あなたの片想いを聞いてしまった夜

柴田はつみ

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第32章「執事の叱責」

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 夜明けの光は容赦がない。
 舞踏会の余韻を薄く削り、昨夜の出来事を“現実”として机の上へ置いていく。

 公爵は執務室へ戻った。

 決裁書。封蝋。領地報告。後見に関する書簡。——エリザ案件の追加資料。
 いつもなら、紙の匂いが心を整える。けれど今朝は違った。

 紙は重い。
 文字が、目に入らない。

 扉が二度、控えめに叩かれる。

 「閣下。お目覚めでいらっしゃいますか」

 執事ユリウスの声だ。
 公爵は「入れ」とだけ答えた。

 ユリウスが入室する。銀髪に白手袋、完璧な姿勢。感情のない顔——いつも通り。
 ただ机上を一瞥したその目だけが、静かに鋭くなった。

 「……舞踏会は、無事に終わりましたか」

 形式の問いに見せかけた刃。
 公爵は椅子にもたれたまま答える。

 「無事だ」

 ユリウスは、ほんの一瞬だけ目を細めた。
 その一瞬が怒りだと、公爵は悟った。

 「社交界は、でしょう」

 公爵の眉が僅かに動く。

 「……何が言いたい」

 ユリウスは歩み寄り、封書を一通つまみ上げた。封蝋の色を見て、淡々と読み上げる。

 「王妃殿下の侍従長より。
 “昨夜の一件は噂の格好の餌。公爵家として適切な対応を”——とございます」

 公爵は黙った。
 噂。体裁。対応。——またそれだ。

 ユリウスは封書を戻し、机の端の薄い紙へ視線を移した。
 医師の診断書の控え。

 「……医師の所見も届いております」

 読み上げない。
 読み上げなくても、公爵の胸が痛む。

 公爵は自分から言った。

 「不眠と食欲不振。……静養が必要だ」

 ユリウスの目が、さらに冷える。

 「はい。
 そして閣下は——気づかなかった」

 断言だった。
 公爵は息を呑み、わずかに声を強くする。

 「気づかなかったのは俺の責任だ。だから昨夜、謝った」

 ユリウスが、初めて表情を動かした。
 薄く——笑ったのだ。

 「謝った」

 その言い方が、いちばん痛い。

 「閣下。
 “謝る”だけなら、誰にでもできます。
 ……それでお嬢様の心が戻るのなら、私が代わりに謝って差し上げましょう」

 公爵の指先が机を叩きかけ、止まった。
 怒りではない。焦りだ。

 「ユリウス」

 名を呼ぶと、ユリウスは一礼した。

「叱責をお許しください。 
閣下を今、叱られなければなりません」

 執事が主へここまで踏み込むのは異例だ。
 距離が、言葉より先に重い。

 「お嬢様は、閣下の言葉の不足で衰弱しました」

  ですが——閣下は今、叱られなければなりません」

 執事が主へここまで踏み込むのは異例だ。
 距離が、言葉より先に重い。

 「お嬢様は、閣下の“言葉の不足”で衰弱しました」

 公爵は唇を噛む。
 王妃にも言われた。侍女長にも言われた。分かっている。分かっているのに——。

 「……説明はできない」

 絞り出すと、ユリウスは即座に返した。

 「“できない”のではありません。
