『選ばれし乙女』ではありませんが、私で良いのでしょうか?私、地味で目立たない風属性ですよ?

ミミリン

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領地の裁量権

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「困ったわ。伯爵家の領地管理なんて恐れ多いわ…。
どうしたらいいの…。」



恐る恐る乱暴に置かれた資料をめくってみる。


ん?何か慣れ親しんだ文章が重なっているわ。


これ、実家で教えてもらった申請書だわ。

ということは、この添付されているものは…ああ、やっぱり測量結果になるのね。


なるほど、じゃあ他の文章は多分過去の決算関係のはずだわ…。




私は一晩掛けて渡された資料を読み込んだ。




気づけばもう朝だ。






―――――――――――――――――――――――――――――――――――――





屋敷を出て馬車に乗り込もうとすると、婚約者のピーター様も別の専属馬車に乗り込むタイミングだった。



私の顔を見るなり一瞬ぎょっとした表情になり、その後何故かにたりと笑って馬車に入って行った。

ああ、ご挨拶が出来なかったわ。まあ、笑っていたし機嫌は良かったわよね。






――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

今日の気分は上々だ。


馬車に乗るときセレナの顔を見たが、何だあの顔。


目の下に青いクマを作って、顔色も土に近かったぞ。

昨日領地の話をされて地獄の底に落ちたって感じだな。


はははは、ざまーみろ。

俺を差し置いて目立とうとするからこうなるんだ。


これで思いっきり失敗すれば両親もセレナとの婚約を解消してあいつを追い出すだろう。


あ~すっきりした。


何て気持ちの良い朝なんだ。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

次の日馬車に乗るピーター様を待ち構えて

「ピーター様、次の連休に私は領地を視察しに行こうと思います。」

と伝えた。



「悪あがきか。まあ、良い。勝手にしろ。」


「現地で裁量できる権利を私に移して頂きたいので、こちらにサインをお願いします。」


「なんだ、お前ごときが裁量権を持ったところで何も変わらんだろう。
ああ、むしろ悪化するかもな。」


「サインを。ここにお願いします。」


「ははは、まあいい。好きにしてみろ。」


そう言ってピーター様はさらさらとサインを書いてくださった。



これでよしと。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

今日の朝もなかなかに良い感じだ。


セレナが妙な事をしてきたが、それで良い。


あいつが独断で動いたから損失が出たとなればこれ以上に面白いことはない。


だから優しい俺はその場でサインをくれてやったんだ。


そうか、そろそろ連休が来るのか。


俺はリゾートに男友達を呼んで楽しく過ごすとしよう。


ああ、楽しみだなあ。


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