花屋の息子

きの

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11 一緒に来てくれ

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俺はびくびくしながらも、必死に喉から声を絞り出して「い、いらっしゃいませぇ…」と挨拶をしてみた。
しかし彼は動じない。
変わらず俺の目を凝視しつづけるだけ。


何この時間、何この人。
俺の黒髪黒目がおかしいならすぐに言ってくれよ~…。



俺はこんなにイケメンに見つめられるのを耐えられるような強い心臓を持っていない。
何かされるのかという焦りからのドキドキと、イケメンから見つめられているということからのドキドキが混ざりあって今の俺の心臓は大忙しだ。
別に男が好きとかじゃないが、男であれ女であれ、こんなに美しい人がいたら誰しもドキドキするだろうな…というほどの美人。


…が、動いた。

俺の方にやってきた。
ひぃ。
暴力だけはやめてくれ。





なんてこと思いつつも体は動かず。
いつもの様に(なってる気はしないが)笑みを浮かべ、「何をお求めでしょうか」と小首を傾げてみせた。

その瞬間に全ての動作が止まる男。


「あの…」

「あ、あ、」

「あの、どうされました?」



「き、きみ」

がっしぃ!と腕を掴まれた。

「ひぃ」

「俺と一緒に、城に来てくれ」




「…は?」
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