77 / 127
狼と名もなき墓標
10
しおりを挟む
「クラウス様は齢五歳で我々の存在を知りました。そして、マリウス様も。マリウス様の方はライカンスロープなるものが本当に存在するのかを確かめるために、敢えて隠し通路を辿ってきたようです」
「えっ?」
「好奇心旺盛な王太子殿下に、里の長も苦笑いをしていたと聞いています」
「遭難したんじゃなかったんだ」
「いえ。山道に迷ったのは本当のようですよ。迷子の二人を見つけたのが、当時里に居ついていた狼だったようです」
里に保護された二人の王子は、以降『狼』たちと交流を重ねてきたという。
クラウスが『狼』たちを私兵として雇いたいと言い出したとき、真っ先に反対したのはマリウスだった。
里の民を二度と戦には巻き込まない。それが先王たちの願いだ、と。
しかしクラウスは、『狼』たちに頭を下げ、力を貸してほしいと乞うた。
「クラウス様は仰いました。我々一族に自由を与えたい、と。そのためには国内の憂いを払い、マリウス様の理想とする平和な世をつくらなければならない、と」
マリウスの治める国。そこでは『狼』たちも誰にも憚ることなく堂々と暮らしていけるはずだ。
クラウスの熱弁を、スヴェンは、
「正直、笑ってしまいました」
と評した。
「笑った? なんで?」
「クラウス様が、あんまり的外れなことを言うので」
的外れ? そうだろうか。エミールは、『狼』たちに自由を与えたいとするクラウスの言葉は、それほどおかしくないと思うのだが。
疑問を覚えたエミールに、スヴェンが軽く首を横に振った。
「我々一族は、新たな里を与えられて以降、ミュラー家のために尽くしてきました。そこで我々は知ってしまった。主君に仕える歓びを。一族の中で受け継がれてきた体術は、主君に使われてこそ活きるんです。それに、クラウス様は勘違いをしている。我々は亡霊であることを強要されたわけじゃない。これまでに幾度も、ミュラー家からは自由になって良いと言われていたのですから」
つまりは自己満足の類だと、スヴェンは言った。
「時代はもはや変わっている。里も、それに合わせて着実に変化しています。自由になりたい者はとっくに里を出て、市井の民として生きている。残っている者は、王家に仕えたいという『亡霊』だけなんですよ」
「それ、クラウス様は……」
「もちろんご存知です。ですからあのひとは我々に、ひと言命じるだけで良かった。私のために尽くせ、と」
「でも、そんなふうには言わないよね、ラスは」
「はい。クラウス様は我々に、契約せよと仰いました。主君と従者として、対等な契約を」
主従で対等とは、またおかしな言葉だ。
エミールの感想に、スヴェンも同意する。
「『狼』はクラウス様個人に仕える私兵として、クラウス様の命令を遵守します。ただ、クラウス様はこうも言いました。私の命令が聞くに値しないと思えば、従わなくて良い、と」
「逆らっていいんだ?」
「正しさの有り様は時代や立場によって移り変わる。私は私のみが正しいとは思っていない、ということも言ってましたよ」
クラウスらしい言い草だった。真面目くさって口にしただろうその光景をエミールは想像して、つい笑ってしまう。
「それを聞いてスヴェンは、このひとに仕えようって思ったんだ?」
「退屈はしなさそうでしたから」
「でも実際にはオレのお守りだったわけだし、不満はないの?」
「あなたはあなたで面白いですよ。あの『鷹』が気に入るわけだ」
「……スヴェンって、ファルケンとわりと仲良しだよね」
「…………」
スヴェンが嫌そうに顔をしかめた。
スヴェンの話が興味深く聞き入っていたので、その間疲れを忘れることができていた。スヴェンがエミールのペースに合わせて歩いてくれているのも理由の一つだろう。
エミールは足元の凹凸に気をつけて歩を進めながら、そうか、とつぶやいた。
「里への隠し通路が通っていたから、ラスはあの屋敷を新居に選んだんだ」
まったく、エミールの知らないところで色々考えている……。クラウスはあと幾つ、エミールに言ってないことがあるのだろう。
ふぅ、と肩で息をつくと、スヴェンが足を止めて「お疲れですか?」と尋ねてきた。
