【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。

秋月一花

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1章:婚約破棄とプロポーズ

ゆっくりと休憩 4話

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 ローレンが本を読んでいる姿を想像して、似合う、と瞬間的に思ってしまった。

 黒髪に茶色の瞳と言う日本人っぽい見た目なのだけど、すっごく! 美人なのよね、ローレンって。

 前世の私は日本人だから、彼女の見た目ってとっても親近感が湧くのよね……あ、前世を思い出す前から仲が良いんだけどね、私たち。

「どんな本を読むの?」
「そうですね……最近だと、竜の国の物語を読みました」

 ドキリと鼓動が跳ねた。

 どんな内容の本だったかを尋ねると、竜と人間のロマンスだったようで……ええ、それ、ちょっと気になる。

 そもそもなぜ、ユミルトゥスは竜の国と呼ばれているのかしら? そしてやっぱり、フィリベルトさまがゲームの中にいた記憶がないのよね。

 あんなイケメン、いたら絶対覚えていると思うの。

「私も読んでみたいわ」
「では、部屋に持ってきましょうか?」
「そうねぇ……うーん……。いえ、私が書庫にいくわ。他にも読みたい本があるかもしれないし」

 鏡越しにローレンを見ると、彼女はこくりとうなずいた。

 身支度を整え、簡単に朝食をり、すぐに書庫に向かう。

 朝食時にはお父さまもいて、心配そうなまなざしを注いでいたから、『大丈夫です』という気持ちを込めて笑顔を浮かべたわ。

 ちゃんと朝食もいつもの量を平らげたから、安心してくれたみたい。

 書庫に入ってすぐ、ローレンは本を持ってきてくれた。

 竜の国の物語、読むのが楽しみだわ。

「ここで読むわね。お茶を用意してくれる?」
「かしこまりました」

 我が家の書庫は、テーブルと椅子が常備してあって、ここでゆったりと読書を楽しむことができる仕組み。

 ローレンにお茶を頼んでから、椅子に座って本に視線を落とす。さっそく読みましょう。

 ぱらりと表紙をめくって、ワクワクとした気持ちで読み進めた。

 戻ってきたローレンは、おやつとしてバタークッキーも用意してくれた。お茶を淹れ、テーブルの上に置く。

 バターをたっぷり使ったクッキーは美味しいのだけど、カロリーがちょっと気になるところ。

 ……でも、まぁ、今日くらいは構わないか、とクッキーを口にすると、サクッと軽い食感とふんわりとバターが香って、口内でホロホロと崩れていく。美味しいーっ!

 クッキーを飲み込んだところで、紅茶を一口。ああ、後味サッパリ。

「美味しいわ」
「ありがとうございます」
「私はこのまま本を読むから、ローレンも好きにしていてね」
「はい、リディアお嬢さま」

 さぁて、今日は書庫にこもって、じっくりと読書を楽しみますか。

 竜と人間のロマンスを!
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