騎士は愛を束ね、運命のオメガへと跪く

夕凪

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騎士の帰還

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 内ももをこすり合わせると、いたずらな手がそこへ伸びてきた。鼠径部を撫でさすられ、薄い下生えをくすぐられ、陰茎を指の背でつーっとこすり上げられた。
 かと思うとゴツゴツとしたてのひらでやわらかく握り込まれた。
 そのまま上下に扱かれて、エミールはあっという間に追い詰められる。

「ひんっ……あっ、さ、さわら、あっ、あっ」
「触らせてくれ。おまえの、どこもかしこも。エル、エミール、私のエミール」

 クラウスの愛撫は情熱的だった。
 どこもかしこもにキスの雨が降り、それはやがてエミールの勃起したそこにも辿り着いた。

「うそ……いや、あっ、あんっ、だめ、だめ、っだ、だめだってばぁぁ、あっ、んんんっ!」

 雄蕊を咥えられ、ちゅばっと舐められた直後、エミールは法悦を放った。足がピンと伸びて、体が勝手に跳ねる。
 はっ、はっ、と息を乱すエミールの内ももを撫でた手を、クラウスが膝裏へと置いて、持ち上げる。

「足を伸ばすな。癖になる」
「な……あ、あぅ……」

 なにを言われたかよくわからないまま、エミールは促されるまま折り曲げた片足を上げた。
 白濁を放ってくたりと萎えた性器を、クラウスがまた口に含もうとしている。

「いや……も、もう、しないで」
「まだこれからだろう」
「あっ、だ、だめだって! あっ、あっ、ああああっ」

 ぬちゅり、と唾液を纏った舌が達したばかりのそれを舐めた。

「おまえの蜜は、甘いな」

 そんなはずはない。精液が甘いなんてこと、あるはずがない。でも美味しそうにしゃぶられて、頭がどうにかなりそうだ。

「だめ、だめ、こわい、から、やめて……あ、ん、んぅぅっ」

 知らない感覚がせりあがってくる。

 クラウスと初めて会ったとき、エミールはヒートを起こしていた。睡眠薬と抑制剤を与えられたから、そのときのことは全然覚えていない。
 そしてそれ以降は薬で発情期を抑えていたし、自慰もほとんどしてこなかった。
 だから性的な経験はこれが初めてと言ってもいい。それなのにクラウスは全然手加減をしてくれない。

「んんん~っ! あっ! だめ、くる、なにかくるっ」

 大きな波にさらわれそうになったエミールだったが、クラウスがおもむろに口から性器を離したことで、上がることも下がることもできずにただ呼気を乱した。

「幾度でも達させてやりたいが、体力がもたないな。それはまた次にしよう」
「ふぁ……な、なに」
「エル、ここ、いいか?」
「ん……」

 皮膚がビリビリと過敏になっている。熱い息をつきながら、尋ねられた意味もよくわからないままに、エミールはこくりと頷いた。
 するとクラウスの手が、唾液と精液でびしょびしょになった性器の奥、尻のあわいに伸びてきた。

 指の腹ですぼまりを押され、エミールはひくんと体を跳ねさせた。

「そ、そこ……」
「濡れているな」
「え……んぁ……」

 秘蕾を撫でた指を、クラウスが一度上に掲げた。節の高い男の指に、エミールの愛液がぬらぬらと纏わりついていた。
 後ろが濡れるなんて、とエミールは恥ずかしさに消えてしまいたくなった。

 男性体のオメガは、発情期には後孔が性器様となる。牡を欲して、女のそこのように濡れるのだ。
 一度快感の回路が繋がってしまえば、ヒートでないときも相手を受け入れようとして愛液を分泌するようになる。
 それは知識として知っていたが、エミールはまだ誰とも繋がったことがないのに、こころに同調したのか体も浅ましくクラウスを欲しているのを知られてしまい、居たたまれない気持ちになった。
 
