若さまは敵の常勝将軍を妻にしたい

雲丹はち

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「入れてもいいか?」

いたずらっぽい口調でもない。
悪辣さも、傲慢さもない。
誠実な言葉でお願いされたら、許すほかなかった。

こくりと小さく頷くと、カイルは嬉しそうに笑った。
もしも彼にしっぽが生えていたなら、きっと大きく揺れていることだろう。





ぐ、ぢゅぅぅ。
カイルの肉棒がゆっくりと体内に入り込んでくる。太い亀頭が入りきると、その熱を感じ取って媚肉がきつく締まる。
彼の吐く息で、彼も気持ち良さそうなことが伝わる。

「残りも入れていいか?」

その言葉であの長い竿を思い出させられる。

「――いちいち聞くなっ」
「だって優しくするって言っただろう? 痛かったら――」
「っ! いい、から、とっとと入れろ!」

亀頭を入れるまでの間も、さんざん彼に聞かれたのだ。
痛くないか、体勢がつらくないか……とか。
いい加減聞き飽きてきたし、今までの傍若無人ぶりとは打って変わった様子にこちらも調子がくずれる。

(あんなに傲慢だったくせに……!)

しかもあお向けになって彼と向かい合う体勢だから、余計に逃げ場がない。
もしも喘ぎ声を上げたら、彼に全て聞かれてしまう。

今までも聞かれていたのだからと思うのだが、今のカイルに聞かれるのは恥ずかしい。
なんというかむき出しの自分を見られている感覚がするのだ。

このむず痒くて、甘ったるい感覚にどうにも慣れない。
気を許すと彼の背中に手をまわしてしまいそうだ。

(手をつなぎあってるだけでも、恥ずかしいのに……)

できるだけ目を伏せて、彼の顔を見ないようにするのだが、カイルはじいっと私ばかり見つめてくる。

一つも反応を見逃さないぞ。
そう言われているみたいで、心が落ち着かない。

「っ!」

もどかしくて腰を揺らすと、残りが入ってきた。

「ァ! ァ! ――っ♡♡」

亀頭はまだやわらかかった。
けれど後につづく肉竿は硬くて芯がある。隆起した形そのままに体内を広げていく。
初めて受け入れる雄に体が喜んでいるのが分かる。

「ぐ、うぅ……っ。少し、ゆるめろ。ヴィル。キツい」
「かってに……人の名前を……略す、なっ」

吐息と一緒に呼ばれて、また心臓がばくばくと音を立てる。

(こいつに聞かれてしまい……そうだ!)

幸いカイルは胸をいじってはこなかった。
だからといって体内に入った雄の形が消えることはない。

「少し、抜くか?」

荒々しい息づかいとともに、そんなことを提案される。
頷き返してから、失敗したと悟った。

(い、やら――! 肉ひだが、笠にひっぱられる……ッ♡)

ごりごり!
亀頭のでっぱりに媚肉を引っかき回されて、腰が浮く。

「お。気持ちいいのか?」
「ちが……これは体が勝手に。ゃ! 抜く、なぁ……っ♡」
「なんだ。突いてほしいのか」
「そう、じゃなぃ……と言って……る! ……ひっ! アぁぁ――ッ!」
「かわいいな」
「っ!!」

キツく睨んだが、カイルは嬉しそうに笑うだけで全く効果がなかった。

「ヴィルのココすごくあったかくて、キツキツなの分かるか? 今にも出しそうだ」

こつん。

亀頭でへその裏を叩かれる。それだけで体内の雄をきつく締め上げてしまう。

(いやだ。私は……感じてない! 感じてな……ぃぃいい!!)

「う、を! すごっ。おへその裏が感じるポイントなんだな。覚えたぞ」
「やらっ! そんなこと覚える……なっ!」
「どうして? これから七日間たっぷり愛し合うんだ。知っておいて損はないだろう? 他にもたくさん教えてくれ。ヴィルが好きな場所、ぜんぶオレに教えろ」

最後の言葉だけ命令だった。
心臓が一際大きくはねて、唇を奪われる。

(らめぇぇ……ぇえ♡ 呼吸から、バレちゃぅ……っ♡ っ♡)

すっかりゆるみきった体は難なく彼の舌も受け入れる。
吸い上げてくる舌に自ら舌を絡めてしまう。
汗と涙でにじむ視界のなかカイルが目を細めて喜ぶのが見える。

ぷは。

唇を離すと、互いの唇から透明な橋がかかっていた。
またたく間に落ちて消えるが興奮は残る。

「今からヴィルにたくさんオレの子種汁飲んでもらうからな」

にかっと白い歯を見せて笑う。
直後、カイルが腰を動かしはじめた。

さっきのような優しいだけの動きとは全く違う。荒々しく、こちらの感じるポイントを貪欲に探ってくる。
太い肉棒をぐるんとナカで回したり、媚肉を叩いては、亀頭で肉ひだをほじる。

裏筋で何度もしつこく柔肉をこすられて、あらぬ声が漏れる。
カイルの動きにあわせて体内から熱い粘液がうまれ、次第に空気を孕んだ音を響かせる。

(ぁン――んん♡ こんなの、ダメ、たえきれなぃぃ♡)

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