【完結】没落令嬢、異世界で紅茶店を開くことにいたしました〜香りと静寂と癒しの一杯をあなたに〜

旅する書斎(☆ほしい)

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第36話

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あの満月の夜に“月詠みの雫”を口にして以来、わたくしの周囲の世界は、どこか以前とは異なる様相を呈しているように感じられましたの。
それは劇的な変化というわけではございません。けれど、まるで薄いヴェールが一枚取り払われたかのように、木々の葉の色はより鮮やかに、風の音はより多彩な響きをもって、そして何よりも、ハーブたちの放つ香りは、その奥に秘められた物語までもが伝わってくるかのように、深く豊かに感じられるようになったのでございます。

「極上調合」の力もまた、以前にも増してわたくしの意図を繊細に汲み取り、素材たちの最も精妙な調和点を、そっと指し示してくれるかのようでございました。
“月詠みの雫”そのものは、あまりにも深遠な力を持つがゆえに、わたくしは小屋の奥深く、月の光も届かぬ場所に静かに仕舞い込み、再びそれを開くべき真の時が訪れるまでは、そっとしておくことに決めておりました。
けれど、あの一杯がもたらした内なる変容は、確かにわたくしの中に息づき、日々の暮らしの中に新たな光を投げかけているのを感じずにはいられませんでしたわ。

その日は、朝から香草園に出ておりましたけれど、いつも以上にハーブたちの囁きが鮮明に聞こえてくるような気がいたしましたの。
ミントの葉が「もっと陽の光を」と訴えかけているように思えれば、隣のレモンバームは「少し水が足りませんわ」と、その葉をしなだれさせて教えてくれます。
それはわたくしの思い過ごしかもしれませんけれど、彼らの微細な変化に、より敏感になっていることは確かでございました。

ふと、香草園の一角、いつもならば蜜蜂や蝶が好んで集まるエキナセアの群生地に、今日はいつになく虫たちの姿が少ないことに気が付きましたの。
花々は健気に咲いておりますけれど、どこかその周囲の空気が淀み、生命の活気が薄れているような……そんな違和感を覚えたのです。
以前のわたくしでしたら、見過ごしてしまったかもしれないほどの、ほんの僅かな不協和音。
けれど、今のわたくしには、それがまるで静かな警告のように感じられました。

「どういたしましたのかしら……。何か、この場所の調和が乱れているようですわね……」

わたくしが心配そうにエキナセアの様子を観察しておりますと、そこへいつものように、元気な子どもたちの声が響いてまいりました。

「アナスタシアさまー! 今日のお手伝いは何ですかー?」

「この前エリアスおじいちゃんに教えてもらった、ハーブの押し花、もっと作りたいな!」

「ぼく、アナスタシアさまの新しいお茶、飲んでみたいな!」

その屈託のない笑顔に、わたくしも自然と心が和みます。
けれど同時に、彼らの純粋な感受性ならば、この香草園の微細な変化にも何かを感じ取れるのではないか、という思いがよぎりましたの。

「皆さま、おはようございます。今日は、少しばかり香草園の様子がいつもと違うように感じるのですけれど……皆さまは、何かお気づきになりまして?」

わたくしがそう問いかけますと、子どもたちはきょとんとした顔で顔を見合わせ、それから真剣な表情で香草園を見渡し始めました。
ニコラくんは、しゃがみ込んで土の匂いを嗅ぎ、ミレーヌちゃんは、エキナセアの花にそっと手を触れて何かを感じ取ろうとしております。トーマくんは、じっと目を閉じて、風の音に耳を澄ませているご様子。
その姿は、まるで小さな賢者のようで、微笑ましくも頼もしく感じられましたわ。

やがて、ミレーヌちゃんが小さな声で呟きました。

「……なんだか、いつものキラキラした感じが、少しだけ少ないかも……」

「うん、ぼくもそう思う! お花の元気、ちょっとだけ足りないみたいな……」

トーマくんも、こくりと頷きます。
やはり、子どもたちの素直な心は、わたくしが感じた不調和を、彼らなりに捉えていたのですね。

「ふふ、皆さまは、本当に鋭い観察眼をお持ちですこと。実はわたくしも、このエキナセアの辺りの元気が、少しばかり失われているように感じておりましたの。もしかしたら、この土地の精気が、ほんの少しだけ疲れてしまっているのかもしれませんわね」

「土地の精気が疲れてる……? どうしたら元気になるの?」

ニコラくんが心配そうに尋ねます。

「そうですわね……わたくしたち人間が、美味しいお茶を飲んで元気を取り戻すように、この香草園にも、特別な“元気の素”を調合してあげると良いかもしれませんわ」

「お庭のためのお茶……!?」

子どもたちの目が、好奇心でキラキラと輝き始めました。
それは、飲むためのお茶ではございません。けれど、その土地そのものを癒し、調和を取り戻すための、いわば「大地の処方箋」のようなもの。
エリアスさまの手記にも、古代の農耕民族が、豊穣を祈って特別なハーブの浸出液を大地に捧げたという記述がございました。
今のわたくしなら、そしてこの子たちの純粋な力を借りるならば、そのようなことも可能なのではないかしら。

「ええ。今日は皆さまと一緒に、この香草園のための、特別な“命の雫”を調合してみましょうか。それは飲むものではございませんけれど、きっとこの土地を元気にしてくれるはずですわ」

