私を捨てた元婚約者が、一年後にプロポーズをしてきました

柚木ゆず

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第8話 どいつもこいつも使えない! クロード視点(1)

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「くそっ!! 何が『金さえ積めば何でもする場所』だ!! 聞いていた話と全然違うじゃないかっ!!」

 無様な親に見切りをつけて家を飛び出して、もう3時間が経っただろうか。身バレ対策をした変装をした僕は護衛を引き連れ、暗くて汚い場所――スラム街を歩いていて、非常に苛立っていた。

『そこのお前達。僕が指定する人間を殺したら、報酬としてこの500万をそれぞれにやろう。どうだ? やってみないか?』
『500だと!? やるともっ!』
『オレ達でぶっ殺してやらぁ! でっ、誰を殺(や)ればいいんだ?』
『ディオン・ライフェルンという男だ。ソイツは、隣国イリュテの貴族で――』
『貴族だって!? そりゃ無理だ!! 降りさせてもらう!!』
『貴族と喧嘩する気はねぇよっ! 他を当たってくれ!!』

 ヤツらは誰もが最初は飛びついてきて、ターゲットの情報を知るや撤回。全員が即座に、尻尾を撒いて逃げ出してしまう。
 金で動く、裏の世界の住人。それは大間違い。ここにいるのは、相手を選ぶ臆病者ばかりだっ。

「く、クロード様……。やはり、そちらは……。越えてはならない一線でございます……っ」
「今ならまだ、間に合います……っ! どうか、お考え直しを……っっ!」
「うるさいぞ!! 僕はお前らの雇い主だ! 犬は大人しくご主人様に従っていればいいんだよっ!! 生意気に意見するな!!」

 左右にいる不躾な連中を叱り・・、立ち止まって腕組みを行う。
 これはもちろん、作戦中止を検討しているのではない。このまま奥に進むべきか、他所を当たるべきかを考えるためのものだ。

「スラム街は奥に行くほど、荒くれ者が増えるらしい。つまり奥に行けば、骨のある輩に会えるかもしれない」

 だが、評判が非常に悪く恐れられているはずの連中が、あの調子だ。ゴミの中で上位でも、結局はゴミ。同じ反応があり、無駄骨になる可能性が高い。

「となると……。スラム街に準ずる場所、北の街の路地裏をあたるか……?」

 そこもかなり評判が悪く、この時間はその手の輩が多く出没するそうだ。
 ここに見切りをつけて……。そっちに時間を過ごすのが、賢明かもしれない。

「だが……。そこへの移動は1時間以上かかって、大きなロスになってしまう……」

 もしそこで空振りとなれば、今日中の実行はできなくなる。
 僕は少しでも早く、アイツを消したいんだ!! それだけは避けたい。

「……くそっ、役立たずばかりで余計な悩みが増えてしまった……。どうする……」

 こうしている時間さえも、惜しい。早く決めなければ……!!
 イライラしながら思考を巡らせていると、ん? 不意に、

「兄さん、殺したい人が居るんだって?」
「その話、俺らにも聞かせてくれや」

 背後から、声をかけられた。

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