 “しない”を選んできただけです」

 鋭い。
 公爵は反論できない。

 ユリウスは机の上から、エリザ案件の書類を一枚だけ抜き取り、そっと差し出した。

 「未亡人エリザ様。遺児。領地。約束。
 守る義務がある——事情は理解しております」

 そして静かに紙を戻す。

 「ですが閣下。
 理解されるべき事情ほど、言葉が必要です」

 公爵は苛立ち混じりに言う。

 「言えば、彼女が傷つく。噂が——」

 ユリウスの声が低くなる。

 「噂は、閣下が“沈黙”を差し出した瞬間に勝ちます」

 その一言が胸の奥で鳴った。
 沈黙を差し出す。——まさに、自分がしてきたことだ。

 「閣下は体裁を守るために沈黙した。
 結果、お嬢様を守れなかった」

 公爵は立ち上がり、机越しにユリウスと向き合う。

 「守るつもりだった」

 ユリウスは首を振らない。
 ただ、淡々と突き刺す。

 「“守るつもり”は、守ったことにはなりません」

 静けさが落ちた。
 沈黙ではない。息を呑む静寂。

 ユリウスは、そこで言い切った。

 「閣下。
 守るなら説明しろ。
 選ぶなら——公の場で示せ」

 公爵の喉が焼ける。

 「公の場……?」

 「はい」

 執事としての提案ではない。家の判断として告げる口調だった。

 「社交界は見ています。王妃殿下も見ています。
 “誰が隣に立つのか”を見ています」

 昨夜の光景がよみがえる。
 席順を巡る緊張。ガブリエルの抱擁。自分の失言。リリアーヌの怯えた目。

 (あれを、噂が飲み込む)

 ユリウスは畳み掛けない。
 逃げ道を塞ぐように、言葉を一つずつ置く。

 「私室での謝罪は、体裁の隠れ蓑です。
 お嬢様の名誉を守るためにも——公の場で、閣下の意志を示す必要がございます」

 公爵は苦い声で問う。

 「……どこまで、言えと言う」

 ユリウスの答えは簡潔だった。

 「“誰を選ぶか”です」

 公爵の胸が跳ねる。
 その言葉だけは、ずっと避けてきた。

 選べば、何かが壊れる。
 選ばなければ、彼女が壊れる。

 ユリウスは一度だけ視線を落とし、すぐ戻した。
 その僅かな動きが、執事の情だった。

 「閣下。お嬢様は“初恋泥棒”などではありません。
 奪ったのは彼女ではない。
 ……あなたが、彼女の心を置き去りにしただけです」

 公爵の喉が詰まる。
 反論できない。言い返せない。

 だから公爵は、別の言葉を探した。

 「……俺は、遅すぎた」

 ユリウスは頷く。

 「はい。遅い」

 その肯定が、逆に救いだった。
 遅いと認めた瞬間、今からでも進める。

 公爵は掌を開き、息を吐く。

 「……公の場を用意しろ」

 ユリウスの目が僅かに揺れた。
 勝利ではない。主がようやく動いた安堵。

 「承知いたしました」

 執事は一礼し、扉へ向かう。
 だが、最後に釘を刺すように言った。

 「閣下。お嬢様は“言葉”を求めておいでです。
 ですが——“巧い言葉”ではございません」

 公爵が顔を上げる。

 「必要なのは誠実な言葉です。
 逃げない言葉。
 そして、責任を取る言葉です」

 扉が閉まった。

 公爵は立ったまま窓辺へ歩く。
 曇ったガラスに、疲れた自分の顔が映った。

 (責任を取る)

 それは領地や遺児の責任だけではない。
 リリアーヌの名誉と、心に対する責任だ。

 公爵は机上の封書を手に取った。
 王妃の侍従長からの書簡。——公の場を用意する鍵。

 指先に力が入る。

 「……リリアーヌ」

 名を呼ぶだけで胸が痛い。
 けれど痛みから逃げないと決めた。

 公爵は封書を胸に押し当て、静かに呟く。

 「俺は——お前を選ぶ」

 まだ届かない言葉。
 だが逃げないための、最初の言葉。公爵は唇を噛む。
 王妃にも言われた。侍女長にも言われた。分かっている。分かっているのに——。

 「……説明はできない」

 絞り出すと、ユリウスは即座に返した。

 「“できない”のではありません。
 “しない”を選んできただけです」

 鋭い。
 公爵は反論できない。

 ユリウスは机の上から、エリザ案件の書類を一枚だけ抜き取り、そっと差し出した。

 「未亡人エリザ様。遺児。領地。約束。
 守る義務がある——事情は理解しております」

 そして静かに紙を戻す。

 「ですが閣下。
 理解されるべき事情ほど、言葉が必要です」

 公爵は苛立ち混じりに言う。

 「言えば、彼女が傷つく。噂が——」

 ユリウスの声が低くなる。

 「噂は、閣下が“沈黙”を差し出した瞬間に勝ちます」

 その一言が胸の奥で鳴った。
 沈黙を差し出す。——まさに、自分がしてきたことだ。

 「閣下は体裁を守るために言葉にしない
 結果、お嬢様を守れなかった」

 公爵は立ち上がり、机越しにユリウスと向き合う。

 「守るつもりだった」

 ユリウスは首を振らない。
 ただ、淡々と突き刺す。

 「守るつもりは、守ったことにはなりません」

 静けさが落ちた。
 沈黙ではない。息を呑む静寂。

 ユリウスは、そこで言い切った。

 「閣下。
 守るなら説明しろ。
 選ぶなら——公の場で示せ」

 公爵の喉が焼ける。

 「公の場……?」

 「はい」

 執事としての提案ではない。家の判断として告げる口調だった。

 「社交界は見ています。王妃殿下も見ています。
 誰が隣に立つのかを見ています」

 昨夜の光景がよみがえる。
 席順を巡る緊張。ガブリエルの抱擁。自分の失言。リリアーヌの怯えた目。

 (あれを、噂が飲み込む)

 ユリウスは畳み掛けない。
 逃げ道を塞ぐように、言葉を一つずつ置く。

 「私室での謝罪は、体裁の隠れ蓑です。
 お嬢様の名誉を守るためにも——公の場で、閣下の意志を示す必要がございます」

 公爵は苦い声で問う。

 「……どこまで、言えと言う」

 ユリウスの答えは簡潔だった。

 「誰を選ぶかです」

 公爵の胸が跳ねる。
 その言葉だけは、ずっと避けてきた。

 選べば、何かが壊れる。
 選ばなければ、彼女が壊れる。

 ユリウスは一度だけ視線を落とし、すぐ戻した。
 その僅かな動きが、執事の情だった。

 「閣下。お嬢様は初恋泥棒などではありません。
 奪ったのは彼女ではない。
 ……あなたが、彼女の心を置き去りにしただけです」

 公爵の喉が詰まる。
 反論できない。言い返せない。

 だから公爵は、別の言葉を探した。

 「……俺は、遅すぎた」

 ユリウスは頷く。

 「はい。遅い」

 その肯定が、逆に救いだった。
 遅いと認めた瞬間、今からでも進める。

 公爵は掌を開き、息を吐く。

 「……公の場を用意しろ」

 ユリウスの目が僅かに揺れた。
 勝利ではない。主がようやく動いた安堵。

 「承知いたしました」

 執事は一礼し、扉へ向かう。
 だが、最後に釘を刺すように言った。

 「閣下。お嬢様は言葉を求めておいでです。
 ですが——巧い言葉ではございません」

 公爵が顔を上げる。

 「必要なのは誠実な言葉です。
 逃げない言葉。
 そして、責任を取る言葉です」

 扉が閉まった。

 公爵は立ったまま窓辺へ歩く。
 曇ったガラスに、疲れた自分の顔が映った。

 (責任を取る)

 それは領地や遺児の責任だけではない。
 リリアーヌの名誉と、心に対する責任だ。

 公爵は机上の封書を手に取った。
 王妃の侍従長からの書簡。——公の場を用意する鍵。

 指先に力が入る。

 「……リリアーヌ」

 名を呼ぶだけで胸が痛い。
 けれど痛みから逃げないと決めた。

 公爵は封書を胸に押し当て、静かに呟く。

 「俺は——お前を選ぶ」

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