレイ自身も、その土地の悲惨な状況から必死に目をそらしています。
彼女は、毎晩のように悪夢にうなされるようになっていました。
大地が、黒くひび割れていく夢です。
そのたびに、彼女自身の生命力も少しずつ削られていきました。
その顔色は、日に日に悪くなっています。
目の下には、濃い隈がくっきりとできていました。
彼女の心に広がる闇は、誰にも気づかれることなく深く、広がっていったのです。

穏やかな森での生活の中で、私はある日、本当に小さな異変に気がつきました。
それは、家の近くを流れている小川の水の流れです。
いつもであれば、きらきらと太陽の光を反射して輝いて見える水面が、なぜか少しだけ淀んでいるように見えました。
水辺で遊んでいた、動物たちの元気もいつもよりないように感じます。
魚たちも、岩陰に隠れてしまってあまり姿を見せません。

「これは、気のせいかしら。」

私が、そうつぶやきながら水に手を浸してみます。
水は、相変わらず冷たくて清らかなままでした。
でも、ほんの少しだけ、水の精霊の力が弱まっているような気がします。
その日の夕方、水の精霊ウンディーネが、私の元を訪ねてきました。
彼女の、透き通るような美しい水色の髪が、いつもより元気なく揺れています。

『エリアーナ様、少しだけ、ご相談したいことがあってまいりました。』
「どうしたのですか、ウンディーネ。なんだか、元気がないように見えますが。」
『はい、実は最近のことなのですが、どうも体の調子が優れないのです。』
『まるで、全身の力がゆっくりと抜けていくような、そんな不思議な感覚でして。』
『この森の、水の流れの源流が、どこか遠くで淀んでいるような、そんな嫌な感じがいたします。』

ウンディーネの言葉は、私が感じていた違和感と、ぴったりと一致していました。
やはり、私の気のせいではなかったのです。
世界のどこかで、水の均衡が崩れ始めているのかもしれません。
その良くない影響が、この聖なる森にまで、及んできているのでしょう。

「ウンディーネ、それは心配ですわね。」
「もし私でよければ、その水の源流を調べてみましょうか。」

私は、ウンディーネにそう提案しました。
この森を流れる、全ての水の源。
それは、森のさらに奥深く、誰も足を踏み入れたことのない聖なる場所にあると聞きます。

『本当でございますか、エリアーナ様。ですが、そこはとても危険な場所だと聞いております。』
「大丈夫ですよ、私には、頼もしい仲間たちがついていますから。」

私は、足元に寄り添っているルーンの頭を、優しく撫でました。
ルーンも、「わふん」と力強く一声鳴いてくれます。
原因が分からないまま、不安な気持ちで過ごすのは嫌でした。
それに、ウンディーネを苦しませている原因を、放っておくこともできません。
私は、森の仲間たちと一緒に、水源地へ調査に向かうことを決意したのです。
次の日の朝、私たちは出発の準備を始めました。
グリフォンのグレンとフィリアが、空から道案内をしてくれます。
ホーウェルさんは、古い地図を調べて、水源地への最も安全な道を教えてくれました。
ノームたちは、旅の途中で食べるための、美味しいお弁当を用意してくれます。
木の実のパンに、干し肉、そして甘い果物もたくさん詰めてくれました。
森の仲間たち、全員が私のために協力してくれたのです。
私は、みんなの温かい気持ちに、心からの感謝を捧げます。
そして、ルーンと数匹の動物たちを連れて、未知なる森の奥深くへと、第一歩を踏み出しました。
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