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第81話
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馬車に向かっていると、ひょこっとフロール嬢が出て来た。
彼女は隠れて全部見ていたのよ。
「あ、フロール嬢。よかった。どこにいたのですか? 陛下がお呼びです」
「はい」
こうして、私達は城へと向かった。
口供室に通されると、陛下とノーモノミヤ公爵が待っていた。
「昨日は大変だったな。話を聞いても大丈夫かな?」
「はい。大丈夫です」
陛下の言葉に、レオンス様が返すと私とフロール嬢も大丈夫だと頷く。
「して、何かトラブルはなかったか。どんな些細な事でも構わない」
「陛下。私から、その、お話があります」
少し歯切れの悪く、いつもの堂々した態度ではない。
「なんだ。秘密ごとなら二人で聞くが」
「いえ。そこまでは……」
「何か事を起こしたのですか? だとしたらきちんと話して下さい」
ノーモノミヤ公爵が、魔法陣の件もあるので何かやらかした結果襲われたのかと勘繰っている様子。
もしかして、ノーモノミヤ公爵は私達を問題児と認知したのかもしれない。
「じ、実は、馬の傷は私がつけてしまったものなんです」
「うん? どういうことだね」
「その、風魔法で落下速度を調整していたのですが、生き物に使った事はなく、傷つけてしまいました。すみません。話をややこしくしてしまいました」
頭を下げるレオンス様に、陛下とノーモノミヤ公爵は顔を見合わせる。
襲われた証拠は、馬の傷だからね。
「嘘ではないのだな?」
「はい。申し訳ありません。昨日は疲れてしまって、誰にも言えず、今日に至ってしまいました」
「ふう。とりあえずわかった。事故と言う事だな」
陛下達からすれば、タカビーダ侯爵家の馬車が狙われたのだから、タカビーダ侯爵家が狙われたとなったはず。
もしかしたらと思っても、その相手は私。フロール嬢が狙われたとは思わないわよね。
亡命したフロール嬢の母親はすでに亡くなっており、彼女がその子供だと知り得る事はないのだから。
レオンス様が調べても知れなかったのだから。
ただナタリオ様は知ったのよね。シナリオの強制力って凄いわ。
でも素晴らしい演技だわ。
あれなら二人は騙されるわね。いつも臆することなく意見するレオンス様が、おずおずした様子で意見したのだから。
あっぱれというしかないわね。
「まあ、狙われたわけではないとわかって安堵したよ。あれを馬を少し怪我させただけですませたのだから、そう落ち込む事はないだろう」
「はい。ありがとうございます」
ノーモノミヤ公爵の言葉に、安堵した様子まで見せているわ。
「今回の事の報告書は、明日にでも渡すと両家に伝えておいてほしい。では、帰ってゆっくり休むように」
「あ、そうでした。フロール嬢なのですが、ファビアがどうしても彼女を暫く泊めたいと言うので、宜しいですよね」
あ、もういつもの調子に戻っている。
「あぁ、そうだな。ファビア嬢。フロール嬢の事を頼む」
「はい!」
陛下にお願いされてしまったわ。
私達が、真実を知っているとは思っていないでしょうから、ガムン公爵が捕まって、ガムン公爵の隠し子だと知っている育ての親の所には居づらいからの配慮だと思っているのよね。
「はあ。疲れた」
馬車に乗ると、私の隣で少しだらしない格好でレオンス様が言った。
エメリック様は、先に帰ってもらっている。
「そうだ。家に寄っていくだろう」
「うん」
「滅茶苦茶、嬉しそうだな」
レオンス様が、ニヤリとする。
「俺って愛されてる~」
「な! ケーキが楽しみなの!」
「私がいるの忘れないでくれる?」
「おっと。羨ましいか? だったらお前も婚約者つくれよ。その為の学園だろう?」
「……気楽に言わないでよ。ガムン公爵の隠し子だとバレれば、ガムン公爵が失脚したのだから手を上げる令息がいるわけないじゃない」
「どちらにしてもフロール嬢が婿を取って、継ぐんだろう」
「いいのかしらね。血の繋がりが一切ないのに」
「それが陛下の意向だ。気持ちをリセットしろよ。ゲームの世界かもしれないが、それだけだ。もう脅威もない」
「そうね。あなたに出会えてよかったわ。ありがとう」
泣きそうな笑顔でフロール嬢が言うから、好きな人はいないって昨日の夜言ってたけど、本当はレオンス様が好きだったのとか不安になっちゃう。
「貴族学園を卒業したら魔法学園を受けようかしら」
「魔法使いになるのも悪くないぞ。陛下がいいと言うのなら年齢の上限はないから挑戦するのもいいんじゃないか」
「魔法使いね。うふふふ。何だか懐かしい響き。この世界ではそう言わないもの」
「おっと、また間違った」
むむむ。楽しいそうじゃないか、レオンス殿?
