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狼と名もなき墓標
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手を握られている。
その体温を感じて、フッと意識が上昇した。
まぶたを開くと、真っ先にクラウスの顔が視界に映った。
「エル……大丈夫か」
問われて、頷く。頷いてから、あれ? と思った。
自分はなにを心配されているのだろう。
「ラス……」
つがいの名を声にしたら、喉がひりりと痛んだ。コン、と空咳が出た。些細な動きだったのに、なぜか全身の筋肉が悲鳴を上げるかのように軋んだ。
「いた……」
筋肉痛になるようなことを、自分はいつしたのだろうか。
よくわからない。頭に霞がかかったかのように、思考も記憶もハッキリしない。
「オレ、なに……」
「エミール」
上からクラウスの顔が近づいてきて、やわからなキスを与えられた。反射的に目を閉じると、クラウスが高い鼻梁をすり……とこすりつけてきた。
ふふ、と小さな笑いが漏れる。
「なに、甘えてるんですか」
子どもみたい、と考えて、このひとは赤ちゃんが生まれてもこんなふうにオレに甘えるんだろうか、と可笑しくなった。
妊娠をしてからの癖で、下腹部をさすろうと手を動かしかけた。しかしクラウスがしっかりと握ったまま指をほどいてくれない。
「ラス、手を、離して」
そう口にしてから、疑問符が浮かんだ。
手を離して。
そんなことを、なんども叫んだ気がする。
離せ、離して、と叫んで、暴れた気がする。
「……オレ、なんか、おかしい……」
「大丈夫だ」
「だいじょうぶじゃ、ない」
エミールはおかしい。このやりとりだって、もうなんどもしている気がするのだから。
「……ラス」
自分の騎士を呼んで、次の言葉に詰まった。
なにを、どう聞けばいいのだろう。
もうこれ以上話さないほうがいい、と頭の中で警告のような考えが明滅している。
これ以上、聞くな、話すな。
そうしないと、恐ろしいことがおこってしまうから……。
体が震えて、目から勝手に涙が出始めた。
「エル……エミール……私と話をしよう」
「……いや、だ」
「エミール、大丈夫だ。なにがあっても私がおまえをまもる」
ぼろり、ぼろりと大粒の涙がこめかみを転がり落ちてゆく。拭いたかったけれど、まだクラウスがエミールの手を握って放してくれない。
寝間着の袖が肘までめくれていた。エミールは自身の腕に、大きなあざがあるのを見つけた。いつ、どこでぶつけたんだろうか。
「……スヴェンは?」
脈絡もなく侍従の顔が浮かんできて、エミールはクラウスへと尋ねた。
「スヴェンなら近くに居る」
「ほんとう?」
「ああ。…………呼ぶか?」
どこか懸念するような目で、クラウスが問いかけてきた。なにを警戒されているのだろう。わからないままに、
「スヴェンにあいたい」
と答えていた。
クラウスが枕元のベルを鳴らした。すぐに扉が外から開かれた。
白金髪の頭がクラウス越しに見えた。
「エミール様」
スヴェンがエミールへと礼を取る。彼はそのままの姿勢で、中々顔を上げてくれない。
「スヴェン……こっちへ、きて」
どこも怪我などしていないだろうか。顔を見て、安心したかった。
……安心? 自分はなぜスヴェンの心配をしているのだろう。
考えるな、考えるな。
また頭の中で誰かが叫んでいる。これ以上は考えるな。
怖い。怖くて震えたら、クラウスがキスをしてくれた。
「もうすこし眠るか?」
やさしくささやかれた。
眠たくはなかった。でも、起きていることが怖かったから、エミールは頷いた。
全身が重怠く、痛かった。
「おやすみ、エミール」
その言葉に操られるようにして、エミールは目を閉じた。
こころの奥に、ポカリと空いた空洞がある。
その空洞を探ろうとして覗き込んだら、そのまま意識が吸い込まれていった。
……手を握られていた。
エミールはクラウスの体温を感じながら、目を覚ました。
全身が痛かった。
でも久しぶりになんだか頭がスッキリしていた。
「ラス……おはよう」
朝の挨拶を口にしてから、あれ? いまは朝で合ってるかな、と気になった。
「オレ、どれぐらい寝てたんだろ? ラス?」
添い寝の体制で間近でこちらを見つめているつがいの顔が、ひどく憔悴して見えて、エミールはぎょっとした。
思わず彼の頬に手を当てようとしたが、クラウスが両手を握っていたため動かすことができなかった。
「エミール。大丈夫か?」
ささやきの音で問われる。
エミールが頷くと、クラウスがまた口を開いた。
「手を、離すぞ」
慎重な眼差しで目を覗き込まれ、エミールは戸惑った。
「え、いいけど……なに?」
