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13 真実の口づけ ※
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無駄だと分かっていても、後ずさってしまう。
だが足を抱え込まれて、すぐに元の場所に引きずり戻された。
「っ!」
「だいじょうぶ。これからまだ七日もあるんだから。じっくり慣れていけば良い」
「七日……?」
「知らなかったのか? オレの部族は初夜が七日あるんだ。七日で妻になってくれるよう交渉するんだ。こうやって体を使ってな。ヴィルは体力もありそうだから、七日間ずっとオレに付き合えそうだもんな」
「何を言って……!」
「オレのこと好きになるまで抱いてやるって言っただろう?」
こいつに真摯に見つめられると心臓に悪い。
なぜか鼓動が速くなり、うるさくなる。
だが七日間もずっと彼に抱かれたら、自分の体は一体どうなってしまうのか。
それが怖い。
「安心しろ。お前に乱暴はしない。今までもそうだっただろう?」
そう言われて思い返してみると、確かに痛いことはされていない。
すべて屈辱的なことばかりだったが。
そっと自分の胸を腕で隠しながら、カイルを見上げる。
「本当に変なこと、しないだろうな」
「ああ。気持ちイイことをたくさん教えてやる」
「ッ! そっちはもういい! ……あ、あまり……たくさん教え込まれたら、その、お前のやり方に慣れてしまいそうで、困る……」
今でさえ初めての経験ばかりで頭も体もいっぱいいっぱいなのだ。
これが七日間続くのかと重うと、ついていけるかも怪しい。
この男の前で弱音を吐くのはいやだが、何事にも限度はある。
ふと、カイルの返事が途絶えていることに気がついた。
「キス…したい」
「は…………はぁ!?」
今の会話のどの部分にキスしたくなる要素があったのか。
混乱する自分をよそにカイルは尻の下につめていた体をどかして、のしかかってきた。
互いの息がかかる。
蛮族だと思っていた青年の顔がやけに幼く見えた。眉を寄せてぐっと唇を引いてこらえている。
今までのように強引にキスをすればいいのに、彼はそうしなかった。
「キスしてもいいか?」
「今さら、何を……」
「オレはお前の返事が聞きたい」
じっと見つめられると照れくさい。よく日に焼けた体に、南方の肥沃な土地を表したかのような焦げ茶色の髪、そしていま自分に懇願する表情。
年の離れた弟がいれば、こんな感じだろうか。
素直に答えられるわけもなく――。
「か、勝手にやればいいだろう。お前は……私の……夫なのだから」
ふは、と笑う息が聞こえた。
気がつくと唇を奪われていた。
荒々しさはなく、唇の熱を伝えあうだけの口づけだった。
ほう、と互いに息を吐く。
身悶えるようなこっぱずかしさのさざ波が何度もやってきて、とまらない。手で唇を覆おうとすると、指を絡めとられた。
両手をつなぎあい、目を合わせる形になる。
「ぁ……!」
へその近くにカイルの肉棒が当たる。どくどくと脈打つソレを彼が早く自分に入れたがっているのが分かる。
(――これではまるで相思相愛の恋人ではないか……っ)
まだ自分たちはそんな関係ではない。
そのはずなのに、彼の手を振り切れないでいる。
だが足を抱え込まれて、すぐに元の場所に引きずり戻された。
「っ!」
「だいじょうぶ。これからまだ七日もあるんだから。じっくり慣れていけば良い」
「七日……?」
「知らなかったのか? オレの部族は初夜が七日あるんだ。七日で妻になってくれるよう交渉するんだ。こうやって体を使ってな。ヴィルは体力もありそうだから、七日間ずっとオレに付き合えそうだもんな」
「何を言って……!」
「オレのこと好きになるまで抱いてやるって言っただろう?」
こいつに真摯に見つめられると心臓に悪い。
なぜか鼓動が速くなり、うるさくなる。
だが七日間もずっと彼に抱かれたら、自分の体は一体どうなってしまうのか。
それが怖い。
「安心しろ。お前に乱暴はしない。今までもそうだっただろう?」
そう言われて思い返してみると、確かに痛いことはされていない。
すべて屈辱的なことばかりだったが。
そっと自分の胸を腕で隠しながら、カイルを見上げる。
「本当に変なこと、しないだろうな」
「ああ。気持ちイイことをたくさん教えてやる」
「ッ! そっちはもういい! ……あ、あまり……たくさん教え込まれたら、その、お前のやり方に慣れてしまいそうで、困る……」
今でさえ初めての経験ばかりで頭も体もいっぱいいっぱいなのだ。
これが七日間続くのかと重うと、ついていけるかも怪しい。
この男の前で弱音を吐くのはいやだが、何事にも限度はある。
ふと、カイルの返事が途絶えていることに気がついた。
「キス…したい」
「は…………はぁ!?」
今の会話のどの部分にキスしたくなる要素があったのか。
混乱する自分をよそにカイルは尻の下につめていた体をどかして、のしかかってきた。
互いの息がかかる。
蛮族だと思っていた青年の顔がやけに幼く見えた。眉を寄せてぐっと唇を引いてこらえている。
今までのように強引にキスをすればいいのに、彼はそうしなかった。
「キスしてもいいか?」
「今さら、何を……」
「オレはお前の返事が聞きたい」
じっと見つめられると照れくさい。よく日に焼けた体に、南方の肥沃な土地を表したかのような焦げ茶色の髪、そしていま自分に懇願する表情。
年の離れた弟がいれば、こんな感じだろうか。
素直に答えられるわけもなく――。
「か、勝手にやればいいだろう。お前は……私の……夫なのだから」
ふは、と笑う息が聞こえた。
気がつくと唇を奪われていた。
荒々しさはなく、唇の熱を伝えあうだけの口づけだった。
ほう、と互いに息を吐く。
身悶えるようなこっぱずかしさのさざ波が何度もやってきて、とまらない。手で唇を覆おうとすると、指を絡めとられた。
両手をつなぎあい、目を合わせる形になる。
「ぁ……!」
へその近くにカイルの肉棒が当たる。どくどくと脈打つソレを彼が早く自分に入れたがっているのが分かる。
(――これではまるで相思相愛の恋人ではないか……っ)
まだ自分たちはそんな関係ではない。
そのはずなのに、彼の手を振り切れないでいる。
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