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第80話
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「はあ、やってしまった」
「まだ言っているのか」
「恰好悪いだろう」
レオンス様が、隣に座るエメリック様にこっそり耳打ちしている。聞こえてます。聞こえないフリするけど。
レオンス様は、朝までぐっすりだったらしい。
フロール嬢とはプチパジャマパーティーをした。前世でもした事ないのに。
そして、朝食を食べた後、四人で学園に向かっている馬車の中。
『で、フロール嬢に昨日の続き聞いたか?』
『聞いたわ』
『時間がない。簡潔に教えて』
落ち込んでいるのかと思ったけどそうでもないのね。
『ゲームでの犯人は、ナタリオ様だって。理由はマルシアール殿下に邪な感情を抱いたからと言ったらしいけど、本当の理由は王女の子とだと知ったからみたい。けどマルシアール殿下には知らせていなくて、単独行動。どうやって知ったのかも不明』
『わかった。ありがとう』
レオンス様は、ジーっと外を見つめて神妙な顔つきになった。あの顔好きなのよね。
ナタリオ様は、普通に学園に来ていた。犯人は、彼ではないのかしらね。けど、彼しか犯人が見当たらない。
◇
「相談ってなんだ? 君一人なのか?」
警戒しつつも彼は私の前に現れた。
まあ、彼が言う通り私がさっき風魔法で相談があるから誰にも言わずに一人で来てって言ったからだけどね。
「うん。あなたも誰にも言ってない?」
「あぁ。で、なんだ?」
「えーと……」
なんだと言われても、放課後になったらナタリオ様を風魔法で呼び出せって、馬車から降りる時にレオンス様に言われただけだから用件は知らないのよね。
「呼んだのは俺だからファビアは用件は知らない」
レオンス様が物陰から出てくると、ナタリオ様がハッとして警戒する。
「何の用だ」
「言わなくてもわかっているように見えるけど?」
「……わからないな。悪いけど私も暇ではないので――」
「裏取引をしよう」
レオンス様、何を言い出すの? 裏取引って何?
ナタリオ様が、目を見開いてレオンス様を見た。
「言っている意味がわからない」
「わからないだと? 突き止めたんだろう。フロール嬢が亡命してきた者の子だと」
ちょーと! レオンス様、もし知らなかったらどうするのよ。
でも、ナタリオ様は体をビクッとさせて反応を見せた。知っているみたいね。つまり犯人確定って事かしら。
「へえ、そうなんだ。で?」
「まだ白を切るのか? このままだとすべてがバレる」
「………」
「私がチクらなくてもな。わかってるのか? あなたがどこの馬車を襲ったのかを!」
ナタリオ様が、レオンス様から目を逸らし俯いた。
「他国の侯爵の馬車だぞ。もし俺達が死んでいたらどうなったと思う? お前が思い描いていた未来なんて来ていない! 調べれば知れるんだよ、お前がやったって! そうなれば理由も知れて、戦争になっただろうな!」
戦争ですって!?
レオンス様が、怒鳴るように言ってナタリオ様を睨みつけている。本気で怒っているみたい。
「せ、戦争だなんて……」
「あり得るだろう? お前の所は王弟が下る貴族だろう。そこの息子が、侯爵家二家を巻き込んだんだ。ただで済むと思うか? 国際問題だ。お前の家が廃爵にならないと、戦争だと俺の親だと言う! そういう親なんだ」
えぇ、そうなの? そんなに怖そうに見えなかったんだけど。
「っは。片割れがいるだろう?」
「はぁ。そうだな。でもこっちにも色々あるんだ。いや今はそんなのどうでもいい。運がいい事に俺達は生きている。俺が事故だという事にしてやる。だから一発殴らせろ!」
「え……」
「レオンス様、何言ってるの?」
つい驚いて口を挟めば、黙っていろと睨まれたんだけど。
これマジです。
「っが……」
ひー! 本当に殴ったぁ!!!
