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私、嫁ぎます!
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領地がなかなか復興せず焦っていた私たちに、つい数か月前この苦労の根源である叔父が姿を現したのである。
借金を返済しに来たのだと思ったが、そうではなかった。
応接間に通して母が父を呼びに行く間、私は叔父にお茶をお出しした。
「いやいやいや、兄さんの領地もともと地味だったけど更にみすぼらしくなったよな~。
俺が長男じゃなくて本当に良かったぜ。」
と言ったのは私の聞き違いではないと思う。
誰のせいでこんな状況になっているのか…。
無意識に叔父を睨んでしまう。
叔父はまずいと思ったのか口に手をやり咳ばらいをしていた。
「おっと…いや、本当に苦労を掛けてすまない。
今日はその侘びとして来たんだ。」
にたりと私を見て笑う叔父。
侘びは良いから借金を早く返していただきたんだけど…。
そう言いたいけど女であり領主でもない私は発言権がない。
ムカムカしながらも頭を下げ部屋を出た。
その際、はしたない事だと分かっているけど、父と叔父の会話を扉の外から聞き取れるよう風魔法を部屋にかけておいた。
父・母・叔父が話し合う間、扉前で聞き耳を立てる私。
弟は外で剣術の練習をしている。
父の苦労を見ているのか領主には関心がなく騎士になりたいと夢を抱いている可愛い弟。
領主なり騎士なり、どの将来も上位の学習機関には入らないといけないのに、そのお金さえ工面できるか分からない。
大切な家族が平和に暮らすのはこんなに難しいことなのだろうか?
そんな事を考えていると、部屋の奥から叔父の声が聞こえた。
「兄さん、借金の事なんだけど今すぐには返せそうにないんだ。
だけど、良い話を持ってきたんだよ。
この近くにロディウス伯爵がおられるだろ?
その伯爵家の長男が婚約者を探していてね、俺からうちのセレナを売り込んでみたのさ。」
「セレナを?」
え?私?
「そしたらさ、先方が是非セレナを婚約者にってことで話がまとまったんだよ。
ははは俺ってすごいだろ?」
「ちょっと待て!
セレナは私の大切な娘だ!
何を勝手に話を進めているんだ!」
珍しく温厚なお父様が声を荒げた。
「まあまあそう怒るなよ兄さん。
ロディウス領だぜ?こことは違って広大な領地を持ってるんだぞ。
そこに嫁げばここの領地にも援助をしてもらえるし息子だって学校に通わせてやれるじゃないか。
こんなところで木の棒を振ってるだけなんて将来詰んでるだけだろ?こんないい話ないぜ?」
「話が上手すぎる。
そんな広大な土地を持つ伯爵家なら周りから縁談が舞い込むはずだ。
わざわざ男爵令嬢のセレナを欲しがるのはつじつまが合わない。」
「まったく…疑り深くなったな兄さんは。」
「誰のせいでこうなったと思うんだ。」
「はいはい。
むこうさんにも色々事情があるんだよ。
あそこは男児が二人いるだろう?
本来家を継ぐのは長男だが少し気弱なところがあってな。
社会勉強に領地を一部任せているが少し手伝ってくれそうなパートナーが居る方が安定するって感じらしい。
そこでセレナの登場って訳だ。
領地の手伝いも積極的だし領民と良い関係を築けている自慢の姪っ子を優しい叔父が売り込んだって事。」
「いや、しかし…セレナにはこれ以上苦労を掛けたくないんだよ。」
「あのなあ、兄さん。じゃあこのままセレナが年を取って貰い手がなくなったらどうするんだよ。
息子が結婚するとき一回も結婚したことない小姑がいればどこの貴族からも敬遠されるだろう?