「まったくお前は、顔にすぐでるな。かわいいやつめ」
「ひゃ! 抱き着かないでよ」
「見ているのは、フロール嬢だけだ」
「だからでしょう!」
「もう、好きにして……」
ほら、フロール嬢も呆れちゃったじゃない。
それに恥ずかしいからやめてよね。
――◇――◆――◇――
二人がじゃれ合うのを見ると、胸がキュッと痛い。
今は他の人を探す気になれないのよね。
さっきは、恰好良かったわ。魔法ではなく拳ですもの。
私は、あなたと同じ魔法使いを目指すわ。
でもなぜナタリオ様が犯人だとして、理由までわかったのかしら。ゲームでも語られていなかったのに。
彼女は隠れて全部見ていたのよ。
「あ、フロール嬢。よかった。どこにいたのですか? 陛下がお呼びです」
「はい」
こうして、私達は城へと向かった。
口供室に通されると、陛下とノーモノミヤ公爵が待っていた。
「昨日は大変だったな。話を聞いても大丈夫かな?」
「はい。大丈夫です」
陛下の言葉に、レオンス様が返すと私とフロール嬢も大丈夫だと頷く。
「して、何かトラブルはなかったか。どんな些細な事でも構わない」
「陛下。私から、その、お話があります」
少し歯切れの悪く、いつもの堂々した態度ではない。
「なんだ。秘密ごとなら二人で聞くが」
「いえ。そこまでは……」
「何か事を起こしたのですか? だとしたらきちんと話して下さい」
ノーモノミヤ公爵が、魔法陣の件もあるので何かやらかした結果襲われたのかと勘繰っている様子。
もしかして、ノーモノミヤ公爵は私達を問題児と認知したのかもしれない。
「じ、実は、馬の傷は私がつけてしまったものなんです」
「うん? どういうことだね」
「その、風魔法で落下速度を調整していたのですが、生き物に使った事はなく、傷つけてしまいました。すみません。話をややこしくしてしまいました」
頭を下げるレオンス様に、陛下とノーモノミヤ公爵は顔を見合わせる。
襲われた証拠は、馬の傷だからね。
「嘘ではないのだな?」
「はい。申し訳ありません。昨日は疲れてしまって、誰にも言えず、今日に至ってしまいました」
「ふう。とりあえずわかった。事故と言う事だな」
陛下達からすれば、タカビーダ侯爵家の馬車が狙われたのだから、タカビーダ侯爵家が狙われたとなったはず。
もしかしたらと思っても、その相手は私。フロール嬢が狙われたとは思わないわよね。
亡命したフロール嬢の母親はすでに亡くなっており、彼女がその子供だと知り得る事はないのだから。
レオンス様が調べても知れなかったのだから。
ただナタリオ様は知ったのよね。シナリオの強制力って凄いわ。
でも素晴らしい演技だわ。
あれなら二人は騙されるわね。いつも臆することなく意見するレオンス様が、おずおずした様子で意見したのだから。
あっぱれというしかないわね。
「まあ、狙われたわけではないとわかって安堵したよ。あれを馬を少し怪我させただけですませたのだから、そう落ち込む事はないだろう」
「はい。ありがとうございます」
ノーモノミヤ公爵の言葉に、安堵した様子まで見せているわ。
「今回の事の報告書は、明日にでも渡すと両家に伝えておいてほしい。では、帰ってゆっくり休むように」
「あ、そうでした。フロール嬢なのですが、ファビアがどうしても彼女を暫く泊めたいと言うので、宜しいですよね」
あ、もういつもの調子に戻っている。
「あぁ、そうだな。ファビア嬢。フロール嬢の事を頼む」
「はい!」
陛下にお願いされてしまったわ。
私達が、真実を知っているとは思っていないでしょうから、ガムン公爵が捕まって、ガムン公爵の隠し子だと知っている育ての親の所には居づらいからの配慮だと思っているのよね。
「はあ。疲れた」
馬車に乗ると、私の隣で少しだらしない格好でレオンス様が言った。
エメリック様は、先に帰ってもらっている。
「そうだ。家に寄っていくだろう」
「うん」
「滅茶苦茶、嬉しそうだな」
レオンス様が、ニヤリとする。
「俺って愛されてる~」
「な! ケーキが楽しみなの!」
「私がいるの忘れないでくれる?」
「おっと。羨ましいか? だったらお前も婚約者つくれよ。その為の学園だろう?」
「……気楽に言わないでよ。ガムン公爵の隠し子だとバレれば、ガムン公爵が失脚したのだから手を上げる令息がいるわけないじゃない」
「どちらにしてもフロール嬢が婿を取って、継ぐんだろう」
「いいのかしらね。血の繋がりが一切ないのに」
「それが陛下の意向だ。気持ちをリセットしろよ。ゲームの世界かもしれないが、それだけだ。もう脅威もない」
「そうね。あなたに出会えてよかったわ。ありがとう」
泣きそうな笑顔でフロール嬢が言うから、好きな人はいないって昨日の夜言ってたけど、本当はレオンス様が好きだったのとか不安になっちゃう。
「貴族学園を卒業したら魔法学園を受けようかしら」
「魔法使いになるのも悪くないぞ。陛下がいいと言うのなら年齢の上限はないから挑戦するのもいいんじゃないか」
「魔法使いね。うふふふ。何だか懐かしい響き。この世界ではそう言わないもの」
「おっと、また間違った」
むむむ。楽しいそうじゃないか、レオンス殿?
「まったくお前は、顔にすぐでるな。かわいいやつめ」
「ひゃ! 抱き着かないでよ」
「見ているのは、フロール嬢だけだ」
「だからでしょう!」
「もう、好きにして……」
ほら、フロール嬢も呆れちゃったじゃない。
それに恥ずかしいからやめてよね。
――◇――◆――◇――
二人がじゃれ合うのを見ると、胸がキュッと痛い。
今は他の人を探す気になれないのよね。
さっきは、恰好良かったわ。魔法ではなく拳ですもの。
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