「ううん。正直立ち止まるより歩いてた方がまだマシかも」
座る場所があるならともかく、立ち止まると一気に疲労が襲い掛かってくる気がして、エミールは下腹を軽くさすりながら先を進んだ。
どれぐらい歩いただろう。ふと、空気が冷えてきたのを感じて、エミールはランタンを翳した。
見ればもうすこし先に、上へと伸びる階段があった。
「エミール様。ここからは灯かりを消します」
「えっ。真っ暗になるよ」
「手すりがあるので大丈夫です。私が後ろを行きますので、エミール様は前を」
上り階段は滑落の危険性があるからだろう、スヴェンが後ろへと回った。
エミールが手すりを持ったことを確認してから、スヴェンが灯かりを消した。ランタンはここへ置いていくと言う。
息を切らしながら、一段ずつ慎重に階段を上った。暗すぎて体の向きさえわからなくなる。しかしスヴェンが細やかに声をかけてくれたので、なんとか上りきることができた。
伝っていた手すりが途切れたところが最後の一段だった。ここでスヴェンが前に出て、頭上を探った。
どうやら一か所だけ動くような仕掛けになっているようだ。ずず……と鈍い音を立てて天井が開いた。
外はいつの間にか夜になっていた。雨はやんでいるようだった。雲間から月が顔を覗かせており、その光で地上は淡く照らされていた。
先に上へ上がったスヴェンが、手を差し出してくる。その手を借りながら、エミールもなんとか地下通路から這い出した。
地面は濡れていた。月明かりを頼りに周囲を見渡すと、どうやら山中に出たようだった。
「急げ、麓まで追手が来ている」
唐突に声が響いて、エミールは悲鳴を上げそうになった。
顔を巡らせると、狼面の男が立っていた。
スヴェンが怪訝に表情を曇らせた。
「追手が? やはり早すぎる」
「黒幕は誰だ」
「わからない。ただ、里のことを知らなければ、この山に向けて兵を寄越すことはしない」
スヴェンの言葉を聞いて、狼面が小さく鼻を鳴らした。
「嵌められたな」
「まさしく」
頷き合う二人に、エミールは小声で割り込んだ。
「どういう意味?」
スヴェンがこちらを向いた。その隙に狼面の男の姿がまたふっと消えた。
「エミール様。情報を整理しましょう。まずは昼間に届いた手紙からです」
「アマルからの」
「はい。それはすり替えられていた、とマリウス様は書いていました」
クラウスの行方がわからなくなった、というあの手紙。
元々の内容はなんだったのだろう。
「考えてもわからないことはいまは置いておきましょう」
スヴェンに淡々と注意され、エミール逸れそうになった思考を戻した。
アマーリエからの手紙を受け、まずスヴェンが王城へと向かった。
エミールは屋敷に残ったが、不安に耐え切れずにファルケンの元へと走った。
「『鷹』は我々『狼』とは立場が違います。あの男は存在自体が隠されているわけではない。だからあなたと近しい存在だということはすこし調べればすぐにわかる。あの男が、あなたの護衛を担っていることも」
妊娠して以降は体調が思わしくなく、娼館から足が遠ざかっていたが、彼の元へ通うことをエミールはべつに隠してはいなかったし、クラウスからも特になにも言われていなかった。
だからエミールの周囲を洗えば、ファルケンの存在には行き当たる。
「ルーが、クラウス様の私兵っていうのは」
「敵がそこまで把握していたかどうかはわかりません。ただ、クラウス様の安否が不明となり不安になったあなたは、あの男を頼った。その行動が、敵の思惑通りだったとしたら……」
「オレは……見張られていた?」
「恐らく」
自分の行動が操られていた。その衝撃にエミールは顔色を失くした。
アマーリエからの手紙を読んで居ても立っても居られなくなったエミールはファルケンに泣きついた。
その結果、どうなったか。
「……オレの傍から、ファルケンが離れた」
「『鷹』だけではありません。『狼』も二人、離れました。敵の狙いは、あなたから護衛を引き剥がすことだった」
そうとは知らず、エミールはまんまと踊らされたことになる。
「こうなると王城の混乱も、敵の仕組んだことでしょうね」
王城には、様々な情報が舞い込み、錯綜していたという。