平民だってそんな家願い下げだね。
今が決断の時だ。
これはこの家のチャンスなんだよ兄さん。」
「…セレナは…私の可愛い娘なんだ。こんな事、身売り同然じゃないか…。」
「そうよ。あの子には幸せになって欲しいもの。」
「貴族の結婚ってそんなもんじゃないか。恋愛結婚なんて兄さん夫婦が稀なんだよ。」
ここまで聞いて私の決心は固まった。
こんな叔父の話に乗るは癪だけど、私がロディウス伯爵家に嫁げば全て丸く収まる。
大切な家族、大切な領地の皆…。
貴族の娘なのだからこういう時に役に立つのは当り前よ。
扉を開けて部屋に入る。
「セレナ?まさか話を聞いていたのか?」
「私、ロディウス家に嫁ぎます!」
借金を返済しに来たのだと思ったが、そうではなかった。
応接間に通して母が父を呼びに行く間、私は叔父にお茶をお出しした。
「いやいやいや、兄さんの領地もともと地味だったけど更にみすぼらしくなったよな~。
俺が長男じゃなくて本当に良かったぜ。」
と言ったのは私の聞き違いではないと思う。
誰のせいでこんな状況になっているのか…。
無意識に叔父を睨んでしまう。
叔父はまずいと思ったのか口に手をやり咳ばらいをしていた。
「おっと…いや、本当に苦労を掛けてすまない。
今日はその侘びとして来たんだ。」
にたりと私を見て笑う叔父。
侘びは良いから借金を早く返していただきたんだけど…。
そう言いたいけど女であり領主でもない私は発言権がない。
ムカムカしながらも頭を下げ部屋を出た。
その際、はしたない事だと分かっているけど、父と叔父の会話を扉の外から聞き取れるよう風魔法を部屋にかけておいた。
父・母・叔父が話し合う間、扉前で聞き耳を立てる私。
弟は外で剣術の練習をしている。
父の苦労を見ているのか領主には関心がなく騎士になりたいと夢を抱いている可愛い弟。
領主なり騎士なり、どの将来も上位の学習機関には入らないといけないのに、そのお金さえ工面できるか分からない。
大切な家族が平和に暮らすのはこんなに難しいことなのだろうか?
そんな事を考えていると、部屋の奥から叔父の声が聞こえた。
「兄さん、借金の事なんだけど今すぐには返せそうにないんだ。
だけど、良い話を持ってきたんだよ。
この近くにロディウス伯爵がおられるだろ?
その伯爵家の長男が婚約者を探していてね、俺からうちのセレナを売り込んでみたのさ。」
「セレナを?」
え?私?
「そしたらさ、先方が是非セレナを婚約者にってことで話がまとまったんだよ。
ははは俺ってすごいだろ?」
「ちょっと待て!
セレナは私の大切な娘だ!
何を勝手に話を進めているんだ!」
珍しく温厚なお父様が声を荒げた。
「まあまあそう怒るなよ兄さん。
ロディウス領だぜ?こことは違って広大な領地を持ってるんだぞ。
そこに嫁げばここの領地にも援助をしてもらえるし息子だって学校に通わせてやれるじゃないか。
こんなところで木の棒を振ってるだけなんて将来詰んでるだけだろ?こんないい話ないぜ?」
「話が上手すぎる。
そんな広大な土地を持つ伯爵家なら周りから縁談が舞い込むはずだ。
わざわざ男爵令嬢のセレナを欲しがるのはつじつまが合わない。」
「まったく…疑り深くなったな兄さんは。」
「誰のせいでこうなったと思うんだ。」
「はいはい。
むこうさんにも色々事情があるんだよ。
あそこは男児が二人いるだろう?
本来家を継ぐのは長男だが少し気弱なところがあってな。
社会勉強に領地を一部任せているが少し手伝ってくれそうなパートナーが居る方が安定するって感じらしい。
そこでセレナの登場って訳だ。
領地の手伝いも積極的だし領民と良い関係を築けている自慢の姪っ子を優しい叔父が売り込んだって事。」
「いや、しかし…セレナにはこれ以上苦労を掛けたくないんだよ。」
「あのなあ、兄さん。じゃあこのままセレナが年を取って貰い手がなくなったらどうするんだよ。
息子が結婚するとき一回も結婚したことない小姑がいればどこの貴族からも敬遠されるだろう?
平民だってそんな家願い下げだね。
今が決断の時だ。
これはこの家のチャンスなんだよ兄さん。」
「…セレナは…私の可愛い娘なんだ。こんな事、身売り同然じゃないか…。」
「そうよ。あの子には幸せになって欲しいもの。」
「貴族の結婚ってそんなもんじゃないか。恋愛結婚なんて兄さん夫婦が稀なんだよ。」
ここまで聞いて私の決心は固まった。
こんな叔父の話に乗るは癪だけど、私がロディウス伯爵家に嫁げば全て丸く収まる。
大切な家族、大切な領地の皆…。
貴族の娘なのだからこういう時に役に立つのは当り前よ。
扉を開けて部屋に入る。
「セレナ?まさか話を聞いていたのか?」
「私、ロディウス家に嫁ぎます!」
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