『選ばれし乙女』ではありませんが、私で良いのでしょうか？私、地味で目立たない風属性ですよ？

お前が領地を管理してみろ

おかしい…。


あの女から待女を引き離したのに何も変化が起こらない。


もっと慌てるだろう？


自分の食事はどうやってとっているんだ？


まさか自分で作っているのか？

ありえない、腐っても貴族。

そんなことが出来る訳ないよな、普通。


それに、社交の場でも失敗していない。



貴族社会の経験がない奴なら場違いな事をして白い目で見られるはずだろう？


あいつはいつも違うドレスを着て会場に来る。


一部の上品な婦人や令嬢があいつに声をかけるのを何度も目にした。

そりゃドレスを着れば多少華があるが、まだあか抜けない田舎者という感じだ。

身長が高い分ドレスを着こなせているだけじゃないか。


待女を失うだけではそこまでダメージがないという事か。



やっぱり面白くない女だ。


もっとあの女が失敗するところを周囲に見せつけてやらないと気が済まない。


そうだ、俺が与えられている領地をあいつに渡してやろう。


ここ最近作物が取れず領民も反抗的な態度を見せてくるからな。

丁度いい。そこで領民たちのサンドバックにでもなればあいつも弱るだろう。


ナイスアイデアだ。



俺はわざわざあの女のコテージに出向き、領地経営の資料一式を置いてきてやった。


「あの、ピーター様これは何でしょう？」


「今日からお前がこの領地を管理するんだ。
俺は上級クラスの課題で時間がないんだ。お前は普通クラスで遊んでいるだけなんだから時間が有り余っているだろう？
俺の婚約者なんだからこれくらい出来てもらわないと困るんだよ。
じゃあな、あとはしっかりやっておけよ。」



「え？そんな、突然そんなこと言われても困ります。」



「甘えるな。伯爵家に恩があるくせに良い暮らしをしようとするなんて厚かましいんだよ。
少しくらい感謝して働け！」



そう言って俺はセレナの部屋を出た。





あ～すっきりした。



さて、気分が良いからクラスの奴らと飲みにでも行くか。

ちょっとくらいハメ外しても良いだろう。



男友達はおれがおごってやればしっぽを振ってついて来るんだから。