マリウスもその対応に追われているのだろう。
つまりは、敵はクラウスの行方をくらませ、偽の情報で王城をかき回してマリウスをそちらにかかりきりにさせることで、エミールを孤立させたのだ。
「目的は、オレ……」
いや違う。エミールはひとりの体ではない。お腹の中には子どもが居る。クラウスの子どもが。
エミールは咄嗟に両手で下腹部を覆った。敵の狙いは、この子なのか。
「エミール様。いまの状況でひとつ、朗報が」
「え?」
「クラウス様は恐らく、ご無事です」
「な、なんでわかるの?」
「敵の動きが早すぎるからです」
スヴェンが唇の端で笑った。朧な月の光を受けて、彼の白金髪が淡く光っている。
エミールは侍従の目を見つめた。色素の薄い、琥珀色のスヴェンの双眸に、嘘をついている気配はなかった。
「敵の狙いはあなただ。そのあなたを捕らえるのに最大の障壁となるのが、クラウス様です。敵はクラウス様が王都へ戻ってくる前にすべてを終わらせたいのです。クラウス様の帰還を警戒しているのです」
「じゃあ……ラスは」
「ご無事です」
スヴェンが断言した。
力強い言葉だった。
エミールは安堵に涙ぐみそうになったが、泣いている場合ではない。
「じゃあオレは、ラスが戻るまで逃げればいいんだ」
「まさしく」
時間を稼げ、というマリウスの指示もあった。マリウスも、クラウスが戻ってくると信じているのだ。
エミールは深呼吸をした。冷えた空気が肺に入り込み、不安とともに外へと吐き出される。
「えっ?」
「好奇心旺盛な王太子殿下に、里の長も苦笑いをしていたと聞いています」
「遭難したんじゃなかったんだ」
「いえ。山道に迷ったのは本当のようですよ。迷子の二人を見つけたのが、当時里に居ついていた狼だったようです」
里に保護された二人の王子は、以降『狼』たちと交流を重ねてきたという。
クラウスが『狼』たちを私兵として雇いたいと言い出したとき、真っ先に反対したのはマリウスだった。
里の民を二度と戦には巻き込まない。それが先王たちの願いだ、と。
しかしクラウスは、『狼』たちに頭を下げ、力を貸してほしいと乞うた。
「クラウス様は仰いました。我々一族に自由を与えたい、と。そのためには国内の憂いを払い、マリウス様の理想とする平和な世をつくらなければならない、と」
マリウスの治める国。そこでは『狼』たちも誰にも憚ることなく堂々と暮らしていけるはずだ。
クラウスの熱弁を、スヴェンは、
「正直、笑ってしまいました」
と評した。
「笑った? なんで?」
「クラウス様が、あんまり的外れなことを言うので」
的外れ? そうだろうか。エミールは、『狼』たちに自由を与えたいとするクラウスの言葉は、それほどおかしくないと思うのだが。
疑問を覚えたエミールに、スヴェンが軽く首を横に振った。
「我々一族は、新たな里を与えられて以降、ミュラー家のために尽くしてきました。そこで我々は知ってしまった。主君に仕える歓びを。一族の中で受け継がれてきた体術は、主君に使われてこそ活きるんです。それに、クラウス様は勘違いをしている。我々は亡霊であることを強要されたわけじゃない。これまでに幾度も、ミュラー家からは自由になって良いと言われていたのですから」
つまりは自己満足の類だと、スヴェンは言った。
「時代はもはや変わっている。里も、それに合わせて着実に変化しています。自由になりたい者はとっくに里を出て、市井の民として生きている。残っている者は、王家に仕えたいという『亡霊』だけなんですよ」
「それ、クラウス様は……」
「もちろんご存知です。ですからあのひとは我々に、ひと言命じるだけで良かった。私のために尽くせ、と」
「でも、そんなふうには言わないよね、ラスは」
「はい。クラウス様は我々に、契約せよと仰いました。主君と従者として、対等な契約を」
主従で対等とは、またおかしな言葉だ。
エミールの感想に、スヴェンも同意する。
「『狼』はクラウス様個人に仕える私兵として、クラウス様の命令を遵守します。ただ、クラウス様はこうも言いました。私の命令が聞くに値しないと思えば、従わなくて良い、と」
「逆らっていいんだ?」