なにを心配されているのだろう。よくわからないままに、クラウスの指がじわじわとゆるまり、両手が解放された。
エミールはすぐにその手をクラウスの頬へと持って行った。
「ラス、どうしたんですか。そんな顔して……髭も、残ってる」
日ごろ身だしなみは完璧に整えている騎士団長の顎下に無精ひげを見つけて、エミールはてのひらでそれを撫でた。
冴え冴えとした蒼い瞳は普段通りだったが、目の下には黒い隈が浮き、頬もすこしやつれて見える。
なにか、過酷な任務でもあったのだろうか。
そう考えて、エミールはふと、引っ掛かりを覚えた。
このやりとりを、もう幾度も繰り返している。そんな気がした。
「…………」
エミールは無言でクラウスを見つめた。クラウスもこちらを見つめていた。
その宝石のような瞳を見ている内に、エミールは胸が苦しくなって、呼吸を震わせた。
「…………オレ、おかしいね」
「エミール」
「オレ、おかしい。頭がおかしくなってる」
「エル、私のオメガ。大丈夫だ」
「違う。大丈夫じゃないよ」
エミールは首を横に動かした。くらりと目眩がした。体中の筋肉が軋んでいた。
そう感じるのも、もうなんど目だろうか。
「オレ、おかしい……」
違和感を繰り返し言葉にして、エミールはクラウスの腕を掴んだ。部屋着のままのクラウスは珍しい。いつもは朝一番で騎士団の制服に身を包んでいるのに。
エミールはクラウスの袖をまくり上げた。逞しい腕が覗いた。そこにあるあざや歯形を見て、エミールは絶望的な気分になった。
「オレがしたの?」
こぼれた質問は、半ば確信だった。エミールがしたのだ。クラウスの腕を叩き、噛みついた。その記憶が朧にある。
クラウスはそうだとも違うとも答えなかった。
代わりのように、強い抱擁をされた。
「オレがおかしくなったから、ラスは、ずっと付き添ってくれてたの?」
エミールは男の背にしがみつきながら、尋ねた。
「おまえはおかしくない」
クラウスからアルファの匂いがしている。そこに水を混ぜたような、かなしみの匂いも。
「おまえは……傷ついているだけだ」
低いその声に、泣けてきた。エミールはクラウスのあざだらけの腕の中で泣いた。クラウスの背に回した自分の腕にも、青いあざは浮いていた。
もう、わかっていた。
クラウスがずっと、エミールの手を握っていた理由が。
エミールが暴れて、自分を傷つけるような行為に及んだからだ。
そうだ。もうわかっていた。……わかってる。
エミールの体の……全身が痛んでいるこの体の、真ん中に。
赤ちゃんの存在が、ないことも……。
その体温を感じて、フッと意識が上昇した。
まぶたを開くと、真っ先にクラウスの顔が視界に映った。
「エル……大丈夫か」
問われて、頷く。頷いてから、あれ? と思った。
自分はなにを心配されているのだろう。
「ラス……」
つがいの名を声にしたら、喉がひりりと痛んだ。コン、と空咳が出た。些細な動きだったのに、なぜか全身の筋肉が悲鳴を上げるかのように軋んだ。
「いた……」
筋肉痛になるようなことを、自分はいつしたのだろうか。
よくわからない。頭に霞がかかったかのように、思考も記憶もハッキリしない。
「オレ、なに……」
「エミール」
上からクラウスの顔が近づいてきて、やわからなキスを与えられた。反射的に目を閉じると、クラウスが高い鼻梁をすり……とこすりつけてきた。
ふふ、と小さな笑いが漏れる。
「なに、甘えてるんですか」
子どもみたい、と考えて、このひとは赤ちゃんが生まれてもこんなふうにオレに甘えるんだろうか、と可笑しくなった。
妊娠をしてからの癖で、下腹部をさすろうと手を動かしかけた。しかしクラウスがしっかりと握ったまま指をほどいてくれない。
「ラス、手を、離して」
そう口にしてから、疑問符が浮かんだ。
手を離して。
そんなことを、なんども叫んだ気がする。
離せ、離して、と叫んで、暴れた気がする。
「……オレ、なんか、おかしい……」
「大丈夫だ」
「だいじょうぶじゃ、ない」
エミールはおかしい。このやりとりだって、もうなんどもしている気がするのだから。
「……ラス」
自分の騎士を呼んで、次の言葉に詰まった。
なにを、どう聞けばいいのだろう。
もうこれ以上話さないほうがいい、と頭の中で警告のような考えが明滅している。
これ以上、聞くな、話すな。
そうしないと、恐ろしいことがおこってしまうから……。
体が震えて、目から勝手に涙が出始めた。
「エル……エミール……私と話をしよう」
「……いや、だ」
「エミール、大丈夫だ。なにがあっても私がおまえをまもる」
ぼろり、ぼろりと大粒の涙がこめかみを転がり落ちてゆく。拭いたかったけれど、まだクラウスがエミールの手を握って放してくれない。
寝間着の袖が肘までめくれていた。エミールは自身の腕に、大きなあざがあるのを見つけた。いつ、どこでぶつけたんだろうか。
