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第四章
26 他の奴は知ってる? *R-18
しおりを挟む唇を重ねたまま、藍人の手が下半身に伸びてくる。大きな手にズボン越しに陰部を撫でられて、それだけで腰が跳ね上がった。
「汚れちゃうから、服脱ごうか」
唇を少し離して、藍人が小さな子に言い聞かせるように呟く。
万歳するみたいに上着を脱がされて、そのままベルトを緩められ、下着と一緒にズボンを引き抜かれた。剥き出しの皮膚が空気に触れて、ひやりと冷える。だが、その寒さも陰茎を握る藍人の手を感じた瞬間に忘れた。
まだキスしかしていないのに勃起した保の陰茎を、藍人がゆるゆると撫でるように扱(しご)いてくる。途端、鈴口からとろりと先走りが溢れ出してきた。
「あっ、ぁ、あぁ……ッ!」
直接的な刺激に、内腿が痙攣する。先走りのおかげで滑りが足されて、スムーズに藍人の手が動き出す。藍人の手が上下する度に、ぷちゅぷちゅとイヤらしい水音が響く。その音だけでも恥ずかしくて堪らないのに、自分の陰茎が藍人の綺麗な手に包まれているのを見ると、更に全身が茹だったように熱くなった。
「だめっ……だめ、だ……ッ」
保が逃げるようにシーツの上で両足を動かすと、藍人が体勢を変えてきた。ベッドに座った藍人の両足の間に、すっぽりと後ろ向きに身体を収められる。
「逃げちゃ駄目だよ」
たしなめるように言いながら、藍人は背後から保の腹部を片腕でしっかりと抱え込んできた。そのまま、もう片方の手でまた陰茎をくちゅくちゅと扱いてくる。
とっさに両膝を閉じようとすると、足を閉じられないように膝裏を藍人の太腿上にかけられた。まるで赤ちゃんがおしっこをするみたいな格好だ。
自身の開脚ポーズを見て、カッと頬が焼けるように熱くなる。だが、非難の声をあげる前に、藍人の指先が陰茎の鈴口をクリクリと浅くほじってきた。鈴口から走る刺激に、咽喉から甲高い声が漏れる。
「アァ、ぁぁッ!」
同時に、どぷっと大量の先走りが鈴口から溢れ出した。先走りを塗り付けるようにして、藍人の人差し指がすりすりと鈴口周りを弄ってくる。敏感な先っぽをくすぐられる感覚に、保は後頭部を藍人の胸に押し付けて小さく震えた。
「ひぃ、ぁ、アっ、そこっ、そこ、イヤ、だッ」
「イヤ?」
含み笑いで訊ねてくる藍人が憎たらしい。振り返って涙目で睨み付けた瞬間、藍人がふっと息を吐くようにして笑った。直後、人差し指がグリッと鈴口を抉ってきた。まるで電流のように走った強烈な刺激に、全身が跳ね上がる。
「ぁアァアぁアァッ!」
睾丸から尿道を這い上がって、開き切った鈴口から水鉄砲みたいに精液が噴き出る。自身の胸元まで、生ぬるい粘液が飛び散るのを感じた。
「ぁ……あ、ぅ……ぅ……」
突然訪れた絶頂に頭がついていけず、唇から途切れ途切れな声が漏れる。焦点のあわない目でぼんやりと壁を眺めていると、保の胸元に飛び散った白濁を藍人が指先で拭った。そのまま精液で汚れた指先で、左胸の尖りを横から押し潰すように弄くってくる。精液でぬるついた指先に尖りを摘ままれる感触に、保は前のめりになって首を左右に振った。
「ゃ、や、っ……そこっ、ぃ、やだ……っ」
「じゃあ、どこなら触ってもいいの?」
笑い混じりに問い掛けながら、藍人が保の肩に顎を乗せてくる。その質問に、保はじわりと目を潤ませた。そんな恥ずかしいことを口に出せるわけがない。
保が黙っていると、藍人がもう片方の手を下半身に伸ばしてきた。先走りでぬるついた保の会陰(えいん)を、親指の腹でグリッと押し込んでくる。途端、内側から凄まじい快感が走って、身体が反り返った
。
「あァッ!」
リズミカルに会陰を押し込みながら、同時に藍人の中指が愛液でぐずぐずに溶けた後孔へと差し込まれる。粘膜にゆっくりと沈んでいく指の感触に、保はわなわなと唇を震わせた。
「保さんの中、すごく熱い……」
藍人が浸るように小さく囁く。その言葉にも熱が煽られて、今にも卒倒しそうだった。むしろ、気絶できるものならしたい。恥ずかしくて、子供みたいにわぁわぁと声をあげて泣きたかった。
保が半泣きになっていると、藍人が後ろから顔を覗き込んできた。
「他の奴は知ってる?」
唐突な問い掛けに、保はぽかんと口を開いて、藍人を見返した。
「な……なに……?」
「保さんのナカの熱さを知ってる奴はいる?」
