隠れ御曹司は、最強女子を溺愛したい

藤永ゆいか

文字の大きさ
26 / 27
第5章

これから先もずっと①

しおりを挟む
流れていた音楽が止まると、パーティー会場は拍手喝采に包まれた。

お、終わった……。

彗くんがリードしてくれたおかげで、大きなミスもなくダンスは無事に終了。

安堵するとともに、私は寂しい気持ちでいっぱいになる。

お姫さまみたいにキレイに着飾って、大好きな彗くんの彼女としてパーティーに出席する。

この夢みたいな時間も、これでもうおしまいなんだ。

ダンスを終えた人たちはみんな、フロアの中央からはけていく。

後ろ髪を引かれる思いで、私もそれに続こうとしたが……。

後ろから、ガシッと誰かに手首をつかまれてしまった。

「菜乃花」

名前を呼ばれて振り向くと、彗くんが真剣な面持ちで立っていた。

「君に、大事な話があるんだ」

大事な話って、何だろう?

「なっ、なに?」

ドキドキしながら聞き返すと、彗くんはひとつ息を吐いて、私を見つめ返してくる。

「本当は、今日で菜乃花との関係を終わらせようと思っていた」

──ドキッ。

「だけど、やっぱり俺は……このままで終わらせたくない」 

彗くんがスッと、私の前にひざまずく。

突然のことに驚くと、黒目がちの大きな瞳が私を見上げた。

「俺は、菜乃花のことが好きだ。だから……これからは偽じゃなく、俺の本当の彼女になってくれないか」

︎︎︎︎︎︎真っ直ぐに伝えられた、ストレートな言葉。

「う、うそ」

彗くんが、私を……?

すぐには信じられなくて、目をパチパチと瞬かせる。

「ダメ……かな?」

珍しく余裕のない彗くんの顔が、これはウソじゃないんだってことを伝えてくる。
そんな姿を見ていたら、もう胸がいっぱいになって。

「もし菜乃花も同じ気持ちなら、俺の手を取って」

そう言って、私の前に手を差し伸べる彗くん。

「……はいっ」

私は迷わず、彗くんの手を取った。

「私も……彗くんのことが、好きです」

自分の想いを正直に伝えると、身体ごと抱き寄せられた。

「ああ、良かった」

彗くんは回した腕に力を込めて、私をギュッと強く抱きしめてくる。

「もし菜乃花に断られたら、どうしようかと思った」
「断るなんて、ありえないよ」

私も、彗くんの背中に腕をまわす。

「私はずっと、彗くんのことが好きだったんだから」

こうして抱きしめ合っている今も、彗くんと両想いになれただなんてまだ信じられない。

元はと言えば、彗くんに弱みを握られたのをキッカケに、彼のボディーガード兼カノジョになったのが始まりだった。

そのうえ彗くんは、川で溺れた私を助けて亡くなった葵くんの弟。

そんな彼が、私を好きになるはずがないってずっと思っていたから。

フロアの真ん中で抱き合ったままの私たちを、周りがざわざわと注目し始めた。

会話は聞こえていないはずなのに、歓声と拍手が沸き起こる。

その音で、私はようやく我に返った。

し、しまった。途中からつい、彗くんと二人だけの世界に入ってしまっていたけど。
ここは、ホテルのパーティー会場だったんだ。

そのことに気づいた瞬間、頬が沸騰したように熱くなり、私は慌てて彗くんから離れた。

「彗、菜乃花さん」

ちょうどそのとき、私たちに声をかけてきた人が。

「父さん、母さん!」

それは、彗くんのご両親だった。

「先ほどのふたりのダンス、良かったよ」

彗くんのお父さんに褒めてもらい、私たちは二人そろって頭を下げる。

「それと、菜乃花さん。たった今、蓮から長男の……葵の話を聞いたよ」

お父さんの口から葵くんの名前が飛び出し、心臓がドキリと跳ねる。

彗くんのお父さんの隣には、いつの間にか蓮くんの姿もあった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。 相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。 さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!? 「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」 星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。 「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」 「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」 ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や 帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……? 「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」 「お前のこと、誰にも渡したくない」 クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。

未来スコープ  ―キスした相手がわからないって、どういうこと!?―

米田悠由
児童書・童話
「あのね、すごいもの見つけちゃったの!」 平凡な女子高生・月島彩奈が偶然手にした謎の道具「未来スコープ」。 それは、未来を“見る”だけでなく、“課題を通して導く”装置だった。 恋の予感、見知らぬ男子とのキス、そして次々に提示される不可解な課題── 彩奈は、未来スコープを通して、自分の運命に深く関わる人物と出会っていく。 未来スコープが映し出すのは、甘いだけではない未来。 誰かを想う気持ち、誰かに選ばれない痛み、そしてそれでも誰かを支えたいという願い。 夢と現実が交錯する中で、彩奈は「自分の気持ちを信じること」の意味を知っていく。 この物語は、恋と選択、そしてすれ違う想いの中で、自分の軸を見つけていく少女たちの記録です。 感情の揺らぎと、未来への確信が交錯するSFラブストーリー、シリーズ第2作。 読後、きっと「誰かを想うとはどういうことか」を考えたくなる一冊です。

未来スコープ  ―この学園、裏ありすぎなんですけど!? ―

米田悠由
児童書・童話
「やばっ!これ、やっぱ未来見れるんだ!」 平凡な女子高生・白石藍が偶然手にした謎の道具「未来スコープ」。 それは、未来を“見る”だけでなく、“触れたものの行く末を映す”装置だった。 好奇心旺盛な藍は、未来スコープを通して、学園に潜む都市伝説や不可解な出来事の真相に迫っていく。 旧校舎の謎、転校生・蓮の正体、そして学園の奥深くに潜む秘密。 見えた未来が、藍たちの運命を大きく揺るがしていく。 未来スコープが映し出すのは、甘く切ないだけではない未来。 誰かを信じる気持ち、誰かを疑う勇気、そして真実を暴く覚悟。 藍は「信じるとはどういうことか」を問われていく。 この物語は、好奇心と正義感、友情と疑念の狭間で揺れながら、自分の軸を見つけていく少女の記録です。 感情の揺らぎと、未来への探究心が交錯するSFラブストーリー、シリーズ第3作。 読後、きっと「誰かを信じるとはどういうことか」を考えたくなる一冊です。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

小鳥

水翔
絵本
小鳥と少女の物語

氷鬼司のあやかし退治

桜桃-サクランボ-
児童書・童話
 日々、あやかしに追いかけられてしまう女子中学生、神崎詩織(かんざきしおり)。  氷鬼家の跡取りであり、天才と周りが認めているほどの実力がある男子中学生の氷鬼司(ひょうきつかさ)は、まだ、詩織が小さかった頃、あやかしに追いかけられていた時、顔に狐の面をつけ助けた。  これからは僕が君を守るよと、その時に約束する。  二人は一年くらいで別れることになってしまったが、二人が中学生になり再開。だが、詩織は自身を助けてくれた男の子が司とは知らない。  それでも、司はあやかしに追いかけられ続けている詩織を守る。  そんな時、カラス天狗が現れ、二人は命の危険にさらされてしまった。  狐面を付けた司を見た詩織は、過去の男の子の面影と重なる。  過去の約束は、二人をつなぎ止める素敵な約束。この約束が果たされた時、二人の想いはきっとつながる。  一人ぼっちだった詩織と、他人に興味なく冷たいと言われている司が繰り広げる、和風現代ファンタジーここに開幕!!

処理中です...