「……スヴェンは?」
脈絡もなく侍従の顔が浮かんできて、エミールはクラウスへと尋ねた。
「スヴェンなら近くに居る」
「ほんとう?」
「ああ。…………呼ぶか?」
どこか懸念するような目で、クラウスが問いかけてきた。なにを警戒されているのだろう。わからないままに、
「スヴェンにあいたい」
と答えていた。
クラウスが枕元のベルを鳴らした。すぐに扉が外から開かれた。
白金髪の頭がクラウス越しに見えた。
「エミール様」
スヴェンがエミールへと礼を取る。彼はそのままの姿勢で、中々顔を上げてくれない。
「スヴェン……こっちへ、きて」
どこも怪我などしていないだろうか。顔を見て、安心したかった。
……安心? 自分はなぜスヴェンの心配をしているのだろう。
考えるな、考えるな。
また頭の中で誰かが叫んでいる。これ以上は考えるな。
怖い。怖くて震えたら、クラウスがキスをしてくれた。
「もうすこし眠るか?」
やさしくささやかれた。
眠たくはなかった。でも、起きていることが怖かったから、エミールは頷いた。
全身が重怠く、痛かった。
「おやすみ、エミール」
その言葉に操られるようにして、エミールは目を閉じた。
こころの奥に、ポカリと空いた空洞がある。
その空洞を探ろうとして覗き込んだら、そのまま意識が吸い込まれていった。
……手を握られていた。
エミールはクラウスの体温を感じながら、目を覚ました。
全身が痛かった。
でも久しぶりになんだか頭がスッキリしていた。
「ラス……おはよう」
朝の挨拶を口にしてから、あれ? いまは朝で合ってるかな、と気になった。
「オレ、どれぐらい寝てたんだろ? ラス?」
添い寝の体制で間近でこちらを見つめているつがいの顔が、ひどく憔悴して見えて、エミールはぎょっとした。
思わず彼の頬に手を当てようとしたが、クラウスが両手を握っていたため動かすことができなかった。
「エミール。大丈夫か?」
ささやきの音で問われる。
エミールが頷くと、クラウスがまた口を開いた。
「手を、離すぞ」
慎重な眼差しで目を覗き込まれ、エミールは戸惑った。
「え、いいけど……なに?」
なにを心配されているのだろう。よくわからないままに、クラウスの指がじわじわとゆるまり、両手が解放された。
エミールはすぐにその手をクラウスの頬へと持って行った。
「ラス、どうしたんですか。そんな顔して……髭も、残ってる」
日ごろ身だしなみは完璧に整えている騎士団長の顎下に無精ひげを見つけて、エミールはてのひらでそれを撫でた。
冴え冴えとした蒼い瞳は普段通りだったが、目の下には黒い隈が浮き、頬もすこしやつれて見える。
なにか、過酷な任務でもあったのだろうか。
そう考えて、エミールはふと、引っ掛かりを覚えた。
このやりとりを、もう幾度も繰り返している。そんな気がした。
「…………」
エミールは無言でクラウスを見つめた。クラウスもこちらを見つめていた。
その宝石のような瞳を見ている内に、エミールは胸が苦しくなって、呼吸を震わせた。
「…………オレ、おかしいね」
「エミール」
「オレ、おかしい。頭がおかしくなってる」
「エル、私のオメガ。大丈夫だ」
「違う。大丈夫じゃないよ」
エミールは首を横に動かした。くらりと目眩がした。体中の筋肉が軋んでいた。
そう感じるのも、もうなんど目だろうか。
「オレ、おかしい……」
違和感を繰り返し言葉にして、エミールはクラウスの腕を掴んだ。部屋着のままのクラウスは珍しい。いつもは朝一番で騎士団の制服に身を包んでいるのに。
エミールはクラウスの袖をまくり上げた。逞しい腕が覗いた。そこにあるあざや歯形を見て、エミールは絶望的な気分になった。
「オレがしたの?」
こぼれた質問は、半ば確信だった。エミールがしたのだ。クラウスの腕を叩き、噛みついた。その記憶が朧にある。
クラウスはそうだとも違うとも答えなかった。
代わりのように、強い抱擁をされた。
「オレがおかしくなったから、ラスは、ずっと付き添ってくれてたの?」
エミールは男の背にしがみつきながら、尋ねた。
「おまえはおかしくない」
クラウスからアルファの匂いがしている。そこに水を混ぜたような、かなしみの匂いも。
「おまえは……傷ついているだけだ」
低いその声に、泣けてきた。エミールはクラウスのあざだらけの腕の中で泣いた。クラウスの背に回した自分の腕にも、青いあざは浮いていた。
もう、わかっていた。
クラウスがずっと、エミールの手を握っていた理由が。
エミールが暴れて、自分を傷つけるような行為に及んだからだ。
そうだ。もうわかっていた。……わかってる。
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