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第1部
フェーズ6-14
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三月最初の土曜日であるひな祭りの日、私は高校を卒業した。クラスメイトのほとんどが隣の大学へ進学する中、他の大学や専門学校に進んだり、私のように進学以外の道を選ぶ生徒も少数いる。愛音たちとお別れするのは寂しいけれど、後悔はしていない。それに、これきり会えないわけではない。みんなが「また会おうね」と声をかけてくれて、涙腺が緩んだ。
土曜日だから夜は涼に会いにいくことも可能だった。でも、この日は家で過ごした。高校を卒業できたのはひとえに両親のおかげだ。在学中に病気がわかって手術までして、心配と迷惑をかけた。父は残念ながら仕事の都合で今日は帰宅できなかった。その代わりに来週は金曜日も休みを取って三連休にしたらしい。きっと私がもうすぐ結婚して家を出るからだと思う。
私、卒業したよ。この日を待ち焦がれていた。もうなんの制約もない。これからはずっと涼と一緒にいられる。
迎えにきてもらってマンションの涼の部屋に入ると、玄関で唇を奪われた。最後に抱き合った日から二週間と少し、その間ずっと触れられなかった。だから今日は最初から息が上がってる。
「彩……」
名前を呼ばれただけで胸が愛しさでいっぱいになる。
「卒業おめでとう」
「ありがとう」
ベッドに連れていかれ、また唇を吸われる。
「本当なら今日初めてするはずだったんだな。我慢して我慢して、今日やっと……」
「ん……」
素肌になって抱き合いながら何度もキスを交わす。我慢していたのは今も同じだ。ぬくもりを知ってしまった今のほうが強く求めてる。でももう我慢しなくていい。感度が全開になる。
いつもならもっといろいろ触ってから繋がるのに、今日は性急だった。確かめなくても私の準備ができていることは涼にはお見通しだ。手早くコンドームをかぶせて私の中に入ってきた。初めてしたときのように、ゆっくりと。
「あ……あっ……!」
あのときのような痛みは微塵もない。快感だけがどっと溢れる。
「すごく熱くなってる、中」
「だって……」
ひとつになるのではなく、ひとつに戻っていく。大きな幸せと安心感が私を包み込んでいく。
「あぁ……っ」
ゆっくり押し広げながら、最奥部まで繋がった。今日はもうこれだけで昇りつめそうになる。心も体も、いっぱいいっぱいだ。
「彩、俺と結婚して」
ここでまさかの再プロポーズ。
「はい……」
「ベッドでプロポーズされたかったんだろ?」
「そうは言ってな……んあっ」
体温と締めつけを味わうかのように留まっていた涼が、腰を動かし始めた。
「ああ……っ!」
どうしてこんなに気持ちいいの? 気持ちよすぎて怖いくらい。
「すぐ一緒に暮らそう」
悶える私を見ながら涼が言った。
「ん……あっ……ぃや」
「どっち?」
動きながら訊くから答えられないの。
「いっ、しょ……が、いい……っ」
私を見つめていた涼が満足げに微笑んだ。さらに動きが激しくなる。
「ああぁ!」
私は涼にしがみつくように抱きついた。もう離れたくない。別々の家に帰るのは嫌なの。同じ家に帰りたい。ずっと一緒がいい。
腕枕をしてもらっている。今日は一回で十分だ。それくらい燃え尽きた。再プロポーズもしてもらって、身も心も涼と深いところでしっかり結びついたように感じる。
「結局、卒業まで我慢できなかったな」
本当に、まったく、全然ね。特に二回目のときは、泊まりがけでいっぱいしてしまった。涼の誕生日も、するつもりなかったのに結局我慢できずに最後まで。
「愛があるから大丈夫だよ」
決して淫らに求め合っただけではない。いつも私は涼の愛を感じていたし、私だって……。
「それはつまり、俺を愛してるってこと?」
涼がにやりとする。しまった。これは言わされるやつだ。さっき再プロポーズを受けたんだからわかるでしょうに。でも私はまだ一度も言えてないんだった。涼はちゃんと言ってくれた。私も伝えなきゃ。
「涼、愛してる」
まっすぐに目を見て伝えた。心からの正直な気持ちを。私はあなたを愛してる。
「また元気になってきた」
「え」
今したばかりなのに、もう!? 涼が私の上に乗っかって、たくさんキスを浴びせてくる。唇や頬、首筋などあちこちにするから、くすぐったくて思わず笑ってしまった。こんな風にじゃれ合うのもすごく幸せだ。
「いつ籍入れようか」
キスするのをやめて涼が訊ねた。
「すぐにでも」
だって卒業する日をずっと待ってたんだから。
「言い忘れてたんだけど」
言い淀む涼を見て、私は首を傾げた。
「何?」
「やっぱりいい」
「気になる。何なに? 浮気? 浮気したら離婚だよ?」
涼が吹き出した。
「結婚してないうちから離婚とか言うな」
だってこういうときは大抵いい話ではないんだもの。不安になる。
「結婚してたことがあるとか、隠し子がいるとか?」
どちらも本当だったら大問題だ。
「ないない」
ありえないとでも言いたげに涼が笑う。
「そういうのじゃない。本当にたいしたことないから」
気になるなあ。
「四月一日にしようか。確かちょうど日曜だ」
「うん」