結構思いっきりだわ。
ナタリオ様は、吹っ飛んで倒れた。
つかつかと彼に近づくとレオンス様は片膝を付き屈むと、ナタリオ様の胸倉を掴んで顔を覗き込む。
「いいか。本来なら一発殴られたぐらいでは許されない事をしたんだ。だが、他に知れると面倒になるから今回はこれで勘弁してやる。だからこれは貸しだ。いつか借りは返してもらうからな」
「………」
「返事は?」
「わ、わかった」
「だったら何か言う事はないか」
「巻き込んで済まなかった。もう襲わない」
ナタリオ様から手を離すと立ち上がり、汚れた膝を払う。
もう、確かに殴ったぐらいで許されない事をしたけどさ。
どうするのよこの頬。
私は、ハンカチを出すと水魔法で濡らした。
「はい。これで冷やして」
「あ、ありがとう。すまなかった」
震える手でハンカチを受け取り、腫れた頬に当てる。
「あなたは、シナリオの被害者だろうけど立ち止まって考えてほしかったな。亡命した者の子を――ガムン公爵の子とした子を養子にと言うか考えればわかるだろうに」
「……そうですね」
シナリオって。ナタリオ様は気付かなかったみたいだけど。
それより、フロール嬢を養子にってどういう事?
レオンス様には、全てわかっているみたいね。なぜよ。
「あ、こんなところにいたのですね。探しましたよ。陛下がお呼びです。って、ナタリオ様?」
私達を呼びに来たルイス様が、頬を抑えるナタリオ様を見て驚く。
「なんでもない。行こう」
「しかし……」
ルイス様が、ナタリオ様を見た後にレオンス様を非難する顔で見つめた。
どう考えてもこの状況じゃ、殴ったのはレオンス様だものね。
「彼は悪くないですよ。私がファビア嬢に恋をして、振ってもらう為に告白したんです。自分の気持ちにケリをつけるらめに。そこに彼が現れて。これぐらいしてもらった方が吹っ切れますから」
そう言うとナタリオ様が、立ち上がる。
「申し訳なかった」
ナタリオ様が、改めて頭を下げ私達に謝罪した。
「まあ、あれだ。変に思うから教室では普通にすれよ」
レオンス様が、そう言って歩き出す。
まだナタリオ様は頭を下げたままだ。
これでよかったんだよね。でも事件の事はどうするのかしら。
「まだ言っているのか」
「恰好悪いだろう」
レオンス様が、隣に座るエメリック様にこっそり耳打ちしている。聞こえてます。聞こえないフリするけど。
レオンス様は、朝までぐっすりだったらしい。
フロール嬢とはプチパジャマパーティーをした。前世でもした事ないのに。
そして、朝食を食べた後、四人で学園に向かっている馬車の中。
『で、フロール嬢に昨日の続き聞いたか?』
『聞いたわ』
『時間がない。簡潔に教えて』
落ち込んでいるのかと思ったけどそうでもないのね。
『ゲームでの犯人は、ナタリオ様だって。理由はマルシアール殿下に邪な感情を抱いたからと言ったらしいけど、本当の理由は王女の子とだと知ったからみたい。けどマルシアール殿下には知らせていなくて、単独行動。どうやって知ったのかも不明』
『わかった。ありがとう』
レオンス様は、ジーっと外を見つめて神妙な顔つきになった。あの顔好きなのよね。
ナタリオ様は、普通に学園に来ていた。犯人は、彼ではないのかしらね。けど、彼しか犯人が見当たらない。
◇
「相談ってなんだ? 君一人なのか?」
警戒しつつも彼は私の前に現れた。
まあ、彼が言う通り私がさっき風魔法で相談があるから誰にも言わずに一人で来てって言ったからだけどね。
「うん。あなたも誰にも言ってない?」
「あぁ。で、なんだ?」
「えーと……」
なんだと言われても、放課後になったらナタリオ様を風魔法で呼び出せって、馬車から降りる時にレオンス様に言われただけだから用件は知らないのよね。
「呼んだのは俺だからファビアは用件は知らない」
レオンス様が物陰から出てくると、ナタリオ様がハッとして警戒する。
「何の用だ」
「言わなくてもわかっているように見えるけど?」
「……わからないな。悪いけど私も暇ではないので――」
「裏取引をしよう」
レオンス様、何を言い出すの? 裏取引って何?
