『選ばれし乙女』ではありませんが、私で良いのでしょうか?私、地味で目立たない風属性ですよ?

ミミリン

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リゾートから帰ってきたら

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連休が終わった。


俺は、なかなかに楽しい時間を過ごせた。


奮発して高級な宿を取り、男友達たちを招待したから奴らのテンションはすこぶる高かった。

「流石ピーター!いやピーター様!いやピーター殿下!」

「俺、ピーターの親友でよかったわ~。
これからも俺たちの親友で居てくれよな。」


「ピーターってさ、産まれた時点でまじで勝ち組じゃない?
前世で神様だったんじゃねーの?」


など、俺の親友たちは好き好きに俺を崇めていた。

まあな。俺は完璧な人間だからな。

改善するところがなさすぎるトップオブトップが俺なんだよ。


まあ、婚約者だけがすこぶる残念か。



帰宅すると両親から手紙が届いていた。


こんな時期に何だ?

俺からここ最近文は送っていないのに。
謎のタイミングで送られてきた手紙を不気味に思ったが何とか開封して読んでみる。



そこには、俺に任せていた領地が経済的に盛り返してきていると褒められている内容だった。


何のことだ?


俺、ずっとリゾートに居ていたから知らないが、何かあったのか?


そこに、丁度セレナがどこかから帰ってきたようなので、こちらに呼んで俺がいない間に何があったか説明させた。



「ピーター様から管理を任された領地に泊まり込みで調査に行ってきました。
田畑が収入源の農村地帯だったので水質や地質調査の資料と実際を見比べてみましたところ、続く干ばつで所々それぞれの質や成分が変わっていたため可能な範囲で…。」


「難しい事はもういい。
だから、お前は何をしたんだ?」


「はい。
水脈を調べ上げ、領民とともに新しい水源を掘り当てました。」


「はあ?水源だと?なら土を掘るのに重機が必要だろう?
勝手に伯爵家の金を使ったのか?」


「いえ、古い資料から推測し、一番浅い部分に位置した水脈を探し当てたので領地にある既存の農具で何とか掘れました。」


「人の手でそんな事が出来るのか?」


「土属性の領民や、属性はなくともパワー系の魔力を持つ男性たちが集まってくれたので私が風魔法をかけた農具で掘り進めることが出来ました。」



「…。」


確かに、セレナの肌はまた日に焼けているし髪の手入れも全く出来ていない有り様だ。


この話は本当なのだろう。


「流石ロディウス領ですよね。
私の実家ではこんなにいい水脈はありませんから。
この領地だからこそ出来た方法です。
領民の方々も最初は警戒していましたけど、岩を砕いたり、風魔法で害虫を吹き飛ばして見せるとみなさん喜んでくださって…。」



「もういい。
俺は疲れた。もう下がれ。」


お前の自慢話はもうこりごりだ。


「あ、はい。…では、失礼します。」


なんでこいつは俺の思い通りに潰れないんだ。
腹の立つことばかり…。


「セレナ。」


「はい、何でしょう?」


「お前が管理したこの領地の収益、お前はびた一文手を付けるなよ。
横領でもすれば訴えるからな。」


「そのような事は致しません。
すべてご両親の伯爵様に計上しています。」


「…っもういい、去れ。」


「では、失礼します。」


セレナは俺にカーテシーを見せつけて部屋を出て行った。


何だよ、自分は身長が高い分カーテシーにも自信があるって言いたいのか?



ああ、腹が立つ!!

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