それが『他の誰かとセックスしたことがあるか』という質問だと分かった瞬間、顔面が燃えるように熱くなった。こんな真っ最中に何てことを聞くんだと喚き散らしてやりたい。
保が目が尖らせるのと、後孔に差し込まれた中指がグッと腹の内側を押し上げるのは同時だった。体内のコリッとした膨らみを押し潰された瞬間に、凄まじい快感が走って保は悲鳴を上げた。
「ひッ、ああぁあぁッ!」
「保さんが、こんな声をあげるって知ってる奴はいる?」
まるで脅すように膨らみ周りを指先で撫でながら、藍人が訊ねてくる。膨らみ周辺を弄られると、中から痺れるような感覚が広がっていった。
こんなの半分拷問みたいじゃないか、と思いながら、保は上擦った声で答えた。
「い、いないっ……いない、から……」
泣き声混じりに答えると、藍人は嬉しそうに保の側頭部に頬を擦り寄せてきた。
「良かった。もしいるって言われたら、そいつを刺しに行っちゃうところだった」
空恐ろしいことを笑いながら言う。しかも『殺す』ではなく『刺す』と言うところが、妙に現実味を帯びていて恐ろしかった。こいつなら『本当にやる』と思わせてくるところがタチが悪い。
全身を走った悪寒に、鳥肌がざわりと皮膚に浮かぶ。直後、藍人の甘い声が耳元で聞こえた。
「嬉しいな。保さんは、僕が初めてなんだ」
確かめるみたいに繰り返されて、堪らない羞恥がぶり返してくる。
後孔に突き刺さったままの中指が、ゆるゆると動き出す。粘膜の柔さを味わうみたいに抜き差しを繰り返しながら、時折意地悪するたみに中の膨らみを指先でくすぐってくる。その度に、保は左右に開いた爪先をピクピクと戦慄かせた。
「ぁ、あ、ぁぅ……っ」
「保さんの肌の感触も、いつもより高い声も、柔らかくて熱いナカも、僕だけしか知らない」
ふ、ふ、と息を吐くようにして笑う声が、敏感なうなじに吹きかかる。
独占欲と執着心にまみれた声におぞましさを覚えるのに、同時に満ち足りた心地になるから不思議だった。目の前のアルファにすべて捧げられるのが嬉しいと、自分の中のオメガ性が叫んでいる。運命にすべてを食い尽くされたいと。
中指が突き刺さっていた後孔に、更にもう一本指が追加される。二本の指が抜き差しされると、大量の愛液で濡れた後孔がぐぢゅぐぢゅと下品な音を立てた。その音が恥ずかしくて、自身の耳を両手で塞ぐ。
「ぅ、ヴぅ~~っ、ぁあ、ぁヴ、ぅ~……」
愚図る子供みたいな声が、咽喉から溢れる。涙がぼたぼたと溢れて止まらなくて、唇からずっと塩辛い味がした。
そんな保の姿を見て、背後の藍人は何とも和んだ声をあげた。
「保さん、可愛いね。すごく可愛い」
泣きじゃくってる姿を可愛いなんて言われても嬉しくない。嬉しくないはずなのに、自分の意思とは真逆に身体はどんどん火照っていくばかりだ。
背後から下顎を優しく掴まれて、そっと後ろに傾けられる。すぐに藍人の唇が重なってきて、しょっぱい舌を絡め取られた。ぬるぬると舌の腹同士を擦り合わせていると、後孔に三本目の指が差し込まれた。
「んっ、んヴッ!」
重ねた唇に悲鳴が呑み込まれる。広がった後孔が、かすかにミチミチと軋むのを感じる。三本の指が根元まで体内に押し込まれると、目蓋の裏で火花が飛び散るような快感が走って、下腹が大きく跳ねた。
揃えた三本の指が、ピストンするみたいに素早く抜き差しされる。しかも、藍人はもう片方の手で、再び保の陰茎の鈴口をクリクリと弄り始めた。後孔と鈴口を同時に刺激されて、内腿が壊れたみたいに痙攣する。
「ゃッ、ぁああ、ぁああぁッ!」
あまりの快感に両膝を必死に閉じようとするのに、引っ掛かけられた藍人の太腿はピクリとも動かなかった。逃げ場もなく、ただイヤイヤと頭を左右に振りながら身悶える。
そうして、三本の指が根元まで突っ込まれるのと同時に、白く濁った先走りを垂れ流す鈴口に爪を立てられて、とうとう熱が弾けた。
「ぁッッッ……!!」
脳味噌がショートするような絶頂感に、叫び声も出てこなかった。
上半身をぎゅうっと丸めると、陰茎から噴き出した精液がビシャッと自身の頬にかかった。勢いが良かったのは最初だけで、後は締まりの悪い水道みたいにとろとろと鈴口から白濁が溢れ続ける。
最後の一滴まで出し切ろうとするみたいに、藍人が保の陰茎を優しく扱(しご)く。そのせいで余韻が抜けなくて、ひくひくと下腹と内腿が震え続けた。
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