ナタリオ様が、目を見開いてレオンス様を見た。
「言っている意味がわからない」
「わからないだと? 突き止めたんだろう。フロール嬢が亡命してきた者の子だと」
ちょーと! レオンス様、もし知らなかったらどうするのよ。
でも、ナタリオ様は体をビクッとさせて反応を見せた。知っているみたいね。つまり犯人確定って事かしら。
「へえ、そうなんだ。で?」
「まだ白を切るのか? このままだとすべてがバレる」
「………」
「私がチクらなくてもな。わかってるのか? あなたがどこの馬車を襲ったのかを!」
ナタリオ様が、レオンス様から目を逸らし俯いた。
「他国の侯爵の馬車だぞ。もし俺達が死んでいたらどうなったと思う? お前が思い描いていた未来なんて来ていない! 調べれば知れるんだよ、お前がやったって! そうなれば理由も知れて、戦争になっただろうな!」
戦争ですって!?
レオンス様が、怒鳴るように言ってナタリオ様を睨みつけている。本気で怒っているみたい。
「せ、戦争だなんて……」
「あり得るだろう? お前の所は王弟が下る貴族だろう。そこの息子が、侯爵家二家を巻き込んだんだ。ただで済むと思うか? 国際問題だ。お前の家が廃爵にならないと、戦争だと俺の親だと言う! そういう親なんだ」
えぇ、そうなの? そんなに怖そうに見えなかったんだけど。
「っは。片割れがいるだろう?」
「はぁ。そうだな。でもこっちにも色々あるんだ。いや今はそんなのどうでもいい。運がいい事に俺達は生きている。俺が事故だという事にしてやる。だから一発殴らせろ!」
「え……」
「レオンス様、何言ってるの?」
つい驚いて口を挟めば、黙っていろと睨まれたんだけど。
これマジです。
「っが……」
ひー! 本当に殴ったぁ!!!
結構思いっきりだわ。
ナタリオ様は、吹っ飛んで倒れた。
つかつかと彼に近づくとレオンス様は片膝を付き屈むと、ナタリオ様の胸倉を掴んで顔を覗き込む。
「いいか。本来なら一発殴られたぐらいでは許されない事をしたんだ。だが、他に知れると面倒になるから今回はこれで勘弁してやる。だからこれは貸しだ。いつか借りは返してもらうからな」
「………」
「返事は?」
「わ、わかった」
「だったら何か言う事はないか」
「巻き込んで済まなかった。もう襲わない」
ナタリオ様から手を離すと立ち上がり、汚れた膝を払う。
もう、確かに殴ったぐらいで許されない事をしたけどさ。
どうするのよこの頬。
私は、ハンカチを出すと水魔法で濡らした。
「はい。これで冷やして」
「あ、ありがとう。すまなかった」
震える手でハンカチを受け取り、腫れた頬に当てる。
「あなたは、シナリオの被害者だろうけど立ち止まって考えてほしかったな。亡命した者の子を――ガムン公爵の子とした子を養子にと言うか考えればわかるだろうに」
「……そうですね」
シナリオって。ナタリオ様は気付かなかったみたいだけど。
それより、フロール嬢を養子にってどういう事?
レオンス様には、全てわかっているみたいね。なぜよ。
「あ、こんなところにいたのですね。探しましたよ。陛下がお呼びです。って、ナタリオ様?」
私達を呼びに来たルイス様が、頬を抑えるナタリオ様を見て驚く。
「なんでもない。行こう」
「しかし……」
ルイス様が、ナタリオ様を見た後にレオンス様を非難する顔で見つめた。
どう考えてもこの状況じゃ、殴ったのはレオンス様だものね。
「彼は悪くないですよ。私がファビア嬢に恋をして、振ってもらう為に告白したんです。自分の気持ちにケリをつけるらめに。そこに彼が現れて。これぐらいしてもらった方が吹っ切れますから」
そう言うとナタリオ様が、立ち上がる。
「申し訳なかった」
ナタリオ様が、改めて頭を下げ私達に謝罪した。
「まあ、あれだ。変に思うから教室では普通にすれよ」
レオンス様が、そう言って歩き出す。
まだナタリオ様は頭を下げたままだ。
これでよかったんだよね。でも事件の事はどうするのかしら。
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