「正しさの有り様は時代や立場によって移り変わる。私は私のみが正しいとは思っていない、ということも言ってましたよ」
クラウスらしい言い草だった。真面目くさって口にしただろうその光景をエミールは想像して、つい笑ってしまう。
「それを聞いてスヴェンは、このひとに仕えようって思ったんだ?」
「退屈はしなさそうでしたから」
「でも実際にはオレのお守りだったわけだし、不満はないの?」
「あなたはあなたで面白いですよ。あの『鷹』が気に入るわけだ」
「……スヴェンって、ファルケンとわりと仲良しだよね」
「…………」
スヴェンが嫌そうに顔をしかめた。
スヴェンの話が興味深く聞き入っていたので、その間疲れを忘れることができていた。スヴェンがエミールのペースに合わせて歩いてくれているのも理由の一つだろう。
エミールは足元の凹凸に気をつけて歩を進めながら、そうか、とつぶやいた。
「里への隠し通路が通っていたから、ラスはあの屋敷を新居に選んだんだ」
まったく、エミールの知らないところで色々考えている……。クラウスはあと幾つ、エミールに言ってないことがあるのだろう。
ふぅ、と肩で息をつくと、スヴェンが足を止めて「お疲れですか?」と尋ねてきた。
「ううん。正直立ち止まるより歩いてた方がまだマシかも」
座る場所があるならともかく、立ち止まると一気に疲労が襲い掛かってくる気がして、エミールは下腹を軽くさすりながら先を進んだ。
どれぐらい歩いただろう。ふと、空気が冷えてきたのを感じて、エミールはランタンを翳した。
見ればもうすこし先に、上へと伸びる階段があった。
「エミール様。ここからは灯かりを消します」
「えっ。真っ暗になるよ」
「手すりがあるので大丈夫です。私が後ろを行きますので、エミール様は前を」
上り階段は滑落の危険性があるからだろう、スヴェンが後ろへと回った。
エミールが手すりを持ったことを確認してから、スヴェンが灯かりを消した。ランタンはここへ置いていくと言う。
息を切らしながら、一段ずつ慎重に階段を上った。暗すぎて体の向きさえわからなくなる。しかしスヴェンが細やかに声をかけてくれたので、なんとか上りきることができた。
伝っていた手すりが途切れたところが最後の一段だった。ここでスヴェンが前に出て、頭上を探った。
どうやら一か所だけ動くような仕掛けになっているようだ。ずず……と鈍い音を立てて天井が開いた。
外はいつの間にか夜になっていた。雨はやんでいるようだった。雲間から月が顔を覗かせており、その光で地上は淡く照らされていた。
先に上へ上がったスヴェンが、手を差し出してくる。その手を借りながら、エミールもなんとか地下通路から這い出した。
地面は濡れていた。月明かりを頼りに周囲を見渡すと、どうやら山中に出たようだった。
「急げ、麓まで追手が来ている」
唐突に声が響いて、エミールは悲鳴を上げそうになった。
顔を巡らせると、狼面の男が立っていた。
スヴェンが怪訝に表情を曇らせた。
「追手が? やはり早すぎる」
「黒幕は誰だ」
「わからない。ただ、里のことを知らなければ、この山に向けて兵を寄越すことはしない」
スヴェンの言葉を聞いて、狼面が小さく鼻を鳴らした。
「嵌められたな」
「まさしく」
頷き合う二人に、エミールは小声で割り込んだ。
「どういう意味?」
スヴェンがこちらを向いた。その隙に狼面の男の姿がまたふっと消えた。
「エミール様。情報を整理しましょう。まずは昼間に届いた手紙からです」
「アマルからの」
「はい。それはすり替えられていた、とマリウス様は書いていました」
クラウスの行方がわからなくなった、というあの手紙。
元々の内容はなんだったのだろう。
「考えてもわからないことはいまは置いておきましょう」
スヴェンに淡々と注意され、エミール逸れそうになった思考を戻した。
アマーリエからの手紙を受け、まずスヴェンが王城へと向かった。
エミールは屋敷に残ったが、不安に耐え切れずにファルケンの元へと走った。
「『鷹』は我々『狼』とは立場が違います。あの男は存在自体が隠されているわけではない。だからあなたと近しい存在だということはすこし調べればすぐにわかる。あの男が、あなたの護衛を担っていることも」
