15 / 18
老いぼれ爺さんとセレナ
しおりを挟む
先日偶然会った貴婦人に
「とても素敵な礼状をありがとうと婚約者のセレナさんに伝えておいてね。」
と言われた。
あいつ、結局礼状を送ったのか。
そんな地味な事に金を使うなんて見栄っ張りな女だよな。
たかが礼状なのにな。
そんな愚かなセレナだが、最近街のはずれに住んでいる地味なじーさんの家に通っているらしい。
元軍人らしいが、みすぼらしい老人だと執事が言っていた。
あんな図体のでかいノロマな女にはしょうもない老人がお似合いだ。
俺は特にセレナを止めることはしなかった。
「おい、セレナ!お前そろそろ課題を提出する時期だぞ。
俺とミミリ―の課題は出来てるのか?」
どうせ、できっこないよな。
普通科の凡人には無理な話だ。
「あ、はい。こちらに用意しています。
一応確認していただいた方がよろしいかと。」
指をさされた机の受けには俺とミミリ―2冊分のレポート用紙が置かれていた。
中身をぱらぱらとめくるとそれらしい言語がびっしり書かれている。
どういうことだ…?
まあ、いい。
これを提出して教師に何かを指摘されたらセレナのせいにしてやる。
「もういい。下がれ。俺の視界から消えろ。」
「…承知しました。」
あ~あ。
今日こそセレナの泣いて歪んだ顔が見れると思ったのに。
つまんねーの。
「ピーター君、ミリア君。
先日君たちが提出した課題だがね。」
学園で教師に声を掛けられる。
ああ、やっぱりセレナの馬鹿が変なものを書いたんだな。
くそっ。あんな女が出すものを提出するんじゃなかった。
「すみません、先生。あれはセレナが…。」
「いや~実に興味深い考察だったよ。
あの見解は基礎をしっかり熟知していないと出せない内容だ。
私も君たちの課題を見て何と言うか…こう、原点に戻った気がするよ。
いやいや君もやる気を出せば良いものが出来るじゃないか。
流石ロディウスの長男だ。
ご両親もこれで安心だな。」
そう言って先生は職員室に向かって行った。
何だったんだ?
まあ、俺が褒められたという事で良いんだろう。
ロディウスの血が流れている俺の事を。
それから、俺は課題が出るたびにセレナに投げてやった。
課題後に確認テストがある教科は流石にまずいから提出課題だけで評定をつけられるものだけをセレナに渡した。
俺の成績はすこぶる上々だ。
この時点で卒業は確定した。
あとは定期テストでどんな悪い点を取っても俺もミミリ―も落第、留年はない。
あーあ、世の中ってやっぱりちょろいよな~。
世界は俺を中心に回っているという事だろう。
俺は生まれながらにして勝ち組確定のエリートなんだ。
「とても素敵な礼状をありがとうと婚約者のセレナさんに伝えておいてね。」
と言われた。
あいつ、結局礼状を送ったのか。
そんな地味な事に金を使うなんて見栄っ張りな女だよな。
たかが礼状なのにな。
そんな愚かなセレナだが、最近街のはずれに住んでいる地味なじーさんの家に通っているらしい。
元軍人らしいが、みすぼらしい老人だと執事が言っていた。
あんな図体のでかいノロマな女にはしょうもない老人がお似合いだ。
俺は特にセレナを止めることはしなかった。
「おい、セレナ!お前そろそろ課題を提出する時期だぞ。
俺とミミリ―の課題は出来てるのか?」
どうせ、できっこないよな。
普通科の凡人には無理な話だ。
「あ、はい。こちらに用意しています。
一応確認していただいた方がよろしいかと。」
指をさされた机の受けには俺とミミリ―2冊分のレポート用紙が置かれていた。
中身をぱらぱらとめくるとそれらしい言語がびっしり書かれている。
どういうことだ…?
まあ、いい。
これを提出して教師に何かを指摘されたらセレナのせいにしてやる。
「もういい。下がれ。俺の視界から消えろ。」
「…承知しました。」
あ~あ。
今日こそセレナの泣いて歪んだ顔が見れると思ったのに。
つまんねーの。
「ピーター君、ミリア君。
先日君たちが提出した課題だがね。」
学園で教師に声を掛けられる。
ああ、やっぱりセレナの馬鹿が変なものを書いたんだな。
くそっ。あんな女が出すものを提出するんじゃなかった。
「すみません、先生。あれはセレナが…。」
「いや~実に興味深い考察だったよ。
あの見解は基礎をしっかり熟知していないと出せない内容だ。
私も君たちの課題を見て何と言うか…こう、原点に戻った気がするよ。
いやいや君もやる気を出せば良いものが出来るじゃないか。
流石ロディウスの長男だ。
ご両親もこれで安心だな。」
そう言って先生は職員室に向かって行った。
何だったんだ?
まあ、俺が褒められたという事で良いんだろう。
ロディウスの血が流れている俺の事を。
それから、俺は課題が出るたびにセレナに投げてやった。
課題後に確認テストがある教科は流石にまずいから提出課題だけで評定をつけられるものだけをセレナに渡した。
俺の成績はすこぶる上々だ。
この時点で卒業は確定した。
あとは定期テストでどんな悪い点を取っても俺もミミリ―も落第、留年はない。
あーあ、世の中ってやっぱりちょろいよな~。
世界は俺を中心に回っているという事だろう。
俺は生まれながらにして勝ち組確定のエリートなんだ。
10
あなたにおすすめの小説
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら
影茸
恋愛
公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。
あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。
けれど、断罪したもの達は知らない。
彼女は偽物であれ、無力ではなく。
──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。
(書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です)
(少しだけタイトル変えました)
初対面の婚約者に『ブス』と言われた令嬢です。
甘寧
恋愛
「お前は抱けるブスだな」
「はぁぁぁぁ!!??」
親の決めた婚約者と初めての顔合わせで第一声で言われた言葉。
そうですかそうですか、私は抱けるブスなんですね……
って!!こんな奴が婚約者なんて冗談じゃない!!
お父様!!こいつと結婚しろと言うならば私は家を出ます!!
え?結納金貰っちゃった?
それじゃあ、仕方ありません。あちらから婚約を破棄したいと言わせましょう。
※4時間ほどで書き上げたものなので、頭空っぽにして読んでください。
今度は、私の番です。
宵森みなと
恋愛
『この人生、ようやく私の番。―恋も自由も、取り返します―』
結婚、出産、子育て――
家族のために我慢し続けた40年の人生は、
ある日、検査結果も聞けないまま、静かに終わった。
だけど、そのとき心に残っていたのは、
「自分だけの自由な時間」
たったそれだけの、小さな夢だった
目を覚ましたら、私は異世界――
伯爵家の次女、13歳の少女・セレスティアに生まれ変わっていた。
「私は誰にも従いたくないの。誰かの期待通りに生きるなんてまっぴら。自分で、自分の未来を選びたい。だからこそ、特別科での学びを通して、力をつける。選ばれるためじゃない、自分で選ぶために」
自由に生き、素敵な恋だってしてみたい。
そう決めた私は、
だって、もう我慢する理由なんて、どこにもないのだから――。
これは、恋も自由も諦めなかった
ある“元・母であり妻だった”女性の、転生リスタート物語。
始まりはよくある婚約破棄のように
喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」
学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。
ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。
第一章「婚約者編」
第二章「お見合い編(過去)」
第三章「結婚編」
第四章「出産・育児編」
第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる