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狼と名もなき墓標
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エミールは使者へと話しかけた。
「至急、王城にということですが……呼び出される理由がオレにはわかりません」
「は……。ですが王太子殿下の命令にございます」
「そうですか、わかりました。ではすぐに、と言いたいところですが、先ほど雨に打たれてしまいました。濡れた服では失礼に当たりますので、着替えさせてください」
「エミール様。体も温めなければなりません。もうじき日も暮れます。使者殿、登城を明日の昼間にしていただくことはできませんか? いまから冷え込む時間帯になりますれば、エミール様のお体に障りますので」
スヴェンがすかさず口添えをしてきた。
わざわざ窓の方へと顔を向けた侍従につられたように、使者もそちらを見た。鈍い曇天から雨粒が落ちている。風も出てきたのか、常緑樹の枝が不穏に揺れていた。
さすがにこの天候で妊娠中のオメガを引っ張っていくのは気が引けたのか、使者の眉が困惑に寄せられた。
「明日の昼の登城でいいか、マリウス様に聞いていただけませんか。オレも、寒気が……」
エミールはおのれの肩を抱いて、身を震わせた。ふだんはか弱く見られないよう気をつけていたが、いまはそんなことを気にしている場合ではなかった。使えるものは使わなければ。
ついでに足元をふらつかせたエミールを、スヴェンが支え、批難の色を織り交ぜた目で使者を睨んだ。
「エミール様が身籠っておられるのはクラウス殿下の御子です。即ち、王太子殿下とも血の繋がりがございます。その御子に万一のことがあればどうされるおつもりか。それは王太子殿下の望むところではありますまい」
「しかし……」
「是非とも王太子殿下にご確認を。その上ですぐさま参れということであれば、こちらとしてもそのように対応いたしますので」
スヴェンが慇懃に頭を下げた。
使者はしばらく懊悩するように沈黙していたが、最終的には「わかりました」と首を縦に振った。
「一度戻り、マリウス殿下に確認をとって参ります。殿下からの沙汰があるまでは、エミール様におかれましては不用意な行動は慎んでいただき、ここを動かずにお待ちください」
「わかりました」
使者の言葉に、エミールは頷いた。それを確認して、彼は慌ただしい足取りで引き上げて行った。
雨足が強くなっている。窓ガラスに手をついて、使者の馬が走ってゆくのを見つめながら、エミールは小さく吐息した。
マリウスの指示通り、すこしは時間を稼げただろうか。
なぜ突然、自分に造反の疑惑がかけられたのか。誰のどんな思惑に巻き込まれているのか。そしてクラウスは。彼は無事なのか。
様々なことが胸で渦巻き、不安に指先が震えた。
「エミール様、ゆっくりしている暇はありません。行きましょう」
背後から声をかけられ、エミールは驚いて振り向いた。
見れば外套を着込んだスヴェンが、背中に大きな荷を背負っている。執事の姿もあったので、彼が用意したのだろう。
「行くって、どこへ?」
マリウスからの返事が来るまで、この屋敷でおとなしく待っているのではないのか。
戸惑いながらそう言うと、スヴェンが「いいえ」と答えた。
「恐らく、明日の午後までの時間は与えられないでしょう」
「でもマリウス様が」
「エミール様。王城の動きが私の想定よりも早いのです。エミール様への嫌疑が叫ばれ、直後にこうして登城命令が来ている。マリウス殿下でも止められない速度で、です。あなたを陥れようとしている何者かが、周到に準備をした結果でしょう」
淡々と告げられ、エミールは息を飲んだ。
いったい誰が。
「犯人捜しは後です。いまはマリウス殿下の指示通り、時間を稼がなければ」
「時間……」
「動きが早い、ということは時間をかけたくない、ということと同義です。つまり我々が時間を稼げば稼ぐほどに、敵にとっては不利になるなにかがある、ということです」
スヴェンの言葉は、理路整然として聞こえた。
不測の事態に翻弄され、碌に対応策も練れない自分とは大違いだ。エミールはおのれを恥じる気持ちを深呼吸とともに逃がして、こぶしを握った。
「わかった。でも、どこへ行けば……」
こういうときに頼るべき後ろ盾が、エミールにはない。
マリウスやアマーリエは王城に居るから、そこへ逃げ込むわけにはいかない。クラウスが不在の中、他に誰を頼ればいいのか。
「私が先導します。一緒に来てください」
「どこに」
「歩きながら説明します」
一秒を惜しむ口調で促され、エミールは覚悟を決めた。
温かい格好をするように言われ、厚手のコートを羽織り、マフラーを巻いて手袋をはめる。
執事がきびきびとした動きでドアを開き、エミールを地下室へと案内した。
「お願いします」
スヴェンが執事へ声をかけると、頷いた彼が絨毯をはがし、床板の一部を動かした。そこに現れたのは隠し通路だ。
どこに続く通路なのだろう。
エミールは真っ暗な穴の奥を見て、すこし恐ろしくなった。
ランタンを手にしたスヴェンが、力づけるようにひとつ頷く。
「エミール様。中は暗いのでお持ちください」
執事が小ぶりのランタンをエミールにも手渡してくれる。
「ありがとうございます」
「私は残って時間を稼ぎます。どうぞ、ご無事で」
「はい。この家を、よろしくお願いします」
クラウスの屋敷。ここに残る執事や使用人たちが、どうか罰せられることのないよう、エミールは願った。
エミールの悲痛な思いを感じ取ったのか、執事が笑みを浮かべた。
「私共は大丈夫ですよ。有事の際の動きは、クラウス様に叩き込まれております」
力強い言葉だった。
エミールは幾度も頷き、離れがたい気持ちを振り払って、足を踏み出した。
「石段です。滑らないように」
先に立つスヴェンに注意を促され、慎重に下へと伸びる階段を降りた。
エミールが最後の段を降り切ると、スヴェンが短い口笛を鳴らした。それを合図に、執事が隠し扉をゆっくりと閉じた。光源がいよいよランタンの灯かりだけになる。
地下通路は意外と温かかった。エミールは途中、マフラーと手袋を外した。スヴェンが小さめの革の袋をくれたので、それに入れて肩に下げた。
灯かりが届くのは自分の周囲だけで、前も後ろも真っ暗だ。こんな道をひとりで歩く羽目にならなくて良かった。エミールはすぐ前を歩くスヴェンの存在に感謝した。
スヴェンが顔を振り向け、
「早いですか?」
と問うてきた。
「ううん、大丈夫。それより、前じゃなくて隣を歩いてもらえたら嬉しいんだけど」
スヴェンが軽く眉を上げ、
「怖いですか?」
と質問を重ねてきた。
「スヴェンは怖くないの?」
「私はべつに」
「オレもべつに、暗いのは平気だと思ってたけど……ちょっと、想像以上に真っ暗で」
及び腰になってるエミールを、スヴェンは笑ったりはしなかった。彼はランタンで左右の幅を確認して、エミールの左隣りに来てくれた。
「私の腕を掴んでていいですよ」
「ありがとう」
「ですが、クラウス様には言わないでくださいね」
「なんで?」
スヴェンがいかに頼りになるか、クラウスが戻ってきたら真っ先に報告しなければ。エミールはそう思ったが、侍従はひどく嫌そうに首を横に振った。
「あなたと暗闇に二人きりになって、あまつさえ腕を組んだと知られたら、私のいのちがなくなります」
スヴェンなりの冗談だったのだろう。エミールはその場面を想像して、小さく笑いながら、侍従の腕に掴まらせてもらった。
「至急、王城にということですが……呼び出される理由がオレにはわかりません」
「は……。ですが王太子殿下の命令にございます」
「そうですか、わかりました。ではすぐに、と言いたいところですが、先ほど雨に打たれてしまいました。濡れた服では失礼に当たりますので、着替えさせてください」
「エミール様。体も温めなければなりません。もうじき日も暮れます。使者殿、登城を明日の昼間にしていただくことはできませんか? いまから冷え込む時間帯になりますれば、エミール様のお体に障りますので」
スヴェンがすかさず口添えをしてきた。
わざわざ窓の方へと顔を向けた侍従につられたように、使者もそちらを見た。鈍い曇天から雨粒が落ちている。風も出てきたのか、常緑樹の枝が不穏に揺れていた。
さすがにこの天候で妊娠中のオメガを引っ張っていくのは気が引けたのか、使者の眉が困惑に寄せられた。
「明日の昼の登城でいいか、マリウス様に聞いていただけませんか。オレも、寒気が……」
エミールはおのれの肩を抱いて、身を震わせた。ふだんはか弱く見られないよう気をつけていたが、いまはそんなことを気にしている場合ではなかった。使えるものは使わなければ。
ついでに足元をふらつかせたエミールを、スヴェンが支え、批難の色を織り交ぜた目で使者を睨んだ。
「エミール様が身籠っておられるのはクラウス殿下の御子です。即ち、王太子殿下とも血の繋がりがございます。その御子に万一のことがあればどうされるおつもりか。それは王太子殿下の望むところではありますまい」
「しかし……」
「是非とも王太子殿下にご確認を。その上ですぐさま参れということであれば、こちらとしてもそのように対応いたしますので」
スヴェンが慇懃に頭を下げた。
使者はしばらく懊悩するように沈黙していたが、最終的には「わかりました」と首を縦に振った。
「一度戻り、マリウス殿下に確認をとって参ります。殿下からの沙汰があるまでは、エミール様におかれましては不用意な行動は慎んでいただき、ここを動かずにお待ちください」
「わかりました」
使者の言葉に、エミールは頷いた。それを確認して、彼は慌ただしい足取りで引き上げて行った。
雨足が強くなっている。窓ガラスに手をついて、使者の馬が走ってゆくのを見つめながら、エミールは小さく吐息した。
マリウスの指示通り、すこしは時間を稼げただろうか。
なぜ突然、自分に造反の疑惑がかけられたのか。誰のどんな思惑に巻き込まれているのか。そしてクラウスは。彼は無事なのか。
様々なことが胸で渦巻き、不安に指先が震えた。
「エミール様、ゆっくりしている暇はありません。行きましょう」
背後から声をかけられ、エミールは驚いて振り向いた。
見れば外套を着込んだスヴェンが、背中に大きな荷を背負っている。執事の姿もあったので、彼が用意したのだろう。
「行くって、どこへ?」
マリウスからの返事が来るまで、この屋敷でおとなしく待っているのではないのか。
戸惑いながらそう言うと、スヴェンが「いいえ」と答えた。
「恐らく、明日の午後までの時間は与えられないでしょう」
「でもマリウス様が」
「エミール様。王城の動きが私の想定よりも早いのです。エミール様への嫌疑が叫ばれ、直後にこうして登城命令が来ている。マリウス殿下でも止められない速度で、です。あなたを陥れようとしている何者かが、周到に準備をした結果でしょう」
淡々と告げられ、エミールは息を飲んだ。
いったい誰が。
「犯人捜しは後です。いまはマリウス殿下の指示通り、時間を稼がなければ」
「時間……」
「動きが早い、ということは時間をかけたくない、ということと同義です。つまり我々が時間を稼げば稼ぐほどに、敵にとっては不利になるなにかがある、ということです」
スヴェンの言葉は、理路整然として聞こえた。
不測の事態に翻弄され、碌に対応策も練れない自分とは大違いだ。エミールはおのれを恥じる気持ちを深呼吸とともに逃がして、こぶしを握った。
「わかった。でも、どこへ行けば……」
こういうときに頼るべき後ろ盾が、エミールにはない。
マリウスやアマーリエは王城に居るから、そこへ逃げ込むわけにはいかない。クラウスが不在の中、他に誰を頼ればいいのか。
「私が先導します。一緒に来てください」
「どこに」
「歩きながら説明します」
一秒を惜しむ口調で促され、エミールは覚悟を決めた。
温かい格好をするように言われ、厚手のコートを羽織り、マフラーを巻いて手袋をはめる。
執事がきびきびとした動きでドアを開き、エミールを地下室へと案内した。
「お願いします」
スヴェンが執事へ声をかけると、頷いた彼が絨毯をはがし、床板の一部を動かした。そこに現れたのは隠し通路だ。
どこに続く通路なのだろう。
エミールは真っ暗な穴の奥を見て、すこし恐ろしくなった。
ランタンを手にしたスヴェンが、力づけるようにひとつ頷く。
「エミール様。中は暗いのでお持ちください」
執事が小ぶりのランタンをエミールにも手渡してくれる。
「ありがとうございます」
「私は残って時間を稼ぎます。どうぞ、ご無事で」
「はい。この家を、よろしくお願いします」
クラウスの屋敷。ここに残る執事や使用人たちが、どうか罰せられることのないよう、エミールは願った。
エミールの悲痛な思いを感じ取ったのか、執事が笑みを浮かべた。
「私共は大丈夫ですよ。有事の際の動きは、クラウス様に叩き込まれております」
力強い言葉だった。
エミールは幾度も頷き、離れがたい気持ちを振り払って、足を踏み出した。
「石段です。滑らないように」
先に立つスヴェンに注意を促され、慎重に下へと伸びる階段を降りた。
エミールが最後の段を降り切ると、スヴェンが短い口笛を鳴らした。それを合図に、執事が隠し扉をゆっくりと閉じた。光源がいよいよランタンの灯かりだけになる。
地下通路は意外と温かかった。エミールは途中、マフラーと手袋を外した。スヴェンが小さめの革の袋をくれたので、それに入れて肩に下げた。
灯かりが届くのは自分の周囲だけで、前も後ろも真っ暗だ。こんな道をひとりで歩く羽目にならなくて良かった。エミールはすぐ前を歩くスヴェンの存在に感謝した。
スヴェンが顔を振り向け、
「早いですか?」
と問うてきた。
「ううん、大丈夫。それより、前じゃなくて隣を歩いてもらえたら嬉しいんだけど」
スヴェンが軽く眉を上げ、
「怖いですか?」
と質問を重ねてきた。
「スヴェンは怖くないの?」
「私はべつに」
「オレもべつに、暗いのは平気だと思ってたけど……ちょっと、想像以上に真っ暗で」
及び腰になってるエミールを、スヴェンは笑ったりはしなかった。彼はランタンで左右の幅を確認して、エミールの左隣りに来てくれた。
「私の腕を掴んでていいですよ」
「ありがとう」
「ですが、クラウス様には言わないでくださいね」
「なんで?」
スヴェンがいかに頼りになるか、クラウスが戻ってきたら真っ先に報告しなければ。エミールはそう思ったが、侍従はひどく嫌そうに首を横に振った。
「あなたと暗闇に二人きりになって、あまつさえ腕を組んだと知られたら、私のいのちがなくなります」
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