「やりたい! やりたい!」

子どもたちは声を揃えて賛同してくれました。
わたくしは、まず彼らに、香草園の中から「今、一番元気そうに輝いているハーブ」と「少しだけ元気がなさそうだけれど、助けを求めているように感じるハーブ」を、それぞれ少量ずつ、心で感じながら摘んでくるようにお願いいたしましたの。
それは、知識ではなく、彼らの直感を信じるという試みでございます。

しばらくして、子どもたちは思い思いのハーブを手に戻ってまいりました。
ミレーヌちゃんは、太陽の光をいっぱいに浴びたカレンデュラと、日陰でひっそりと咲くスミレを。
ニコラくんは、力強く香るローズマリーと、雨で少し倒れてしまったカモミールを。
トーマくんは、土の香りがするパセリの葉と、葉先が少しだけ変色したレモンバームを。
その選択は、驚くほど的確で、それぞれのハーブが持つ陽と陰、強さと弱さのバランスが絶妙に取れておりましたわ。

「皆さま、素晴らしい選択ですわ。それぞれのハーブが持つ力が、きっとお互いを助け合ってくれることでしょう」

わたくしは、大きな木の桶に源流から汲んできた清らかな水を満たし、子どもたちが摘んできたハーブを、一枚一枚、感謝の気持ちを込めてそっと浮かべました。
そして、わたくし自身も、エキナセアの回復を助けると言われるエルダーフラワー、土地の浄化を促すセージ、そして全体の調和を司る少量の“水鏡草”を加えましたの。

「さあ、皆さま。これから、このお水に、わたくしたちの“元気になあれ”という気持ちを込めて、ゆっくりと手でかき混ぜてまいりましょう。ハーブたちの力が、お水に溶け出していくのを、心で感じながら……」

わたくしたちは輪になり、木の桶を囲んで、順番にゆっくりと、そのハーブ水をかき混ぜました。
子どもたちの小さな手から、純粋で温かな想いが、ハーブを通じて水へと伝わっていくのが、わたくしにははっきりと感じられましたわ。
それは、いつものお茶の調合とはまた異なる、もっと素朴で、根源的な生命力との交感。
「極上調合」のスキルが、その過程を静かに見守り、ハーブと水と、そしてわたくしたちの想いが最も美しく溶け合うよう、導いてくれているかのようでございました。

やがて、桶の水はハーブの色と香りを映して、淡い黄金色に輝き始めました。
それは、飲むためのお茶ではございませんけれど、生命の喜びに満ちた、何とも言えぬ芳香を放っております。

「これで、“香草園の命の雫”の完成ですわ。これを、元気がなかったエキナセアの周りに、皆で少しずつ撒いてまいりましょう。きっと、喜んでくれるはずですわ」

わたくしたちは、小さな木の杓子でその雫を分け合い、エキナセアの株元や、周囲の土へと、祈るように丁寧に撒いていきました。
子どもたちは、まるで大切な宝物を扱うかのように、真剣な眼差しでその作業を行っておりましたわ。
その姿を見ていると、彼らはもう、単なるお手伝いの子どもではなく、この香草園を守り育む、小さな“庭の守り人”のように思えましたの。

全ての雫を撒き終えると、不思議なことに、先ほどまで感じていたエキナセアの周囲の淀んだ空気が、ふっと軽くなったような気がいたしました。
プラシーボ効果、とエリアスさまならおっしゃるかもしれませんけれど、わたくしには、ハーブと水と、そして子どもたちの純粋な想いが織りなした、確かな変化のように感じられたのです。

「ありがとう、アナスタシアさま! なんだか、お花たちが嬉しそうにしてる気がする!」

ミレーヌちゃんが、晴れやかな笑顔でそう言いました。

「ふふ、きっと、皆さまの優しい気持ちが届いたのですよ。これからも、こうして時々、香草園の声に耳を澄ませて、お手入れをしてあげましょうね」

「うん!」

その日の午後は、子どもたちと一緒に、エリアスさまが残してくださった手記を広げ、そこに描かれた珍しい植物の絵を眺めたり、遠い国のハーブの物語を読んだりして過ごしましたの。
彼らは、目を輝かせながらわたくしの話に聞き入り、時には鋭い質問を投げかけてきたりもいたします。
その知的好奇心の芽を、大切に育んでいくこともまた、わたくしの新たな役割なのかもしれない……そんなことを感じましたわ。

夕暮れ時、子どもたちが帰った後、わたくしは一人、香草園を静かに散策いたしました。
エキナセアの花々は、心なしか力強く空を向き、その周囲には、いつの間にか数匹の蜜蜂が嬉しそうに飛び交っております。
それは、ほんのささやかな変化かもしれませんけれど、わたくしにとっては、大きな喜びと、そして確かな手応えを感じさせてくれる光景でございました。

“月詠みの雫”がわたくし個人の内なる探求の扉を開いたのだとすれば、今日子どもたちと共に行った「大地の処方箋」は、わたくしの力を、より広く、周囲の世界との調和のために使う道を示してくれたのかもしれません。
小屋に戻り、わたくしは自分自身のために、今日子どもたちが摘んできたカレンデュラとカモミール、そしてローズマリーをブレンドした、温かくも力強い一杯を淹れました。
それは、今日の出来事を祝福し、そして、この「静寂の香り亭」が、ただ人を癒すだけでなく、生命そのものを育み、調和を広げていく場所となる未来を予感させるような、希望に満ちた香りでございましたわ。
窓の外では、星々が静かにまたたき始めておりました。
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