 しかしエミールのアルファが。

「私を求めてくれているのか。嬉しい」
 
 嬉しい、と繰り返して蒼い瞳を細めたから。
 エミールも、恥ずかしいよりも喜びの方が大きくなって、後ろがますますじゅわりと濡れてしまう。

 とろとろになったそこに、クラウスが舐めて濡らした指を、ぷちゅりと押し込んできた。

「んぁ……」

 中指で体内を探られる。指を受け入れてた内壁が、勝手にぎゅうっと引き絞る動きを見せた。

「狭いな。私を締め付けてくる」
「い、ちいち、いわなくて、いいっ」
「エル、おまえの中は熱い」
「だか、らっ、あっ、ああっ」

 とん、とお腹側の方を押された。とん、とん。続けざまにそこを刺激され、全身がびりびりと震えた。

「ちょ、あっ、あんっ、な、や、や、やだっ」
「気持ちいいか?」
「いやっ、あっ、あっ、あっ」

 いつの間にか指が二本に増えていた。クラウスがそれを動かすたびに、くちゅ、ぷちゅ、っと淫らな水音が鳴った。

「ま、まって、まって、いやっ、あっ、ま、あっ、いくっ、いくぅっ」

 感じる場所を重点的に攻められて、エミールは浮いていた足の爪先を丸めた。
 唸り声が無意識に漏れた。
 ダメだ、と思った瞬間体が大きく跳ね、絶頂に押し上げられた。

 ひくっ、ひくっ、と後蕾が蠢いている。クラウスがそこからちゅぽ……と指を引き抜いた。

「んぁ……あ、なに……」

 エミールの陰茎をクラウスがそっと撫でた。
 達した、と思ったのにそこからは白濁は出ていなかった。

「後ろだけでイったな」

 クラウスが囁いた。すこし掠れた声が艶っぽく、聞いているだけでエミールの下腹部が疼いた。

「うしろ、だけ……?」
「エル、もうすこしだけ、頑張ってくれ」
「え……ひぁっ、あっ、ああっ」

 クラウスがエミールの足を深く折り曲げた。シーツから尻が浮き上がる。そこに男の顔が近づいて、まさかと思う暇もなく、後孔を舐められた。
 くちゅり、と唾液をまぶすように舌を入れられ、中を潤される。

 嘘だ嘘だ、とエミールは闇雲に首を横に振った。
 高貴なる第二王子で、崇高なアルファで、誇りある騎士が。エミールの後ろを舐めるなんて。
 恥ずかしい。恥ずかしくて逃げたい。でも足をしっかりと抱えられているから逃げられない。

「ああぁ~っ、あっ、いやっ、だめっ、らすっ、らすっ」
「エル、おまえに痛みを与えたくはない。もうすこし広げるぞ」
「ひんっ、あっ、あぅっ……あ、あ、あ」

 指での愛撫も再開された。
 ひだを舌先でくすぐるように舐められ、愛液と唾液で濡れた狭隘な内側を節の高い指がほぐしてゆく。もう何本入っているかわからない。

 切れ切れに喘いでいたエミールが、また達しそうになった段でようやく唇と指が離れていった。
 熱い息を吐きながら、エミールは男を見上げた。

「エル、いいか?」

 クラウスが眉を寄せて顔を歪めながら、低く問うてきた。
 彼の片手は、自身の隆々と猛った男根に添えられていた。
 エミールの体を開いている間、クラウスはおのれの欲望をずっと我慢していたのだ。

 自分のものとは大きさも色も違う、男らしいその怒張に、エミールはこくりと唾液を飲み込み、かすかな仕草で顎を揺らした。

「ありがとう」

 クラウスが微笑した。
 金の髪をかき上げ、ふぅ、と一度息を吐いて。

 クラウスのそれが、エミールの蕾にひたりと当てられた。 
    
    
 
  
 
 
  
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