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6章
第52話 自分を傷つけた言葉
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音楽室に戻った樋暮先輩たちに、帰りを待っていた福岡先輩が深く頭を下げた。
「本当にごめんなさい!!」
まだ思うところがあるパーカッション部員は、許しの言葉をかけることができずにそっぽを向いた。
福岡先輩は腰を折ったまま動かない。
「パーカッションは吹奏楽部になくてはならない存在……。それなのに、あんなひどいこと言って本当にごめんなさい……! パーカッションパートの子たちにもひどいことを……」
福岡先輩は本当に反省しているようだった。やはり、段原先輩が言ったように、頭に血が上って思ってもないようなことを言ってしまったようだ。
しかし、だからと言って、パーカッションパートにとって簡単に許せるようなことではなかった。
冷静を装った段原先輩が、声を荒げないよう細心の注意を払いながら言葉を絞り出す。
「頭を上げてください、先輩。もういいですから。……でも、俺たちにも少し時間が欲しいです。許すための時間をください」
福岡先輩も泣いていた。自分が吐いたひどい言葉に傷ついてしまったようだ。
「……コンクール、一緒に頑張りましょうね」
そう言ってその場を離れた段原先輩に、樋暮先輩が不服そうな声を漏らす。
「……楽しみましょうね、でしょ」
そして彼女も打楽器に囲まれたスペースに戻った。
海茅は、ぐすぐす泣いている福岡先輩に尋ねる。
「あの、如月さんは大丈夫ですか?」
「あ、うん……。明日香の過呼吸は治ったよ。今保健室で横になってる。顧問にも報告した……」
「そうですか……。ひとまず良かったです。会いに行ってもいいですか?」
「うん……。彼方さんなら大丈夫だと思う」
海茅はすぐに明日香の様子を見に行った。保健室には顧問もいたが、海茅は構わず明日香に駆け寄る。
「如月さん……っ。ああ、ちょっとマシになったね。よかった」
「彼方さん……。ごめんね、本当に。私が下手なせいでパーカッションの人たちに飛び火しちゃった……」
「下手じゃないし。私たちのことは気にしないで」
海茅に手を握られた明日香の顔が、どんどんしわくちゃになる。
「コンクールまであと三日しかないのに……。練習もせずに寝てなきゃいけないなんて……っ」
「まずは体調整えよう。過呼吸って、精神的なストレスから来るって先輩に教えてもらったよ。ひとまず何も考えずに寝て、頭すっきりさせよう?」
嗚咽を漏らしていた明日香が、ふっと笑みをこぼす。
「……今日の彼方さん、なんか頼もしい」
「え? そんなことないよ……。だって如月さんが辛い思いしてるとき、何もできなかったし……」
「ううん。こうしてお見舞いに来てくれただけで、すっごく嬉しいよ。ありがとう」
昼休みが終わり練習時間に入っていたが、顧問は海茅が明日香と話していても何も言わずに見守っていた。
「本当にごめんなさい!!」
まだ思うところがあるパーカッション部員は、許しの言葉をかけることができずにそっぽを向いた。
福岡先輩は腰を折ったまま動かない。
「パーカッションは吹奏楽部になくてはならない存在……。それなのに、あんなひどいこと言って本当にごめんなさい……! パーカッションパートの子たちにもひどいことを……」
福岡先輩は本当に反省しているようだった。やはり、段原先輩が言ったように、頭に血が上って思ってもないようなことを言ってしまったようだ。
しかし、だからと言って、パーカッションパートにとって簡単に許せるようなことではなかった。
冷静を装った段原先輩が、声を荒げないよう細心の注意を払いながら言葉を絞り出す。
「頭を上げてください、先輩。もういいですから。……でも、俺たちにも少し時間が欲しいです。許すための時間をください」
福岡先輩も泣いていた。自分が吐いたひどい言葉に傷ついてしまったようだ。
「……コンクール、一緒に頑張りましょうね」
そう言ってその場を離れた段原先輩に、樋暮先輩が不服そうな声を漏らす。
「……楽しみましょうね、でしょ」
そして彼女も打楽器に囲まれたスペースに戻った。
海茅は、ぐすぐす泣いている福岡先輩に尋ねる。
「あの、如月さんは大丈夫ですか?」
「あ、うん……。明日香の過呼吸は治ったよ。今保健室で横になってる。顧問にも報告した……」
「そうですか……。ひとまず良かったです。会いに行ってもいいですか?」
「うん……。彼方さんなら大丈夫だと思う」
海茅はすぐに明日香の様子を見に行った。保健室には顧問もいたが、海茅は構わず明日香に駆け寄る。
「如月さん……っ。ああ、ちょっとマシになったね。よかった」
「彼方さん……。ごめんね、本当に。私が下手なせいでパーカッションの人たちに飛び火しちゃった……」
「下手じゃないし。私たちのことは気にしないで」
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