いよいよ現実味が増してきた。入籍日、つまり結婚記念日、その日が私たちの一生の記念日になるのね。
幸せに浸る中、敏感な部分にキスをされてまた気持ちよくなってきてしまった。元気になっていたのは本当のようで、そのまま二回目へ。一回で十分だったのに。
土曜日だから夜は涼に会いにいくことも可能だった。でも、この日は家で過ごした。高校を卒業できたのはひとえに両親のおかげだ。在学中に病気がわかって手術までして、心配と迷惑をかけた。父は残念ながら仕事の都合で今日は帰宅できなかった。その代わりに来週は金曜日も休みを取って三連休にしたらしい。きっと私がもうすぐ結婚して家を出るからだと思う。
私、卒業したよ。この日を待ち焦がれていた。もうなんの制約もない。これからはずっと涼と一緒にいられる。
迎えにきてもらってマンションの涼の部屋に入ると、玄関で唇を奪われた。最後に抱き合った日から二週間と少し、その間ずっと触れられなかった。だから今日は最初から息が上がってる。
「彩……」
名前を呼ばれただけで胸が愛しさでいっぱいになる。
「卒業おめでとう」
「ありがとう」
ベッドに連れていかれ、また唇を吸われる。
「本当なら今日初めてするはずだったんだな。我慢して我慢して、今日やっと……」
「ん……」
素肌になって抱き合いながら何度もキスを交わす。我慢していたのは今も同じだ。ぬくもりを知ってしまった今のほうが強く求めてる。でももう我慢しなくていい。感度が全開になる。
いつもならもっといろいろ触ってから繋がるのに、今日は性急だった。確かめなくても私の準備ができていることは涼にはお見通しだ。手早くコンドームをかぶせて私の中に入ってきた。初めてしたときのように、ゆっくりと。
「あ……あっ……!」
あのときのような痛みは微塵もない。快感だけがどっと溢れる。
「すごく熱くなってる、中」
「だって……」
ひとつになるのではなく、ひとつに戻っていく。大きな幸せと安心感が私を包み込んでいく。
「あぁ……っ」
ゆっくり押し広げながら、最奥部まで繋がった。今日はもうこれだけで昇りつめそうになる。心も体も、いっぱいいっぱいだ。
「彩、俺と結婚して」
ここでまさかの再プロポーズ。
「はい……」
「ベッドでプロポーズされたかったんだろ?」
「そうは言ってな……んあっ」
体温と締めつけを味わうかのように留まっていた涼が、腰を動かし始めた。
「ああ……っ!」
どうしてこんなに気持ちいいの? 気持ちよすぎて怖いくらい。
「すぐ一緒に暮らそう」
悶える私を見ながら涼が言った。
「ん……あっ……ぃや」
「どっち?」
動きながら訊くから答えられないの。
「いっ、しょ……が、いい……っ」
私を見つめていた涼が満足げに微笑んだ。さらに動きが激しくなる。
「ああぁ!」
私は涼にしがみつくように抱きついた。もう離れたくない。別々の家に帰るのは嫌なの。同じ家に帰りたい。ずっと一緒がいい。
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「結局、卒業まで我慢できなかったな」
本当に、まったく、全然ね。特に二回目のときは、泊まりがけでいっぱいしてしまった。涼の誕生日も、するつもりなかったのに結局我慢できずに最後まで。
「愛があるから大丈夫だよ」
決して淫らに求め合っただけではない。いつも私は涼の愛を感じていたし、私だって……。
「それはつまり、俺を愛してるってこと?」
涼がにやりとする。しまった。これは言わされるやつだ。さっき再プロポーズを受けたんだからわかるでしょうに。でも私はまだ一度も言えてないんだった。涼はちゃんと言ってくれた。私も伝えなきゃ。
「涼、愛してる」
まっすぐに目を見て伝えた。心からの正直な気持ちを。私はあなたを愛してる。
「また元気になってきた」
「え」
今したばかりなのに、もう!? 涼が私の上に乗っかって、たくさんキスを浴びせてくる。唇や頬、首筋などあちこちにするから、くすぐったくて思わず笑ってしまった。こんな風にじゃれ合うのもすごく幸せだ。
「いつ籍入れようか」
キスするのをやめて涼が訊ねた。
「すぐにでも」
だって卒業する日をずっと待ってたんだから。
「言い忘れてたんだけど」
言い淀む涼を見て、私は首を傾げた。
「何?」
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「気になる。何なに? 浮気? 浮気したら離婚だよ?」
涼が吹き出した。
「結婚してないうちから離婚とか言うな」
だってこういうときは大抵いい話ではないんだもの。不安になる。
「結婚してたことがあるとか、隠し子がいるとか?」
どちらも本当だったら大問題だ。
「ないない」
ありえないとでも言いたげに涼が笑う。
「そういうのじゃない。本当にたいしたことないから」
気になるなあ。
「四月一日にしようか。確かちょうど日曜だ」
「うん」
いよいよ現実味が増してきた。入籍日、つまり結婚記念日、その日が私たちの一生の記念日になるのね。
幸せに浸る中、敏感な部分にキスをされてまた気持ちよくなってきてしまった。元気になっていたのは本当のようで、そのまま二回目へ。一回で十分だったのに。
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