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第2話 1日後、生徒会室にて アンジェリーヌ視点&俯瞰視点
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「……『アンジェリーヌ様とエドモン・ダーファルズが交際していた』と勘違いをする。『ニネットがエドモン・ダーファルズに好意を抱き始めた』。面白いことになりましたね」
次の日の放課後。いつものように私は副会長として生徒会室を訪れていて、そこではクスリとした笑い声が発生しました。
お綺麗で、格好いい。美男であり麗人のようでもある容姿を持つ、冷笑さえも一枚の絵になりそうな方。目の前にいらっしゃるこの方が、私の本物の恋人であるフレデリク様です。
「エドモンの性格とニネットの本性は、僕も把握しています。そんな2人が接触を行えば、何の問題もなく、あっさりと心変わりをしてしまいますね」
「ええ。あっさりと、妹に興味が向くと思います」
ダーファルズ様は容姿に重きを置かれている方で、なかでも胸を重視されています。ニネットのバストサイズは私より2つ上ですし、ニネットは自分の体も武器とする子。
かつて『華』と呼ばれたお母様の面影を持ち、そんな人が一番好きな部位を使ってアピールし、おまけに大好きだと繰り返すのです。接触前に私が『応じるつもりは今後もない』とお伝えしますし、ダーファルズ様は簡単に心変わりをしてしまいます。
「あちらに夢中になれば邸内での攻撃は減るでしょうし、想定よりも数日間早くエドモンを遠ざけることができますしね。今回ばかりは、愚かなる妹と両親には感謝しないといけませんね」
私達の関係は内密なため、関係を明かしてダーファルズ様を諦めさせることはできませんでした。そのためフレデリク様は、別の策を用意してくださっていたのです。
「折角準備してくださっていたのに……。無駄にしてしまい、申し訳ございません」
「アンジェリーヌ様が謝罪される問題ではありませんよ。むしろ今回の場合は、無駄になってよかった。貴方が少しでも早く、落ち着いて夜会に参加できるようになるのですからね」
ご自身の正体を明かさずに、有力な伯爵家を相手にするのは非常に難しいこと。私自身も内容を伺っていて、準備にどれほど苦労されていたか知っています。
にもかかわらずフレデリク様は嫌な顔一つされず、心から目を細めてくださいました。
「ニネットがそのように思い込んでいるのならば、もっとこうした時間も取れるようになりますし。2人の交際が始まれば、お昼休みにもお会いできそうですね」
「はい……っ。そちらが、今から楽しみです……っ」
お昼休みも同じ時間を過ごせるようになれば、こちらでランチをご一緒することもできます。ですので私達の声、会話は自然と弾み、そしてなんと――
「妹たちがそのように動くのであれば、卒業後の予定も一部変更しておいた方がよさそうですね。そちらも引き続き、僕にお任せください」
ニネットの行動には他にも、それも大きなプラスがあると分かりました。そのため私達には更に明るさが含まれるようになって、今日はいつも以上に、幸せで賑やかな時間を過ごすことができたのでした。
〇〇
そんな出来事があった日から、6日後。予定通り夜会が開かれ、それを切っ掛けとして、姉妹の人生は大きく変化してゆくこととなります。
姉、アンジェリーヌ。正しく生きてきた彼女はもちろん、幸せな方向に。
妹、ニネット。正しく生きてこなかった彼女は――
次の日の放課後。いつものように私は副会長として生徒会室を訪れていて、そこではクスリとした笑い声が発生しました。
お綺麗で、格好いい。美男であり麗人のようでもある容姿を持つ、冷笑さえも一枚の絵になりそうな方。目の前にいらっしゃるこの方が、私の本物の恋人であるフレデリク様です。
「エドモンの性格とニネットの本性は、僕も把握しています。そんな2人が接触を行えば、何の問題もなく、あっさりと心変わりをしてしまいますね」
「ええ。あっさりと、妹に興味が向くと思います」
ダーファルズ様は容姿に重きを置かれている方で、なかでも胸を重視されています。ニネットのバストサイズは私より2つ上ですし、ニネットは自分の体も武器とする子。
かつて『華』と呼ばれたお母様の面影を持ち、そんな人が一番好きな部位を使ってアピールし、おまけに大好きだと繰り返すのです。接触前に私が『応じるつもりは今後もない』とお伝えしますし、ダーファルズ様は簡単に心変わりをしてしまいます。
「あちらに夢中になれば邸内での攻撃は減るでしょうし、想定よりも数日間早くエドモンを遠ざけることができますしね。今回ばかりは、愚かなる妹と両親には感謝しないといけませんね」
私達の関係は内密なため、関係を明かしてダーファルズ様を諦めさせることはできませんでした。そのためフレデリク様は、別の策を用意してくださっていたのです。
「折角準備してくださっていたのに……。無駄にしてしまい、申し訳ございません」
「アンジェリーヌ様が謝罪される問題ではありませんよ。むしろ今回の場合は、無駄になってよかった。貴方が少しでも早く、落ち着いて夜会に参加できるようになるのですからね」
ご自身の正体を明かさずに、有力な伯爵家を相手にするのは非常に難しいこと。私自身も内容を伺っていて、準備にどれほど苦労されていたか知っています。
にもかかわらずフレデリク様は嫌な顔一つされず、心から目を細めてくださいました。
「ニネットがそのように思い込んでいるのならば、もっとこうした時間も取れるようになりますし。2人の交際が始まれば、お昼休みにもお会いできそうですね」
「はい……っ。そちらが、今から楽しみです……っ」
お昼休みも同じ時間を過ごせるようになれば、こちらでランチをご一緒することもできます。ですので私達の声、会話は自然と弾み、そしてなんと――
「妹たちがそのように動くのであれば、卒業後の予定も一部変更しておいた方がよさそうですね。そちらも引き続き、僕にお任せください」
ニネットの行動には他にも、それも大きなプラスがあると分かりました。そのため私達には更に明るさが含まれるようになって、今日はいつも以上に、幸せで賑やかな時間を過ごすことができたのでした。
〇〇
そんな出来事があった日から、6日後。予定通り夜会が開かれ、それを切っ掛けとして、姉妹の人生は大きく変化してゆくこととなります。
姉、アンジェリーヌ。正しく生きてきた彼女はもちろん、幸せな方向に。
妹、ニネット。正しく生きてこなかった彼女は――
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