妊娠して以降は体調が思わしくなく、娼館から足が遠ざかっていたが、彼の元へ通うことをエミールはべつに隠してはいなかったし、クラウスからも特になにも言われていなかった。
だからエミールの周囲を洗えば、ファルケンの存在には行き当たる。
「ルーが、クラウス様の私兵っていうのは」
「敵がそこまで把握していたかどうかはわかりません。ただ、クラウス様の安否が不明となり不安になったあなたは、あの男を頼った。その行動が、敵の思惑通りだったとしたら……」
「オレは……見張られていた?」
「恐らく」
自分の行動が操られていた。その衝撃にエミールは顔色を失くした。
アマーリエからの手紙を読んで居ても立っても居られなくなったエミールはファルケンに泣きついた。
その結果、どうなったか。
「……オレの傍から、ファルケンが離れた」
「『鷹』だけではありません。『狼』も二人、離れました。敵の狙いは、あなたから護衛を引き剥がすことだった」
そうとは知らず、エミールはまんまと踊らされたことになる。
「こうなると王城の混乱も、敵の仕組んだことでしょうね」
王城には、様々な情報が舞い込み、錯綜していたという。
マリウスもその対応に追われているのだろう。
つまりは、敵はクラウスの行方をくらませ、偽の情報で王城をかき回してマリウスをそちらにかかりきりにさせることで、エミールを孤立させたのだ。
「目的は、オレ……」
いや違う。エミールはひとりの体ではない。お腹の中には子どもが居る。クラウスの子どもが。
エミールは咄嗟に両手で下腹部を覆った。敵の狙いは、この子なのか。
「エミール様。いまの状況でひとつ、朗報が」
「え?」
「クラウス様は恐らく、ご無事です」
「な、なんでわかるの?」
「敵の動きが早すぎるからです」
スヴェンが唇の端で笑った。朧な月の光を受けて、彼の白金髪が淡く光っている。
エミールは侍従の目を見つめた。色素の薄い、琥珀色のスヴェンの双眸に、嘘をついている気配はなかった。
「敵の狙いはあなただ。そのあなたを捕らえるのに最大の障壁となるのが、クラウス様です。敵はクラウス様が王都へ戻ってくる前にすべてを終わらせたいのです。クラウス様の帰還を警戒しているのです」
「じゃあ……ラスは」
「ご無事です」
スヴェンが断言した。
力強い言葉だった。
エミールは安堵に涙ぐみそうになったが、泣いている場合ではない。
「じゃあオレは、ラスが戻るまで逃げればいいんだ」
「まさしく」
時間を稼げ、というマリウスの指示もあった。マリウスも、クラウスが戻ってくると信じているのだ。
エミールは深呼吸をした。冷えた空気が肺に入り込み、不安とともに外へと吐き出される。
359
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
愛する公爵と番になりましたが、大切な人がいるようなので身を引きます
まんまる
BL
メルン伯爵家の次男ナーシュは、10歳の時Ωだと分かる。
するとすぐに18歳のタザキル公爵家の嫡男アランから求婚があり、あっという間に婚約が整う。
初めて会った時からお互い惹かれ合っていると思っていた。
しかしアランにはナーシュが知らない愛する人がいて、それを知ったナーシュはアランに離婚を申し出る。
でもナーシュがアランの愛人だと思っていたのは⋯。
執着系α×天然Ω
年の差夫夫のすれ違い(?)からのハッピーエンドのお話です。
Rシーンは※付けます
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?
krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」
突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。
なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!?
全力すれ違いラブコメファンタジーBL!
支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる