【完結】ケーキの為にと頑張っていたらこうなりました

すみ 小桜(sumitan)

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第79話

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 フロール嬢の顔色は、川に落ちた時よりは良いとはいえ、不安そうな顔つきだ。

 「ゲームでは最終的にどうなったの?」
 「襲ってきたのは、ナタリオ様よ。ゲームでは、私が一人になった時に襲ってきて、でもちょうどアマート様が通りかかって、助けてくれるの」

 私は、うんうんと相槌を打つ。

 「そして、ナタリオ様は捕まった。襲った理由は、マルシアール殿下に邪な感情を持っていたからって言う嘘を言った。彼は襲って来た時に、ディードアウト王国の王女の子に生きていてもらっては困るんだって言って襲って来たから、嘘だってわかったのよ。でも結局、彼が言う理由で襲ったと事になったわ。エイデース帝国に私が生き残りだって言えないからね。マルシアール殿下が、私の正体を知った様子はなかった。この後にガムン公爵から説明を受けるのよ。私がガムン公爵の隠し子と言うのは、真実を隠す為の嘘だと」
 「その時には、ガムン公爵の隠し子だとフロール嬢は知っているのね」
 「ガムン公爵の隠し子だという事がわかるイベントは、どのルートでもあるの。真実がわかるのはアマート様のルートだけ」

 馬車の中でもアマート様のルートだけ、王女の子だとわかると言っていたものね。
 ふむ。事実を知ったのはナタリオ様だけと。だとしたら、今回もそうなのかしら?
 でもどうして今? この事実を知るのは3年生になった時よね。では別人?
 別人なら狙いは、レオンス様になるけどね。

 王女が逃げ出していたというのは、きっとエイデース帝国の者しか知らない事だし、それが理由で他の者がフロール嬢を襲う事はないでしょう。
 でもレオンス様が、暗殺される様な理由もないわよね。

 もし、普通に川に落下していれば、馬は無傷ではない。だから落下時による怪我でなくてもバレはしないもの。
 正面切って襲ってきていないのだから、事故として殺したかったのでしょうね。

 ゲームでは、誰にも見られなければガムン公爵の隠し子が殺されたって事になるはずだったって事だものね。
 本来は、アマート様と出会うイベントで、その内容がヒロインが王女の子だったという秘密。その秘密を知ったアマート様は、知れずに色んな事に巻き込まれ? 二人の仲は深まっていくってところなのかしらね。

 っは! ゲームの事はどうでもいいんだった。

 「ねえ、ナタリオ様はどうやって真実を知ったの?」

 フロール嬢は、フルフルと頭を横にふりわからないと答える。

 「ゲームでは、深く追求していないわ。彼は、きっかけになる出来事を起こす役って事だけだからね。現実に起きると、そこも語っておいて欲しかったと思うわ」
 「そうね。でも彼らは、王女を探していたのでしょうね。目星をつけてこの国に来たのかもしれないわ」
 「……どうしたらいいと思う? また狙われるわよね? だからと言って陛下に助けを求める事も出来ないわ。狙いが私だって言えないもの」

 そうなのよね。普通ならタカビーダ侯爵家を狙った何者だとなるもの。
 ガムン公爵の隠し子だからとして令嬢が狙われる事もないでしょうし、王女の子だから命を狙われているって証明のしようもない。
 困ったわ。

 「とにかく、私と一緒に行動しましょう。たぶんレオンス様と私には警護がつくから」

 調べれば事故を装った暗殺だって気が付くでしょう。そうすれば、少なくともタカビーダ侯爵家とココドーネ侯爵家の私兵が私達につくわ。
 犯人がナタリオ様でも授業中に襲ってくる事もないでしょう。

 「でもなんで単独で動いたのかしらね。ゲームでナタリオ様は王女の子だって殿下には言っていない事になっていたのよね」
 「わからないわ。ご都合主義の流れなのかなって」

 まあそうよね。もし王女の子だと知ったら引き渡せって言って来るわよね。子に罪はないとして、陛下がフロール嬢を守ったのかもしれないけど。
 恋愛にそれほど関係ない内容は、省かれているって事よね。
 まあ、ファンブックみたいのがあれば、真相が書いてあるかもしれないけど。

 それにしてもレオンス様、遅いなぁ。寝てしまったのかな。

 トントントン。
 ドアがノックされた。
 やっと来たわ。

 「夕飯のご用意が出来ました」

 違った。まあご飯を食べた後でもいいか。

 「フロール嬢、行きましょう」
 「はい」

 食堂に行くと、レオンス様以外は席についていた。

 「あれ? レオンス様は? お帰りになったの?」
 「寝てるよ。かなり疲れたんだろうな。湯につかって緊張が解かれて、ソファで寝ていたから兵士がベッドに移したって」
 「魔法を使って助けたのだから疲れたのでしょう。タカビーダ侯爵家には連絡を入れておいたから大丈夫です」

 本当に寝てしまったの? 凄く疲れた様子だったものね。

 「さあ、フロール嬢も席に着きなさい。ファビアと同クラスのお友達だそうね。できれば、クラスでのこの子の過ごし方を聞きたいわね」
 「リサおばあ様。それはちょっと……」
 「あら? 恥じる様な行動をなさっておりますの?」
 「いいえ。そうではないですが」
 「とても模範になる方ですわ。頭が上がりません」

 ちょっと。頭が上がらないってなに? 少し含みがない?
 まあいいわ。リサおばあ様なりに、フロール嬢の緊張をほぐして下さっているみたいだし。



 「あぁ、ケーキおいしかったわね」
 「驚きました。食後にケーキが食べられるなんて」
 「でしょう。だから侯爵家のご令嬢はやめられないのよ」
 「っぷ。何それ」
 「私の部屋で寝間着を選んで。部屋はローレットが案内してくれるわ」

 そう言うとツンとドレスの裾をフロール嬢が引っ張った。

 「あ、あの……一人になるのは怖いです」

 俯いて言ったフロール嬢は、上目遣いよ。しかも顔が真っ赤。
 照れながら言うなんて……私が男ならイチコロよ! さすがヒロインだわ。侮れん。
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